【初心者向け】MATLABとは?できることやPythonとの違いを解説

MATLABとは数値計算や科学技術分野でのシュミレーションなどの計算技術を用いた、大量のデータから自動的に特徴を抽出して学習する技術であるデープラーニングの分野で活用されるプログラミング言語です。
AIなどの機械学習でも活用されていますが、日本では同じような用途のPythonと比べて、知名度はそれほど高くはありません。
この記事では、初心者向けにMATLABで可能なことや、学習方法などとともにMATLABの将来性についても詳しく解説していきます。
目次
MATLAB(マトラボ)とは

MATLAB(マトラボ)とは、幅広い分野で利用されている数値計算ソフトでもあるプログラミング言語です。 主に理工学や経済学など数値計算を必要とされる分野で活用されています。
MATLAB(マトラボ)の誕生と歴史
MATLABは1970年代後半に、クリーブモラー氏により開発がなされました。 当時、MATLABはニューメキシコ大学でのみ使用されていましたが、利便性の評価の高さから他の大学でも使用されるようになりました。
この当時エンジニアだったジョン・N・リトル氏が、のちにクリーブモラー氏と会った際にMATLABが商用的に利用できることに気づき、1984年にMathworks社を設立しました。
Mathworks社を設立することにより開発に拍車がかかりMATLABは、プログラミング言語で記述されたプログラムをコンピュータが実行できる形式に変換するC言語で書き直されることになりました。
データ分析が得意なプログラミング言語である
MATLABは、人気のプログラミング言語でもあり、日本法人が販売する日本語の公式ページも充実しています。
外部のデータを取り込み分析を行う機能が含まれているため、データクリーニングや記述統計などが可能です。 また、工学・理学・経済学など、さまざまな分野で使用されていて、専門的な処理を行う言語としては、世界中で数多くのユーザーが使用しています。
MATLABをつかってできること
MATLABの活用範囲は多岐にわたります。また、数値計算からレポーティング・テストまで、一貫して研究者やエンジニアの生産性の向上が可能なものとなります。
MATLABの使用用途について下記の7つを解説します。
- 数値計算やデータ解析
- ディープラーニングを利用したアルゴリズム開発
- CやC++言語のコード生成
- Simulinkとの連携によるシミュレーションやシステム開発
- コンピューティングビジョン分野における画像解析
- ロボット工学分野におけるシステム開発
- ハードウェアとの連携
数値計算やデータ解析
MATLABの特徴のひとつとして、高速な数値計算能力があげられます。 研究者やエンジニアはデータを基に、MATLABを使用して気候学・予知保全・医学研究・金融などの分野でデータ解析を行います。
ディープラーニングを利用したアルゴリズム開発
ディープラーニングとは日本語では深層学習のことです。 MATLABは、MATLAB自身が学習しながらアルゴリズム開発が可能です。
AIを発展させるうえで欠かせないディープラーニングですが、データを学ぶだけではなくその背景にあるパターンやルールなど、人間に近い思考に近い形で学習します。 具体的に自動運転技術などがあげられ、標識や信号機・歩行者などの認識および検出などです。
CやC++言語のコード生成
MATLABには、CやC++言語のコードを生成する機能があります。
この機能は、MATLAB Coderと呼ばれMATLABで記述したコードを、CやC++言語に変換することができます。 MATLABで実装したコードをCやC++のコードに変換することで、計算速度の向上が可能になります。
Simulinkとの連携によるシミュレーションやシステム開発
Simulinkは、MATLABの開発会社のMathWorks社が開発・販売をしているソフトウエアで、シュミレーションやシステム設計のためのブロック線図環境のことです。
MATLABとSimulinkは相補的な関係にあり、組み合わせて使用することでMATLABで作成したアルゴリズムとSimulinkでのシュミレーションが可能となり、高度なシステム開発が期待できます。
コンピューティングビジョン分野における画像解析
コンピューティングビジョンとは、コンピュータが自動的に画像を正確かつ効果的に認識し、記述するために使用する技術です。
さまざまな分野で用いられており、画像認識・顔認証・自動車運転・医学画像解析・物体検出などがあげられます。 具体的に顔認証は高度な物体検出ですが、顔を検出するだけではなく目や鼻・口の位置や特徴を元に、個人との照合を行い出勤システムなどに利用されています。
ロボット工学分野におけるシステム開発
ロボット工学のアルゴリズムに関する分野でMATLABが使用されています。
センサー反応・カメラの映像などでロボットの動きを制御するシステム開発が可能になりま り、産業分野をはじめ、医療・介護分野を中心に研究開発が進められています。
ハードウェアとの連携
ハードウェアと連携することにより、すばやくコードを生成し、使用するハードウェア用に変換できます。
信号処理・画像処理などをはじめ、幅広いアプリケーションに対応可能です。 コードを生成し、組み込みプラットフォーム上で試作できます。 生成したコードを独自のアプリに統合し、iPhoneやAndroidデバイスなどのモバイルプラットフォーム上で実装して、カメラやビデオなどのオンボードセンサーにアクセスすることが可能になります。
MATLABとPythonの違いとは?
