ERPのフリーランス求人案件

ERPとは？

ERPとは、Enterprise Resource Planningの頭文字を取った略称です。ヒトとモノとカネ、そして情報という企業にとって欠かせない経営資源を一元管理して、業務効率化を図るシステムが、ERPにあたります。ERPでは、各部門における業務を見直して効率化を図るだけでなく、部門をまたいだ業務の改善を行うことによって、生産性を向上させて、組織全体の最適化を目指すことが可能です。

業務内容

ERPエンジニアの業務では、ERPシステムの導入から運用に至るまでの工程を担当します。ERP製品を取り扱う業務のうち、ERP製品を導入するためのプロジェクトの設計や開発、テストといった実作業が中心となります。

ERP製品を扱う職業には、クライアントの企画や要件定義のサポートを中心的な業務とするERPコンサルタントもあります。ERPエンジニアとERPコンサルタントの違いを明確にせず、同一の名称で一括りにして取り扱っている企業もあるため、その点には注意してください。

ERP案件の定義とは

ERP案件には、一言でこれが正解であると定義するのが難しいという性質を帯びています。どのようなERPが適しているかは、企業によっても、その時々の社会情勢によっても、大きく変わってきます。企業Aで有効な方法であっても、企業Bでは必ずしも効果的ではないという可能性もあるのが、ERPの特徴です。ERP案件は、個々の企業向けに最適なデータの活用のあり方を提案する業務と言えるでしょう。

ERP案件のフリーランス求人動向・案件傾向

ERP案件のフリーランスの求人動向として挙げられるのが、ほぼ全ての案件において、エンジニアとしてのシステム開発の経験が必須条件になっているという点です。また、そのうちの半数近くの求人案件に、ERPエンジニアの実務経験が必須条件もしくは歓迎条件として記載されています。ERPに携わった経験を求める傾向が強いため、2～3年程度はERPエンジニアとしてのキャリアを積んでいる方が、フリーランスとして独立ができる可能性が高まるでしょう。

ERPシステム導入コンサルティング

ERP製品に携わる案件は、ERPシステム導入コンサルティングとシステム開発の大きく分けて2つに分類されます。ERPシステム導入コンサルティング案件の場合、クライアントから指定されたERP製品に関するコンサルティングを行う業務を担当する案件です。指定されたERPシステムを導入するにあたって、事前に企業の経営状況を把握して、現状分析や課題の抽出を行った上で、ERPシステムを導入するカスタマイズをします。カスシステム導入後のサポートも含めて担当する案件もあれば、システム導入のカスタマイズといった限られたフェーズのみに携わる案件もあります。

システム開発

ERP製品のシステム開発案件は、導入するERPシステムの設計や開発フェーズに携わる案件です。クライアントへのコンサルティングが必要な案件もみられ、エンジニアとしてのスキルに限らず、コンサルティングスキルも求められます。コンサルティングを行う場合、高度な分析能力や論理的思考力に加えて、クライアントと円滑にやり取りを行うためのコミュニケーション能力を身につけておくことが重要です。

ERP案件の単価・年収相場

フリーランスのERPエンジニアとして働く場合、単価や年収の相場はどれぐらいなのでしょうか。大手のフリーランスサイトによれば、フリーランスのERPエンジニアの平均月収は約70万円です。12ヵ月稼働した際の年収相場は、およそ840万円となります。なお、担当する業務内容によっても、単価相場には差がみられます。月間報酬の相場は、保守作業であれば70万円～100万円、設計作業では100万円～130万円、開発作業では80万円～100万円程度です。

ERP案件に求められるスキルや知識

ERP案件に参画する場合、どのようなスキルや知識が求められるのでしょうか。ITシステムと関連性の深いスキルや知識から、クライアントとコミュニケーションを取る上で欠かせないスキルまで、ERP案件に求められる幅広いスキルについてご説明します。必要なスキルや知識に対する理解を深めて、ERP案件の獲得を実現してください。

