エンジニアの立ち位置の変化
これまでソフトウェアエンジニアの役割といえば、時代を経るごとに専門化・細分化が進行してきていました。システムエンジニアとプログラマー、データベース、ネットワーク、サーバー、アプリケーション、セキュリティ、ITエンジニアに対するWebエンジニア、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニアなどさまざまな名称の職種が生まれ、少々混乱している面も見られます。
それだけソフトウェア開発に関わる業務やタスクが細分化し、ひとりひとりのエンジニアが特定のタスクを実行しつつ、開発の進捗や納品についてはチームで連携することが求められていたのです。
こうした事情はシステムの複雑化や大規模化、さらにプロジェクトそのものの大型化が背景にあります。開発するシステムの規模、扱うデータの量がとてもひとりのエンジニアではカバーしきれないレベルになってしまい、分業の形でそれぞれが専門分野で活躍する環境が増えていったのです。そのためプロジェクトマネージャーのような現場で働くエンジニアを統括するエンジニア職なども登場しています。
しかし従来よりもIT化が進み、開発環境が整ったことで、中小企業やベンチャー・スタートアップなど少人数のチームでもゼロからサービスを立ち上げてリリースしたり、ITを活用することが容易になりました。また、大手企業においても積極的に新規事業やIT投資が行われるようになったことで事情に変化が見られるようになりました。システムやプロジェクトの規模を小さく、スモールスタートで高速でリリースしたいという需要が増加したのです。
しかも、そのようなプロジェクトでは、人手が不足しており、特定の領域について深く専門的なスキルを備えたエンジニアよりも、浅く広くひと通りの仕事を担当できるエンジニアの方が「使い手がある人材」として扱われたのです。そのようにソフトウェア開発のインフラが整備されたこととITの普及がエンジニアの立ち位置そのものを変化させているわけです。
企業が求めるフルスタックエンジニア
ベンチャー企業やスタートアップでは、利用者数の向上やアプリのダウンロード数を促進するために、サービスの利便性向上や機能改善などのエンジニアリングに取り組んでいます。その点で、そのようなビジネス目的や経営的な視点に立ち、必要な開発を提案し納品まで完了できるエンジニアには需要があります。また、UI/UXなどのフロントエンド改善やログ解析、ダッシュボード設計などの分析業務、サービスのスケーリングや安定性向上、セキュリティといったインフラストラクチャに関する知識もフルスタックとして働ける条件になりそうです。
何しろ日本企業の9割以上が中小企業といわれているように、今後より多くの企業がIT化やシステム・データベースの有効利用を考えるようになれば自然とそれらを支援するIT技術者の需要が高まってくることが予想されます。ITを積極的に導入したいけれどもエンジニアを2人も3人も雇っている余裕はない、そんな企業にとってすべての開発を担当してくれるフルスタックエンジニアは重宝したい人材となります。
技術のコモディティ化による学習コストの低下
さらに技術のコモディティ化、つまりかつて高度で専門的な知識・スキルが求められていたエンジニア職の技術が一般化していることもフルスタックエンジニア登場の背景として挙げられます。フレームワークやライブラリを利用することで、一からコードを書く場合に比べ開発スピードは大幅に向上します。ECサイトの立ち上げやメディアの運営など現在ではより安価に実現できるようになっています。システムを稼働させるサーバーについてもAWSやGCPなどのクラウドを利用すれば、環境をすぐに立ち上げることができます。
そのように、かつては本当に専門的な知識を備えたエンジニアにしかできなかった作業がエンジニア職の誰もが身に着けている一般的なスキルになっているのです。さらに学習コストの低下も一因です。日本語での書籍や解説のためのドキュメントが広く公開されたことで、学習効率が向上した点はもちろん、システム・アプリケーションの進歩によって、以前は膨大な手間と知識がかかっていたサービスのローンチや運用がより容易にできるようになりました。
そうして一人のエンジニアが幅広い範囲をカバーできるような環境になっているのです。こうしたエンジニア職を巡る環境の変化も、フルスタックエンジニアの需要を高めている理由として挙げられるでしょう。
フルスタックエンジニアの仕事
フルスタックエンジニアは、ひとりで幅広い開発業務を担当するわけですから、仕事内容も多岐にわたります。そのためどこまでカバーできるかがフルスタックエンジニアとしての評価を左右するポイントとなるでしょう。
フロントエンド開発
UIや管理画面などで動作する処理についてのコード実装がフロントエンド開発です。フロントエンドは文字通り、表側を指します。つまりWebページやアプリのユーザーが操作する画面のことです。そのように多くの人の目に触れる部分を開発する仕事ですから、プログラミングなど専門的な知識だけでなく、デザインやマーケティングなどの知識も問われることになります。とはいえ、そこまで高度なことを求められる場面も少なくBootstrapやWordPressを触ることができ、JavaScript (JS)で一般的なコードが書ければ十分でしょう。
バックエンド開発
サーバーサイドやアプリケーション周りを開発するWebエンジニアとしての開発経験があれば、問題なくこなせる案件がバックエンド開発の仕事です。後述するインフラ周りと並んでフルスタックエンジニアの基本ともいえる仕事です。このバックエンド開発に派生して、フロントエンドやインフラの仕事が発生することも多いのです。サービスなりアプリなりが正常に動くための根幹の部分を設計・開発することになります。
さらに開発後に運用・管理の仕事を担当することもあります。まずこの仕事でエンジニアとしてのキャリアをスタートさせ、その後、経験を積みながらいろいろな知識・スキルを身に着けてフルスタックエンジニアを目指すというルートも選択肢となるでしょう。
モバイルアプリ開発
ここ数年で需要が急速に伸びているのがスマホを中心としたモバイルアプリ開発です。急に大ヒットを記録するモバイルアプリも登場するなど市場そのものが拡大傾向にありますが、最近のトレンドは事業やサービスを運営する会社のスマホアプリ化です。例えば旅行予約やオンラインショップ、クリーニングなどのWebサービスをアプリに移植するようなイメージです。その開発元の多くは大手の事業会社です。よいコンテンツや企画はあるけれども、それをシステムやアプリケーションにうまく落とし込むスキルが欠けている、そんな会社にとってフルスタックエンジニアは非常にありがたい存在となります。
インフラ
バックエンド開発と並んで基本の仕事となるのがITインフラに関するスキルです。クラウドサービスを利用することで導入の敷居は下がっていますが、パフォーマンス改善や運用・監視などの体制構築には、相応のスキルと経験が必要になります。ネットワーク、データベースなどIT環境が問題なく機能するための環境づくりと維持・管理を主に担当します。さらに年々サイバー攻撃の手口が巧妙化していることで、セキュリティ方面の役割が重要視されるようになっています。
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