MATLABとPythonは、どちらの言語でもデープラーニングやデータ解析を行うことができますが、難易度と価格に大きな違いがあります。
比較ポイント | MATLAB | Python |
---|---|---|
料金 | 基本は有償 | 基本は無償 |
得意分野 | 数式計算処理 | ディープラーニングなど 機械学習全般 |
言語方式 | インタプリタ言語 | インタプリタ言語 |
サポート | 専用ヘルプあり | ユーザーフォーラムなど |
MATLABは商用ソフトウェアであるため有償ですが、Pythonはオープンソースであるため無料で利用できます。
言語の難易度を比較するとPythonのほうが習得しやすいといえます。 対するMATLABは、専門的な知識とされており工学的・科学的な問題解決への対応がしやすく、エンジニアが習得する言語として認知度が高いです。
MATLABとSimulinkの関係性とは?
Simulinkとは、シュミレーションやシステム設計のためのブロック線図環境のことです。
MATLABと同じMathWorks社によって開発され、MATLABは数値計算や解析・アルゴリズム開発を行い、Simulinkはシュミレーションやシステム設計を行い、相補的な関係にあります。
MATLABとSimulinkを連携し、MATLABで制作したアルゴリズムをSimulinkでシュミレーションすることが可能になり、高度なシステム開発が簡単に行うことが可能となります。
MATLABのプラン・料金体系
MATLABは利用者がどんな組織で活用するかで価格が異なり、ライセンスによって次のように異なります。
利用する組織や用途 | 永久ライセンス | 年間ライセンス |
---|---|---|
企業/官公庁向け (MATLAB Standard) |
30万円 | 12万円 |
教育機関向け (MATLAB Academic) |
7万5,000円 | 3万7,500円 |
学生向け (MATLAB Student) |
9,990円 ※MATLAB、Simulinkおよび10種類のアドオン製品が入ったパッケージ版 |
– |
個人向け (MATLAB Home) |
1万5,500円 | – |
この表からも分かるように、MATRABの初心者向けライセンスには個人用のMATLAB HomeとMATLAB Studentがあります。 しかし、MATLABには試用版もあるので、正式に導入する前に自身に合っているのか無料で試用することをおすすめします。
MATLABの学習方法
MATLABについての学習方法は、下記の2つがあります。
- MATLABの日本語学習サイトMathWorksで学ぶ
- MATLABに関連する書籍で学ぶ
MATLABの日本語学習サイトMathWorksで学ぶ
MATLABの日本語サイトは、充実しておりMathWorksではMATLABの無料チュートリアルを公開しています。
MATLAB入門では日本語対応をしており、自分のタイミングで学習が可能です。 コースではビデオ解説とテスト・フィードバックが含まれており、ディープラーニングやMATLAB基礎や複雑なデータの読み込みや可視化のコースも充実しています。
ただし、学習サイトの利用にはMathWorksアカウントが必須です。
MATLABに関連する書籍で学ぶ
MATLABの概念を知り基本的なプログラミングの知識を身に付けるには、書籍で学習することをおすすめします。
また、関連書籍で学習する際の注意点として、自分のレベルに合ったものはもちろんですが、最新の情報が掲載されているかを含めて、書籍を選ぶ必要があります。
MATLABのインストール方法

MATLABを始めるには、インストールが必要です。
インストールする方法は比較的簡単で、いくつかのステップを踏む必要があります。
下記は、基本的な手順です。
MathWorksアカウントの作成
MATLABをインストールするには、MathWorksのアカウントが必要です。
手順は下記の通りです。
- MathWorksアカウント作成ページにアクセスする
- 必要な情報を入力する
- 「次へ」をクリックする
- 正しいメールアドレスを使用していることを確認し「続行」をクリックする
