ネットワークエンジニアに必要なスキル
このように設計から運用、セキュリティ対策まで幅広い業務を担うことになるため、ネットワークエンジニアにはさまざまなスキルや知識が求められます。
ネットワークの企画、要件定義
まずどのようなネットワークを構築していくことになるのか、企画や要件定義ができる提案力。クライアントのニーズに基づいて設計していくことになるとはいえ、専門家の立場から修正や逆提案を行う機会も出てきます。逆に言えばこうした提案を通してクライアントが当初想定していた以上によいネットワーク・クラウド環境を築いていくことができるかがネットワークエンジニアの評価を決めるポイントとも言えるでしょう。
この企画・要件定義の提案力には広い知識だけでなく、後述するコミュニケーション能力や最新の動向をチェックする情報収集力なども欠かせません。
ネットワーク機器の配置とテスト
ネットワークを正常に構築・運用するためには機器を正しく配置したうえでテストを行うスキルが必須です。当たり前のように思えるスキルですが、ネットワーク環境は各クライアントによって異なりますし、用意する機器、ネットワークを構築する状況も違ってきます。そうした状況に合わせて臨機応変に対応したうえでネットワークが正常に機能するよう整えていく必要があるわけです。
そのためには単に専門的な知識を詰め込むだけでなく、豊富な経験に裏付けられた柔軟対応力なども必要になるでしょう。
トラブルシューティングと障害対応
先ほども触れたように「正常に稼動するのが当たり前」なネットワーク環境。万一トラブルが起きてしまうと業務全体がストップしてしまう恐れもあります。しかしどれだけ綿密に対策を行っても「起こる時は起こる」のがトラブルというもの。そんな時に早期に適切な対策を行い、復旧できるかどうかが問われます。これもネットワークエンジニアの重要な役割です。
あらゆるシチュエーションを考慮に入れたうえでトラブルシューティングに対応するためには幅広い知識が欠かせませんし、またこうしたトラブルに実際に対処した経験も大きな武器になります。これは実務経験がとくに重要になってくる部分とも言えるでしょう。
コミュニケーション能力
そしてコミュニケーション能力。先ほど上げた企画・要件定義の段階でのアドバイスや逆提案、さらによりよいネットワーク環境を構築する上での提案、セキュリティ対策など、クライアントとうまく付き合い、こちらの意見に耳を傾けてもらえる環境づくりも欠かせません。設計のように一時的な状況でコミュニケーションを機能させるスキルと、保守・運用のように継続的な関係を築いていくなかで職場全体とコミュニケーションを機能させるスキルの両方が問われます。
ネットワークエンジニアに必要な知識
スキルと並んで専門的な知識もネットワークエンジニアには欠かせません。設計や運用に欠かせない基本的な知識はもちろん、時代のニーズに応えられる知識を積極的に収集していく心構えも求められます。
ネットワーク機器・通信技術の専門知識
当然のことながらネットワーク機器・通信技術に関連した専門知識が欠かせません。ただ日進月歩に技術が進歩していく世界ですから、つねに自分の中で専門知識をアップデートしていく必要があります。これは次に挙げる情報収集力とも関わってきますし、先ほどスキルのところで上げた企画や運用などにも関わってきます。クライアントに合った通信環境や機器の提案も大事な役割のひとつだからです。
ITに関する十分な業務知識、情報収集力
ITに関する業務知識はとくにアップデートが欠かせない部分です。次から次へと新しいソフトウェアやアプリケーションが登場するなかでどのようにネットワーク環境を構築・運用していくか。これはセキュリティとも関わってくる大事な部分です。一年前に施したセキュリティ対策がいつまでも有効とは限りません。リアルタイムでITの動向をチェックし、つねに改善に必要な情報・知識を収集し続ける必要があるのです。
この点はトラブルシューティングにおいても大きな意味を持ちます。未知のトラブル、これまでのトラブルシューティングでは対応できない問題を抱えたときにどうするか?最新の動向をチェックしているかどうかで大きな差が出てきますし、日ごろ収集していた情報をどううまく活用するかによっても違いが出てきます。その意味では十分な業務知識や情報収集力だけでなく、その知識・情報をいかに柔軟に活用できるかも求められるでしょう。
フリーランスのネットワークエンジニアが高単価で働くコツ
このようにフリーランスの単価は業務内容によって異なるほか、キャリアによっても違いが出てきます。言い方を変えればこれまでどのようなキャリアを積んできたかによって担当できる業務が決まってくる部分もあるため、将来的に高単価で働けることを視野に入れたキャリア作りも求められるのです。
信頼される実績を増やす
高単価のネットワークエンジニアとして働くのコツの第一歩はやはり実績を増やすことです。それも設計・構築など重要な役割を担当し、「この人なら大丈夫」と信頼される実績を積み重ねていくことができるか。近年ではネットワークエンジニアがクラウドシステムの構築に関わる傾向も見られることからこの分野での実績も欲しいところです。大きなトラブルを対処した、セキュリティ環境の分野で活躍したといった実績も有利になります。
上流工程の経験を積む
信頼される実績とも関わる点ですが、できるだけ上流工程の経験を積むことも意識しましょう。継続的で安定した就業環境を得やすい保守・運用よりもやはり設計、構築、テストなどシステムの根本に関わる上流工程での実績のほうが高単価に結びつきやすくなります。
資格を取得する
このように実務経験が単価・収入を大きく左右するわけですが、経験の不足を資格で補うこともできます。代表的なものとしてはCisco system社のネットワークに関連した知識・スキルを証明する「シスコ技術者認定」、国家試験の「情報技術者試験」にカテゴライズされている「ネットワークスペシャリスト」などが挙げられます。まだ経験が浅い場合にはまずこうした資格を取得したうえでできるだけ上流工程の仕事に就けるようにし、信頼させる実績を積み重ねていくとよいでしょう。