機械学習の仕事に就きたいというエンジニアの方も多いですが、
未経験からキャリアチェンジを考えている方へアドバイスはありますか?
この業界に限らず、ITエンジニアが未経験の仕事にチャレンジするには、自分から飛び込む勇気がすごく大切だと考えています。職場とか環境が与えてくれて経験させてもらえるのを待っていると、新しい分野に挑戦することってなかなかできないと思います。なのでそこに飛び込む勇気は持っていたいですよね。
また、勇気を持つためには実力があったほうがいいわけで、勉強も重要です。最近は、機械学習やAIに関する理論を体系的に学ぶための書籍がかなり充実しています。論文も多く発表されています。実践する際のプログラミングコードについても、QiitaやGitHubなどで公開もされているものが沢山あり、仕事として経験しなくても勉強できる環境がとても充実していますよね。
「それでも理系の勉強は辛い」といった方は、ちょっと向いていないかもしれません。機械学習とかデータサイエンティストというとなんとなく格好いいんですけど、勉強そのものが楽しくないと、その業界に飛び込んでしまった後にかなり苦労してしまうと思います。
機械学習エンジニアやデータサイエンティストになったあとに求められるものは?
数学の知識とコンピュータの知識に加えて、「勘と経験と度胸」が必要ということはデータサイエンスの世界でよく言われています。加えて、私はデータサイエンティストに必要なのはド根性だと考えています。
データサイエンスや機械学習というのは、やってみても成果がでるかどうかはわからない世界です。会社で未知のことを任させる機会も増えてきます。仮に勉強が苦にならずスキルをみにつけ就職できたとしても、それでもやっぱり上手くいかないことって多いんですよ。
通常のITプロジェクトでも仕様に基づいて品質よくプログラムを作るというのは、それはそれで大変な仕事なんですが、仕様を果たすというゴールがあるわけです。
一方で、機械学習のプロジェクトは終わりのない世界です。プログラムを作ってみてダメだったら違う手法で試す、あるいは、データを集めなおすところからやり直すというように成果がでるまで、新しい挑戦や勉強を続けることが求められます。
AI効果という話あります。いざ実現すると、「それはAIではない」というように見られ、単なるシステム機能の一部とみなされてしまうんです。何度も成功したことがあるような、自信がもてる成果は、「機械学習」や「AI」とは認められにくくなるんです。
そうすると機械学習エンジニアとしてバリューを出すためには、また新たな知見発掘のために新しい取り組みにチャレンジしないといけない。そのように、未経験のことに取り組むことが常に伴うので、本当に成果を出せるのだろうかといったような怖さは常につきまといます。
データという世界で常に冒険やチャレンジをしつづけなければならないのが機械学習エンジニア・データサイエンティストという職業です。そのため、やりとげるド根性が一番大事なのではないかと思う次第です。