データ基盤エンジニアの仕事内容
ここからは、さらに細かくデータ基盤エンジニアの仕事内容を見ていきましょう。
データ分析や機械学習のための基盤システム開発・運用
データ分析や機械学習のための基盤システムを開発し運用していくことがデータ基盤エンジニアのメインの仕事です。インフラやアプリケーションの開発に強みがある人なら、そのスキルを使ってデータ基盤の開発・運用にかかわるなかでデータの仕様に詳しくなり、それを活用する側へとキャリアを移行させることもできます。
データ可視化システムの開発・運用
ITシステムは、いまやどんな業界でもそのサービスを展開するにあたって必要不可欠のものです。しかし、従来のITシステムには経営と結合するという考えがなかったため、経営者にとってみるとITシステムがビジネスにどの程度貢献しているのかがわかりにくいものでした。
そのわかりにくかったITシステムの貢献度をわかりやすく、つまり、データを可視化するシステムを開発・運用することがデータ基盤エンジニアの仕事の一つです。専門的な知識を持っている人だけでなく、システムに疎い経営者や他職種の社員にも、データの可視化によってビジネスに与えるITシステムの影響を把握することが可能になります。
システム運用効率化に関する取り組み、仕組み作り、OSSの調査
データが膨大でも、それを適切にチェックし、その都度効率化や最適化を図れるよう管理することもデータ基盤エンジニアの仕事と関係しています。システムの仕組み作りから、実際の運用、その効率化まで幅広く担当することもあるでしょう。
また、オープンソースソフトウェア(OSS)は、ITや通信事業だけでなく金融サービスやメディアなどさまざまな業界にとって重要であり、実際にOSSの管理計画を策定する企業も多いです。それらの企業は、OSSをプロダクトチームやエンジニアリングチームにとって極めて重要なものとしており、その調査としてデータ基盤エンジニアに期待される面も大きいです。
データ基盤エンジニアの年収・フリーランス単価相場
ここからはデータ基盤エンジニアの収入面を見ていきますが、実際に専門として働いている人はそれほど多くないため、以下に掲げる数字はあくまで参考程度に留めておいてください。
正社員で働くデータ基盤エンジニアの平均年収
企業で正社員として働くデータ基盤エンジニアといっても、その企業の規模や業態、サービスの内容などは多岐にわたり、エンジニアのスキルにもかなり幅があります。そのため、データ基盤エンジニアだけの正確な年収の統計はありません。ただ、正社員のデータ基盤エンジニア募集の求人によると、年収は350万円から600万円台のものが多いです。大企業で大規模なデータベースにかかわることができれば、800万円以上の年収も可能でしょう。
フリーランスのデータ基盤エンジニアの単価相場
フリーランスの場合も正確な単価相場はわかりませんが、60~80万円程度と推測されます。もちろんエンジニアのスキルや経験にも大きく左右されますので、キャリアのあるエンジニアならフリーランスでも年収1000万円以上超えてくる人もいるでしょう。その逆に、経験の浅いエンジニアの場合、20~30万円の単価となることも考えられます。
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データ基盤エンジニアに必要なスキル
ここからはデータ基盤エンジニアに必要とされるスキルを簡単に見ていきましょう。
Linuxに関する知識と経験
分散処理システム、IoTの基盤などをオンプレミスで運用する場合にLinuxが使用されていることが多く、データ基盤エンジニアにもその知識が要求されることが多いです。データ基盤エンジニアの求人を実際に見ても、かなりの割合でLinuxのスキルと経験を求めていることがわかります。また、クラウド環境では、コンテナオーケストレーションツールとしてオープンソースのKubernetesやDockerを使用している現場が多いです。
データベースの設計、開発、運用
データベースの開発・運用はデータ基盤のなかでも中核の技術なので、もちろんこれらのスキルも求められます。NoSQLのみならずRDBが必要な現場も多いですし、NoSQLのみが稼働する現場であっても、広くデータベース全般の知識とスキルがあると評価されやすいです。
データ基盤、並列分散システムの設計、開発、運用
