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産業用機器や自動車などの重工業、医療・介護装置、IoTやスマート家電などの電気機器に関連した職業に「ロボットエンジニア」があります。理系出身者が多い技術職のなかで注目度が高く、年収や求人情報、仕事内容について興味のある方も多いのではないでしょうか。
この特集では、ロボットエンジニアの求人動向から始めて、仕事の種類、求められるスキル、需要や年収、フリーランスの単価相場、さらにその将来性まで詳しく見ていきます。
ロボットエンジニアはエンジニア職の中でも現在もっとも求人動向が注目され、また仕事内容そのものも注目が集まっていると言ってよいでしょう。ここ数年で急激に需要が増加している分野でもあります。
かつてロボットと言えばごく一部、最先端の技術を必要としている分野や大企業のみで必要とされていた技術ですが、現在では様相が一変し、さまざまな産業において必要とされているといっても過言ではありません。例えば慢性的な人手不足の問題を解消する手段としてロボットの活躍が介護業界で注目されています。
需要が高まり、しかも活躍するフィールドが拡大している。そうなれば求人の数が増えるのはもちろん、収入や勤務環境、仕事内容など目的に合わせて幅広い選択肢の中から求人を選んでいけるのも当然のこと。現在の求人動向は数そのものの増加と選択肢の拡大の両方がどんどん進んでいる状況です。
自動運転の実用化が本格的に進んでおり、車関連の分野でロボットが活躍する場面が増えています。とくに現在の日本では、高齢者が車を安全に運転できる環境づくりが急務となっており、今後開発が急ピッチに進められていくことも予想されます。
介護分野での需要増について触れましたが、そのほかにも幅広いフィールドで活躍の場が広がっています。例えば一般家庭においても身近な存在になりつつあるお掃除ロボット。自動的に掃除を行ってくれるだけでなく、遠隔操作で本人が自宅にいない間でも動かすことができるなど飛躍的な進歩が見られます。ほかにもペットの見守りやエサやりなど家電の分野で需要が急拡大しています。
そして介護の分野と並んで注目度が高まっているのが医療分野です。地震などの災害の際にロボットが危険な場所で生存者を探すといった役割から、離れた場所にいる医師が遠隔操作でロボットを操作して治療行為を行う、といった医療の現場環境を根本的に変える可能性を秘めた役割まで、こちらも開発と技術の進歩がどんどん進んでいます。
こうした活躍フィールドの拡大を見ただけでも、ロボット開発に携わるロボットエンジニアが産業界の未来においていかに重要な役割を担うかがわかります。とくに日本では人手不足が深刻化していく中、現場におけるロボットの実用化が期待されています。その意味では産業界にとどまらず社会全体の未来を担う最先端の職業とも言えるでしょう。
ロボットエンジニアの役割は何と言ってもロボットを作ることですが、これまで触れてきたようにさまざまな分野・目的でロボットの需要が高まっているわけですから、それぞれのニーズに合ったロボット作りへの関与が求められます。
遠隔操作ができるロボット、自動で動いてくれるロボット、人間の行動をサポートするロボット…用途によって求められる仕組みや技術が異なってきます。そうしたニーズに基づいてロボットを生み出す。そこにはコスト意識や現場への適応なども関わってくるでしょう。例えば、設計や機能がいくら優れていても、限られたスペースの部屋で動けない大きなロボットではダメ、といったケースも出てくるわけです。
ロボットの機能が高性能になればなるほど、それぞれのパーツの専門性が高まっていきます。中枢頭脳の分析・解析能力に加えて頭脳の命令に従って身体が精密な動きで機能するか、動きはスムーズか。全体のビジョンを見据えた上でハードウェアだけでなくソフトウェアも作り上げていくことになります。医療用ロボットのように特定の機能だけを特化させたロボットがある一方、介護ロボットなど人間らしさや人間が愛着を持てるような面が求められるロボットもあります。