ERPシステムの知識・経験

ERP案件に携わるには、ERPシステムに関する豊富な知識を習得しておく必要があります。ERPシステムにはどのような種類があり、それぞれにどのような特徴があるか、機能を備えているかをしっかり理解しておくようにしましょう。ERPシステムには、多種多様な分野のシステムがあります。人事管理、会計管理、生産管理、ワークフローなどのうち、どれか一つでも自身が得意とする分野があると、ERP案件の獲得をする上で有利です。

企業の業務についての知識

ERP案件においては、ERPパッケージに関する知識だけでなく、担当する企業の業務についての知識を身につけることが大切です。クライアントの業務内容や目的を正しく把握して、現行分析を踏まえて課題を抽出するだけでなく、クライアント業界に対する理解を深めておくのがおすすめです。業界に対する知見を得ることで、業界内でのクライアントの位置付けが把握でき、どのような業務をどのようなシステムの導入によって改善すればよいかという具体的な解決策が見出せるようになります。

問題解決のスキル

クライアント企業の抱える現状における問題点を見つけて、今後の課題を抽出するERPエンジニアには、高度な問題解決のスキルが必要です。商品の受発注といった限られたフェーズに限らず、全体像を整理した上で、適切な提案を行える総合的なスキルを身につけるように心がけてください。会計的な整合性も意識して、複合的な視点から業務効率化を図ることが求められるため、実践的に経験を積んで、問題解決のスキルを養うのが理想です。

コミュニケーション能力

ERPエンジニアは、ITエンジニアのなかでも様々な人と接する機会が多い職種です。案件を獲得する上では、まずクライアント企業に対して、分かりやすく効果的にプレゼンテーションを行って、案件を勝ち取ることが求められます。案件の契約後には、クライアントから丁寧にヒアリングをして、どのような課題があるかを明確化することが必要です。クライアントに限らず、ユーザーやシステム開発者と接する機会もあります。どのような立場の人とも円滑にコミュニケーションを取り、情報共有ができる姿勢を意識することが大切です。

語学力

ERP案件を獲得する上で不可欠なのが、語学力です。ビジネスがグローバル化し、インアウトやアウトインと称される企業のM&Aが進む時代にあって、多種多様な言語を操れるスキルを持つ人材を求めるERP案件が増加しています。ERP案件に参画する際には、必ずしもバイリンガルレベルの語学力を要する案件ばかりではありませんが、高度な語学力がある方が有利です。特に、英語に関しては、ビジネス現場で通用する読み書きやメールでのやり取りができるスキルを習得するようにしてください。

ERP案件獲得や年収アップに役立つ資格

フリーランスとしてERP案件を獲得するには、実務経験が重視される傾向が強いですが、自己アピールをする上で有利となる資格もあります。ERP認定コンサルタントやSAP認定コンサルタントといったERP製品を取り扱うスペシャリストの証になる資格から、プロジェクトマネージャーや中小企業診断士などのコンサルティングのスキルをアピールできる資格まで、ERPエンジニアにおすすめの多種多様な資格をご紹介しましょう。

ERP認定コンサルタント

最初にご紹介する資格が、ERP認定コンサルタントです。ERP認定コンサルタントは、ERPの代表的なパッケージであるSAPシステムを開発しているドイツのSAP社が認定しています。ERPパッケージのコンサルタントやエンジニアとして必要なスキルを持っている証になるという点は、ERP認定コンサルタントの大きなメリットです。一方で、SAP製品やそのバージョンに限定された資格であるという点には注意が必要です。他社のERPパッケージを扱う上では、必ずしも有利に働かない可能性もあると認識しておきましょう。

SAP認定コンサルタント

ERP認定コンサルタントの資格は、SAP認定コンサルタントと称されることもあります。世界的に高く評価されたSAP社が認定する資格であり、国内に限らず、海外の案件獲得を視野に入れたフリーランスにとっては、有利に働く資格と言えます。