生成したデータを加工してデータウェアハウスに入れるまでの一連の設計・開発・運用経験がある方が評価されやすいでしょう。Hadoop、Sparkでの分散処理基盤の構築やバッチ、ストリーム処理の経験です。また、AWSの提供するRedshiftやGoogleが提供するBigQueryの経験も求められることがあります。
アプリケーションの開発・運用経験
データ基盤エンジニアの使用するプログラミング言語で多いのは、Java、Scalaです。それに加え、機械学習やデータ分析で使用されるPythonを習得しておくとよいでしょう。
データ基盤とは
データ基盤とは、データの収集・蓄積といったデータ処理システムや統合データベースを指す言葉です。AIやIoT、ビジネスアナリティクスなど、ビッグデータを活用するためのプラットフォームとして機能します。
一口にデータ基盤にも目的や用途、データパイプラインのフェーズなどに応じて、いくつかの種類に分類されます。ここでは、データ基盤の三つの形式を紹介します。
データレイク
さまざまなデータソースから集めたデータを加工なしに一つの環境に集約したものを「データレイク」と呼びます。データパイプラインの最初のフェーズにあたるデータレイクでは、構造化データだけでなく非構造化データも扱います。スキーマを定義する必要がないため柔軟にデータを活用できます。データレイクに集めたデータは、主にデータサイエンティストなどのユーザーが機械学習などの用途に利用します。
データレイクで重要なのは、元のデータをそのまま集約することです。もし加工してしまっていると、後で加工方法に誤りがあるなどと判明した際に修復できなくなってしまいます。元の状態のままデータが残っていれば、その際の調査や修正も簡単です。データレイクの例としてGCS(Google Cloud Storage)やAmazon S3といったストレージサービスがあげられます。
データウェアハウス
分析基盤として最も一般的なのが「データウェアハウス(DWH)」です。基幹システムやCRMデータ、POSデータなど企業内に様々な形式で保管されているデータを統合して、分析に利用しやすいように整理します。データ間の関連性や正確性が担保されていること、時系列で履歴が記録されていることが重要です。過去のデータを整理して保管するという意味で、「倉庫(ウェアハウス)」と呼ばれます。
データウェアハウスでは、データレイクと異なり構造化データを扱います。つまり、ローデータ (raw data)をそのままコピーするのではなく、処理済みのデータを保存します。データウェアハウスは分析基盤として利用するため、どこから取得したデータなのかをわかるようにし、データアナリストなどの分析者がSQLでデータを抽出できる状態にします。
データ基盤エンジニアが扱うデータウェアハウスとしては、BigQuery、Hadoop、Redshiftなどの分散データストアが一般的です。
データマート
データウェアハウスをカスタマイズして、特定の用途や利用者に向けて加工した状態を「データマート」と呼びます。完成品ですぐに使える状態なので「市場(マート)」です。データマートがしっかり整備されていると、対象データを複雑な集計なしに見ることができますし、大量データの処理もパフォーマンスを気にすることなく行えます。エンジニアだけでなく、専門知識のない営業などの他職種にもわかりやすい形にすることが大切です。
データマートの例としては、TableauやRe:dashといったBIツールがよく使用されています。
データ基盤エンジニアの将来性
ここ数年で日本国内のデータ通信量は数倍にも膨らんでいます。2020年にはデータ爆発時代と呼ばれるほどの大量のデータが発生するとの試算もあり、今後、IoTや機械学習、予測分析などの導入を検討する企業も加速度的に増えていくでしょう。経営の意思決定をサポートするためのデータ分析やAIを続けるには構築した基盤を保守・運用していくことも重要です。そこで必要とされるのがデータ基盤エンジニアです。
現在、データ基盤エンジニアとして働いている人はそれほど多くありませんが、その需要は年々高まっています。つまり、この先も採用ニーズはある程度見込めるということです。未経験からAIや機械学習に直接たずさわるデータサイエンティストを目指すことも可能ですが、インフラや開発経験がある場合は、データ基盤エンジニアをおすすめします。
まだまだ需要に応えられるだけの十分なスキルを持つデータ基盤エンジニアは少ないですから、今のうちからしっかりスキルアップを図っておくことで多くの企業にとって貴重な人材になり得ます。最新技術を習得していくことが前提ですが、データ基盤エンジニア自体の将来性は明るいと言えるでしょう。