精密で高性能なロボットを作り上げるために、複雑な工程を踏んだ上で、それぞれが求められる役割をしっかりこなしながら作業を進めていく必要があります。
まず大前提となるロボットの仕様・用途の決定。最初からクライアントや開発元の企業が用途を決定したうえで仕様を決定するケースが多いですが、企業がこれまで培ってきた技術をもとに新しいロボットの開発を試みる場合には、用途の段階からロボットエンジニアが関わることもあります。
先ほども触れたようにロボットには機能だけでなく、見た目や動き、かかわる人間に与える印象なども重視されるため、技術的な面だけでなくデザイン面など多角的な視点から使用・用途を決めていく必要もあります。
仕様・用途が決まったら次は設計・開発です。青写真を描いたうえで具体的なロボティクスの仕組みを作り上げていくわけです。ロボット制作の成否はこの過程で決まるといっても過言ではないでしょう。ミスがないのは当然として、当初の仕様・用途通りに動くか、使う側にとって使いやすいかどうかなども考慮したうえで作業を進めていくことになります。
プロジェクトを組んだうえで数年がかり、それも複数の部署がそれぞれの役割を担当しながら進めていくことになりますから、スケジュールの遅れやコストの問題などにも注意しながらの作業進行が求められます。
ロボットは100回動かしてみて100回問題なく動いてはじめて完成と言えるものです。時にはロボットの故障やトラブルが現場の人たちに大きな害をもたらしてしまう可能性もあります。その要因を徹底的に排除し、問題なく動くことを証明するまで何度でも実験・検証を繰り返す。これはロボットの質だけでなく、開発元の企業の評判を左右するとても重要な部分です。ロボット開発における最終的な責任はこの過程にあるといっても過言ではないでしょう。
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ロボットエンジニアはエンジニア職の中でも高い年収水準にあります。非常に高度かつ専門的な知識が求められる職業ですし、就職先も大企業などで高収入が期待できる場合が多くあります。全体の平均年収は800～900万円程度と言われており、順調にキャリアを積めば1000万円を超えることも決して珍しくありません。フリーランスのロボットエンジニアとして働く場合は、会社員よりもさらに高収入を望めるでしょう。
ロボットエンジニアになるには専門的な知識・スキルが欠かせません。経験を積みながら身に着けていくだけではカバーできない部分が多く、理系の大学・大学院を卒業したうえで就職し、その後経験を積み重ねていく形になるでしょう。
そんなロボットエンジニアに求められるもっとも基本的なスキルは機械・電気・ITに関する専門知識です。これらはどの用途・目的でロボットを開発するにしろすべての土台になりますから、身につけてさえいればさまざまな分野で活躍する機会が広がります。
専門的な知識に加えて応用力も大事な資質です。機能性はもちろんのこと、やはり多くの人たちに魅力的だと思ってもらえるロボットを作る必要がありますし、社会のニーズに答えられる、またはニーズの一歩先を行く発想も欲しいところ。「こんなロボットが出てくる時代になったのか！」と人々を驚かせるようなものを作るための情熱が求められます。そしてその情熱やビジョンを形にするための、設計者としての論理的な思考力。夢を夢のままに終わらせないスキルともいえるでしょうか。
こうした必要なスキルをもう少し詳しくみるとやはり専門性と応用性の両方が求められることがかわります。
想像力。ひとりのエンジニアがゼロから開発するロボットを考えることは滅多にありませんが、仕様・用途を決めていく過程で、あるいは設計の段階で個人のアイデアが採用されることは少なくありません。豊かな想像力が生み出したちょっとしたアイデアがそのロボットを素晴らしく便利に、独創的なものにすることもあるのです。
