バックエンドエンジニアに必要な知識
こうしたスキルを発揮するためにはプログラミング言語の知識だけでなく、ミドルウェアやフレームワークといった知識も求められます。このあたりは経験を積みながら身に着けていく面もあるためキャリアアップの一環として重要な部分でもあります。
ミドルウェアの知識
ミドルウェアとは基本となるサーバーやシステムにソフトウェアをインストールすることです。基本となるシステムだけでなくこうした現場で使うソフトウェアやアプリケーションがしっかり機能しなければ意味がないわけから、バックエンドエンジニアはここまでカバーする役割が求められるのです。
このミドルウェアではLinuxのようなサーバーを構築するOSに関する知識、サイトとサーバーの橋渡しをするApacheなどのソフトウェア、先ほども触れたデータベースの構築に活用するMySQLなどのデータベースソフトなどの知識が必要になります。とくにデータベースソフトの知識は必須と言えるでしょう。
フレームワークの知識
アプリケーションを活用できる環境づくりで欠かせないのがフレームワークの知識です。この分野では先ほど挙げた日本産のプログラミング言語、Rubyで開発する際に必要なRuby on Railsがとくに重要です。ほかにはCakePHP、Expressなども身に着けておきたいスキルとして挙げることができます。
バージョン管理
目まぐるしい勢いでデータが増量し、アップデートが繰り返されている現在のIT業界。それだけに社内システムの定期的なアップデートも必要で、そのための管理も大きな意味を持ちます。アップデートによってバージョンが変わると一部のソフトが動かなくなり、システムの動作が不安定になるといったリスクも出てきます。
また万一アップデートによって不具合が生じた場合には元のバージョンに復元する作業が必要になることもあります。こうした状況に適応するためにもバックエンドエンジニアはバージョン管理を日ごろからしっかりと行うことが求められています。
バックエンドエンジニアの年収
バックエンドエンジニアの年収は所属する企業や保有スキルなどによってかなり異なっています。PHP言語での開発を外注する案件と、社内システム全体の構築・開発に携わる案件では当然仕事内容も単価も異なるので年収の平均を出すのも難しいのです。年収相場としては400万~500万円とそれほど高い水準ではありませんが、高い評価を受けフリーランスで活躍しているエンジニアともなると年収1000万円を超えることもあります。
正社員の平均年収
正社員のバックエンドエンジニアは、開発以外の役割も担当することが多く、ある意味「システムの便利屋」的な立ち位置が求められる一方、安定した就業環境で平均年収も高めになります。年齢にもよりますが年収の相場は500万~600万円程度でしょうか。
フリーランス案件の単価相場
フリーランス案件は数万円程度のプログラミングの外注から100万円を超えることもあるシステムの構築・運用までかなり幅広くなっています。バックエンドエンジニアの報酬単価としては、月額で60~80万円程度が相場となります。基本的には低めの単価でコツコツと経験を積みながら、少しずつ重要な役割が求められる案件へとステップアップしていく形になるでしょう。
エンジニアもポートフォリオを作成しよう
ポートフォリオ、つまり過去に自分が手掛けた仕事や作品を集めたものをうまく活用しましょう。デザイナーなどのクリエイティブ職でよく活用されますが、バックエンドエンジニアにおいても「過去にこんな仕事をした」ポートフォリオを用意しておくことで自己アピールに役立てることができます。バックエンドエンジニアはなかなか自分のスキルやキャリアをアピールするのが難しいだけにうまく活用したいところです。
経験者
経験が豊富な方が当然就職にも案件の獲得にも有利になります。しかし先ほども触れたようにデザインナーのようにはっきりとわかりやすい形で過去の自分の仕事をアピールするのが難しく、単に勤続年数や過去に担当した企業のネームバリューに頼ったアピールになりがちです。
ですから具体的にどの分野で経験を積んだのか、どういった領域を得意としているのかをエンジニア以外の人、具体的には採用担当者にもアピールできるような「自己プロデュース」の手腕が求められる職種とも言えます。
未経験者
一方で未経験からバックエンドエンジニアになるのは難しく、やはりまずIT関連の企業に就職し、エンジニアとしての経験を積んでから独立するというのが一般的なルートとなるでしょう。ほとんど経験がない環境でいきなりバックエンドエンジニアになっても、単価の安い簡単な仕事ばかりでなかなかキャリアを積めないという状況に陥ってしまいかねません。
バックエンドエンジニアの将来性
需要があるという点では将来性は豊かと言えますが、Web環境の状況の変化にどれだけ対応できるかが問われます。
Webサイト構築のエンジニア作業は減っている
例えばクラウド化の推進などでWebサイト構築のエンジニア作業が減っています。また、社内サーバーを設置する企業も減少傾向を見せており、その意味では仕事そのものが減っているのです。ただし、開発全般の需要は年々上昇しており、改修や変更のニーズもすぐになくなることはありません。そのため、バックエンドエンジニアの需要は今後も続くといえるでしょう。
フロントエンドの知識も重要になる?
バックエンドエンジニアの業務をつづけていくにあたり、サーバー側のプログラムを極めていく方向性は多くのエンジニアが目指すものです。一方でバックエンドに加えてフロントエンドの仕事も一部担当することで評価を高めているエンジニアも増えています。基本はバックエンド、しかしフロントエンドにも柔軟に対応可能、そんな「使い勝手の良さ」を備えたエンジニアが活躍しやすい時代になりつつあります。
Webエンジニアで生き残るには?
このようにWebエンジニアは需要そのものは増えている一方、目まぐるしく進化と変化が進んでいく業界に柔軟に適応していくことが求められています。基礎となる専門的な知識はもちろん重要ですが、つねに学び続け、時代の需要に応えられるスキルと知識を持ち続ける向上心が生き残るうえで求められるでしょう。