クラウドとは
クラウドとは、インターネットなどのネットワークを通してユーザーにサービスを提供する形態のことです。コンピューティング、データベース、ストレージ、アプリケーションなどのITリソースを必要なときに、必要な量だけ利用するという考え方が支持され様々な分野で利用が進んでいます。
クラウドを利用するメリットは、ハードウェアやソフトウェア購入に関する初期投資を抑えられる、環境構築の時間を短縮できる、メンテナンスや管理が不要といった点があげられます。一方で、サーバーの安定性やセキュリティ上のリスクは、デメリットとされています。
クラウドコンピューティングは、物理サーバーに複数台のサーバーを仮想的に立てることができる仮想化技術により成り立っています。そのような仮想サーバーは、データセンターの集約にもつながる技術です。
IaaS
そんなクラウドのシステム・サービスのひとつがIaaS(イアース)です。これは「Infrastructure as a Service」の頭文字をとったもので、仮想サーバーなど従来の情報システムの稼動に用いていたインフラをネットワーク上のサービスで利用できるサービスのことを言います。非常に自由度が高いのが特徴で、自分たちが利用するハードウェアのスペックやOSを自由に選ぶことができるため導入しやすい面を持ち合わせています。
PaaS
一方PaaS(パース)とは「Platform as a Service」の略称、こちらはアプリケーションソフトが稼動するためのデータベース、プログラムなどを提供するサービスのことです。アプリケーションが稼動するために必要なハードウェアやOSを開発したうえで大規模なデータを扱える環境にしやすいのが特徴です。エンジニアの観点から見ると特定の設計に基づいたうえで開発することになるため、効率がよい一方で自由とがやや低い面もあります。
クラウドが影響を与える職種
クラウド環境が普及することによって影響を受ける職種がいくつかあります。ここでは、具体的に4つの職種について、どのような影響があるか詳しく見ていきます。
インフラエンジニア
クラウドエンジニアが台頭してくることで、インフラエンジニアは影響を受けると考えられています。インフラエンジニアはサーバーやソフトウェア、ハードウェアといった社内ネットワーク・データベースといったインフラ整備の業務を行っていますが、そうした環境がクラウドシステムに切り替えられていくことで、業務上の変化は避けられないでしょう。インフラエンジニアからクラウドエンジニアへ転身するケースも多くありそうです。
サーバーエンジニア
サーバーエンジニアは、サーバー技術に特化したエンジニアです。サーバーの役割や機能をどのようにするかを考え、アプリケーションなどを組み込み、サーバーを設置したり管理することが仕事内容になります。クラウドサーバーの利用が増加しているため、新規構築の仕事は今後減少していくかもしれません。
しかしながら、クラウドサーバーの利用が増えたとしても、セキュリティの観点などから自社サーバーの需要が完全になくなることはないと思われます。保守・運用業務に関しては今後も続いていくでしょう。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、ネットワークの設計・構築をおこなうエンジニアです。どのような回線を利用し環境を構築していくのかなどを考え、運用や監視業務も仕事に含まれます。ハードウェアや物理機器にふれることも多い職種です。規模によって役割ごとに複数の担当が現場で協力する場合もあるでしょう。
ネットワークエンジニアの業務でもクラウド技術への対応は必要になっています。今後は、複数の環境でいかに効率よくネットワークを稼動し、社内全体の業務の効率化に役立てることができるかが問われるでしょう。
データベースエンジニア
データベースの設計・構築やチューニングなどを行う専門技術を持つエンジニアがデータベースエンジニアです。
データベースエンジニアについてもクラウドシステムにデータを保管する形になるため従来のように自社のデータベースの管理よりもクラウド環境においてデータをどう迅速に扱うことができるかを重視した環境づくりが求められます。
クラウドエンジニアに必要なスキル
クラウドという新しいシステムの設計・実装を手がける仕事だけに従来のエンジニアとしてのスキルはもちろん、プラスアルファの知識・スキルが求められるのも大きな特徴です。
クラウドの知識や経験
クラウドエンジニアであれば、当然ながらクラウド全般に関する広い知識や経験は求められてきます。AWSをはじめとするパブリッククラウドについての理解だけでなく、エンジニアとしての技術力も必須になってきます。サーバーやネットワーク、データベースへの知識がなければ対応できないこともあるため、これらへの知識やスキルもおのずと必要になってくるでしょう。加えて、運用や保守のフェーズで使いやすいだけでなく、コストの面も考慮された設計を施せる設計力も重要です。
自己管理能力
これは特にフリーランスのクラウドエンジニアに言えることですが、自己管理能力も重要になってきます。クラウドエンジニアの案件は長期にわたるものが多く、複数案件を掛け持ちする場合には特にスケジュール管理を含めた自己管理が必要になってきます。また運用・保守の業務に携わる場合なども、健康管理が大切になってくるでしょう。受注前から、スケジュールに無理はないかなど含めて、よく考えておくことが大切です。
コミュニケーション能力
クラウドエンジニアとしての業務にあたる中で、他のエンジニアとコミュニケーションをして連携を取っていく場面は日常的にあります。チームで稼働する以上、コミュニケーション能力も重要になってくることは当然だと言えるでしょう。特にフリーランスのクラウドエンジニアの場合はクライアント企業に常駐するパターンが多くなります。クライアント先のメンバーと良好な関係を築けることも、稼働するにあたり大切なポイントです。
クラウドエンジニアになるためにとくに必須の資格はありませんが、就職・転職の際に役立つ資格がいくつかあります。先ほど挙げたクラウドサービスを提供している会社と関連がある資格も多いので選ぶ際にはどのクラウドサービスをメインに手がけるつもりなのかも意識する必要がありそうです。
これはAmazonが提供するAWSに関連した専門知識を備えていることを認定する資格です。初級に該当する「認定クラウドプラクティショナー」、中級の「アソシエイト」、上級の「プロフェッショナル」の3段階があるほか、システムオペレーションなど細かい分野にも分けられているのが特徴です。
こちらはGoogleが提供しているGCPに関連した専門知識を認定するための資格です。設計・開発・運用・管理のスキルをー認定するものです。資格には「アソシエイト クラウド エンジニア」、「プロフェッショナル クラウド アーチテクト」「プロフェッショナル データ エンジニア」の3種類が用意されています。
Microsoft社が提供している認定資格になり、Microsoft Azureを取り扱うスキルや知識を問うものとなっています。初級・中級・上級と分けられているので、段階を踏んで取得していくことができます。Microsoft Azure認定試験は、これまで何度か試験の枠組みなどが変更されているため、受験にあたり最新情報をよくチェックしておきましょう。