また活躍するフィールドが拡大する一方、新しいフィールドを開拓していく面もあります。これまでロボットが活躍する機会が少なかった分野で役立てられるロボットを開発すれば、その企業は独占的な地位を得ることもできるでしょう。そうしたロボットの開発にも想像力が欠かせません。
そして技術力。産業界でももっとも最先端な分野ですから、先ほど挙げた専門知識も日進月歩の勢いで進歩・更新されていきます。常に時代の最先端の知識・技術力を備えているよう日頃から研鑽を心掛ける。ロボットエンジニアの技術力には学ぶ意欲と姿勢も欠かせないのです。
海外のメーカーとの共同開発や依頼のもとで作業を進めていくことが多くなります。また最新技術にはマニュアルが英語オンリーといったケースも少なくありません。また近年では中国の技術開発が著しく、英語だけでなく中国語のスキルも求められるようになっています。その意味で語学力もできれば身につけたいところです。
ロボット作りにかかわると考えただけでも魅力を感じる人も多いはず。ロボットエンジニアの仕事にはさまざまな魅力と夢があります。
なんといってもモノづくりの醍醐味を味わえます。しかも最新の技術を導入した「これまでになかったモノを作る」と行く側面は何ものにも代えられない魅力でしょう。世界で初めての技術、新たなニーズに応えられる機能…モノを作る喜びをこれほど味わえる分野も珍しいでしょう。
先述したようにロボットが活躍するフィールドが年々拡大しており、さまざまな分野で需要が増しています。ロボットを開発することで産業の発展にも貢献することができるのです。ロボットによって人手不足の問題を軽減するなら産業界に活気が出てきますし、人手不足に加えて高齢化の問題も抱えている地方経済への貢献も見逃せません。
さらに産業だけでなく社会そのものへの貢献も先述したように大きいでしょう。産業と同様、人手不足の影響で深刻化している地方の医療や介護、サービスの問題解決にロボットが貢献できます。自動運転、ロボットによる宅配サービスなどが充実すれば生活環境が劇的に改善される世帯も少なくありません。
ロボットエンジニアになるためには専門的な知識・スキルを持っていることが大前提ですが、仕事をしながら習得していく部分ももちろんあります。とくに最先端の技術に接するためには、現場で活躍することが大前提。なかなか机上で勉強するだけでは身につかない部分もあるのです。
またロボット開発では最先端の企業秘密として扱われる技術も使用されますから、やはり現場で活躍しないと習得できないものが多いのです。こうした経験はキャリアアップの大きな武器にもなるでしょう。
こうして見てもロボットエンジニアの将来性はかなり明るいといえます。求人の増加や活躍するフィールドの拡大だけでなく、海外での活躍の機会なども増えていくことが予想されます。
堅実なキャリアを積んでいきたいなら工業用ロボットの研究・開発が最も適しています。ファクトリーオートメーションを推進するロボットの開発ではロボットを稼働させながら研究開発を進める面もあり、さまざまな開発の経験を積む機会に恵まれます。またこの分野では堅調な需要があり、時代やニーズの変化に左右されることなく開発に携わっていける安定した環境も魅力です。
海外で活躍する機会も得られると書きましたが、現在世界中でロボット開発が急ピッチで進められています。全世界の優秀なロボット技術者と開発競争を繰り広げる時代なのです。それは緊張感やライバル意識とともにモチベーションももたらしてくれるでしょう。また競い合うだけでなく交流の機会も得られ、海外への出張、さらには転職など世界をまたにかけた活躍の機会にも恵まれるはずです。
21世紀に入ってから目覚ましい進歩を続けているロボット工学。その進歩がそのまま市場の拡大をもたらしています。そして2010年代に入ると、ロボットを社会の日常生活の中でいかにうまく活用できるかというテーマが登場しました。現在はまさに「ロボットが日常生活に普通にある」社会を作り上げていく過程にあると言えるでしょう。
その進歩とともにロボットエンジニアそのものが成長し、より素晴らしく、便利で、人々の役に立てるロボット作りに貢献していくことができる。そんな夢のある将来性も持っているのです。