- アカウント用のパスワードを作成し「次へ」をクリックする
- メールに送信された認証コードを入力する
- OnlineServiceAgreementに同意し「次へ」をクリックする
- 要求された情報を入力し「次へ」をクリックでアカウントの作成が完了する。
MATLABのダウンロード
下記はダウンロードの手順です。
- インストーラーをダウンロードしますが、ダウンロードするにはネット環境が必要です。
- ダウンロードしたいライセンス番号を見つけます。
- 該当するライセンス行にある下向きの矢印をクリックします。
- OS/Platform用ダウンロードとラベル付けされたボタンをクリックして、MATLABの最新バージョンのインストーラーをダウンロードします。
MATLABインストーラーの起動
上述のMATLABのダウンロード手順の1.2.3.4. の手順に従って進むと、ブラウザからインストーラーの実行または保存を促された場合は、保存を選択しダブルクリックでインストーラーを起動します。
インストールの起動により、MathWorksアカウントで試用しているライセンス情報が求められるので、適切なライセンス情報を入力します。
MATLABのインストールオプションの選択
MathWorksインストーラーを使用してオプション製品を追加インストールするには、下記の2つの方法があります。
MathWorksソフトウエアの拡張方法に応じて追加の製品を購入してインストールしたり、既にライセンスを保有している製品の機能を拡張したりできます。
アドオン エクスプローラーを使用してMATLABアドオンを取得してインストールをします。
MATLABの将来性
自動運転機能やロボット工学・AI開発などの最先端分野で需要が拡大し、特に研究開発の現場での需要が高まっているため、MATLABの将来性は高いといえます。 MATLABは数学処理やデータ解析の分野で革命的なソリューションを提供し、数十年にわたり進化してきました。
また、コード記述をせずに操作が可能な直感的プログラミング環境と豊富なツールボックスを提供し、さまざまな分野で優れた機能を発揮しています。
MATLABは研究者から産業応用まで幅広く活用され、未来の科学技術の発展に大きな貢献をしています。 多くの研究機関や企業で活用され、エンジニアリング・制御システム・信号処理・画像処理などの専門分野はもちろん、教育分野でも幅広く利用されています。
学生や研究者が数学や工学の分野でのアプローチをする手段として活用されており、次世代の教育ツールとしても重要な位置を占めています。 そのため、今後も安定した需要が見込まれるとともに、今後もMATLABは進化し続けると考えられます。
まとめ
MATLABは、気候学・予知保全・医学研究・金融コンピューティングビジョン・ロボット工学などの分野でデータ解析を行い、ディープラーニングの機能が含まれているためMATLAB自身が学習しながらアルゴリズム開発が可能です。
また、数値計算からレポーティング・テストまで、一貫して研究者やエンジニアの生産性の向上が期待できます。
MATLABとPythonとの違いについては、難易度と価格に大きな違いがあります。
また、SimulinkはMATLABと同じMathWorks社によって開発されSimulinkは相補的な関係にあり、組み合わせて使用することでMATLABで作成したアルゴリズムとSimulinkでシュミレーションが可能となり、高度なシステム開発が簡単に行うことができるようになります。
他にもハードウェアと連携することにより、常にMATLABの最新バージョンの機能を使用することができ、異なるプログラミング言語を使用する際に、時間の短縮が可能になります。 MATRABの料金については、初心者向けライセンスには個人用のMATLAB HomeとMATLAB Studentがあります。
しかし、正式に導入する前に自身に合っているのか無料で試用することをおすすめします。 MATLABは、多くの研究機関や企業で活用され、さらには教育分野でも幅広く利用されているため、今後もMATLABは進化し続けると考えられます。

AIを仕事にするためのキャリアノウハウ、機械学習・AIに関するTopics、フリーランス向けお役立ち情報を投稿します。