SAP認定コンサルタントを目指す上でネックとなるのが、資格取得までに掛かるコストです。資格試験自体は5万円程度で受験できますが、試験合格に向けてSAP社の講座を受講する場合、100万円近くの費用が必要となります。個人で受講するよりも、企業側が人材投資として費用を負担しているというケースが多いのが現状です。

オラクルマスター

つづいてご紹介する資格が、オラクルマスターです。オラクルマスターは、日本オラクル社の認定資格で、データベースシステムの「ORACLE Database」の管理や運用ができるスキルを示すことができます。ORACLE Databaseは、国内シェアが高いデータベースであり、国内企業のERP案件獲得に有利です。

オラクルマスターには、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナという4つのレベルの資格があります。ゴールドやプラチナの試験の受験資格として、従来は履修が必要なコースが決められていましたが、現在は特定のコースを履修しなくても受験可能です。

基本情報技術者試験

ITエンジニアとしてのスキルをアピールする上でおすすめなのが、基本情報技術者試験です。基本技術者情報試験は、IT業界の登竜門と称される試験で、独立行政法人・情報処理推進機構が実施する国家試験です。ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系の各範囲から基礎的な知識を問う問題が出題されます。国家試験の情報技術者試験の試験区分は、レベル1～4に区分され、基本情報技術者試験はレベル2に位置付けられています。合格率は4割前後であり、決して簡単な試験ではありません。

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験よりもワンランク上のITエンジニアの証となる試験です。実施しているのは、情報処理推進機構であり、情報技術者試験の4区分のうち、レベル3に位置付けられた上位資格にあたります。応用情報技術者試験に合格するには、ある程度のITスキルがある人であれば、200時間程度の勉強が必要だとされています。ERPエンジニアを含めたITエンジニアは、システム開発における下流工程よりも、上流工程を担当する方が、より高い収入を得られる傾向が強いです。応用情報技術者試験に合格し、高度なITスキルがあることを証明すれば、年収アップを望むことができるでしょう。

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトマネジメントの責任者に値する高度なスキルの証となる国家資格です。試験を実施しているのは情報処理推進機構で、情報技術者試験の4つの区分のなかで、最もレベルが高いレベル4に該当します。ERPエンジニアとしての経験を踏まえて、プロジェクトチームの中で責任ある立場に立って活躍できる人材として活躍したいという場合、プロジェクトマネージャーの資格取得を検討してください。

中小企業診断士試験

次にご紹介する資格が、中小企業診断士です。中小企業診断士は、中小企業の経営状態を適正に診断し、アドバイスを与えることができるスキルを有することを示す国家資格です。試験内容は、経済学や経済政策、財務・会計、経営法務など多岐に渡り、資格取得によって実践的なマネジメントスキルを身につけることができます。企業の現状分析を踏まえて成長戦略に役立つ助言をするのが、中小企業診断士の役割であり、ERP案件においても、活用できる場面が多い資格と言えます。

簿記

つづいてご紹介するのが、日本商工会議所の簿記です。ERP案件で携わる業務は、企業の会計と関連性を持つ機能を導入するためのプロジェクトが中心で、簿記や会計に関する専門的な知識が求められます。簿記検定試験に合格すると、経営活動を客観的に整理して、経営や財務の状況を明確化できるスキルの証明になります。簿記検定試験には、原価計算初級、簿記初級、3級、2級、1級の5つがあります。ERPエンジニアの場合、簿記2級レベルを取得すると、実務をより円滑に行うことができるでしょう。

ERPの今後の需要や将来性

最後に、ERPの今後の需要や将来性についてお伝えします。近年は企業のM&Aや企業再編が進むなかで、業務システムを改善するためにERPパッケージを導入する企業が増えており、ERPの需要が高まっています。ERPパッケージ市場全体が盛り上がりを見せる傾向がみられ、将来性は明るいと言えます。

また、2027年問題に対して理解を深めることも重要です。多数の企業が採用している「SAP ERP 6.0」のサポートが、2027年に終了する予定であることから、他のERPパッケージに乗り換える企業が増加していて、ERPエンジニアの需要が高くなっています。