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データ分析に必要なスキルとは?活かせる職種や資格を解説

データ分析に必要なスキルとは?活かせる職種や資格を解説

近年ではビジネスにおけるデータ分析・活用が一般的となりました。

本記事では、データ分析に必要な「思考的」スキルから「技術的」スキル、スキルの証明となる資格などについて解説しています。

データ分析に必要な「思考的」スキル

データ分析をするにあたっては「思考的」スキルが重要です。思考的スキルとはどういったスキルなのか、ここで詳しく解説します。

  • 分析する問題の背景を読み解く力
  • 適切な分析手法を選ぶ力
  • 分析したデータを活かす力
  • コミュニケーション能力

分析する問題の背景を読み解く力

データ分析の仕事には、目の前のデータを捌くことはもちろん、その先に問題や目的があります。いわば目的のための手段なのです。手段としてデータ分析を活用するには、問題の背景を読み解く力が必要不可欠。現在どのような課題があるのかを洗い出し、なぜその課題が発生しているのかを紐解く必要があります。そして最終的に分析すべきデータを見つけ、必要な情報や集計方法、処理のプロセスなどを決めていくのです。

適切な分析手法を選ぶ力

データ分析の手法は多岐にわたり、問題や扱うデータによって選ぶべき手法は異なります。そのため、問題の背景やデータの特性などを深く理解し、最終的に適切な分析手法を選び取れる能力が必要不可欠です。分析手法に関する知識がないと、正しい選択ができないうえ、分析のミスにも気づけません。データ分析に膨大な労力をかけたのに、努力が無駄になってしまう可能性もあります。

分析したデータを活かす力

お伝えしたように、あくまでデータ分析は「手段」であり、その先に「目的」や「問題」があります。したがって分析を行ったデータを活用し、問題解決に役立てられる能力が必要です。最近ではスマートフォンやAI、IoTの普及によってデータを取得できる範囲も広がっています。さまざまな入手経路から得たデータから何がわかるのか、どういったことに役立つのかを考えることで、活用の道筋も見えてくるでしょう。

コミュニケーション能力

データ分析の仕事は必ずしも「データ分析」だけではありせん。データに可能性を見出し、社内やクライアントに対して最適な提案をするためには、一定以上のコミュニケーション能力も必要です。データ分析を知らない人に提案する場面も多いため、知識がない人が相手でもわかりやすく伝えられる能力も求められます。ほかにも、プレゼンテーション能力や提案力、資料の作成スキルなども必要です。

データ分析に必要な「技術的」スキル

データ分析には、思考的スキルのほかに「技術的スキル」も必要です。技術的スキルとはどういったスキルなのか、ここで詳しく解説します。

  • プログラミングスキル
  • データベースに関するスキル
  • バッグエンドに関する知識
  • ビッグデータ解析に関するスキル
  • データ分析ツールに関する知識やスキル

プログラミングスキル

技術的スキルの代表例として、プログラミングスキルがあげられます。データ分析においては「R言語」と「Python」が用いられることが多く、R言語は統計解析や機械学習向け、PythonはR言語よりも汎用性の高い統計解析が可能です。データベースの構築をはじめアルゴリズム作成、計算式の指示、データ統合など多くの場面でプログラミング言語を用います。

データベースに関するスキル

データ分析に用いられる情報は「データベース」の中に格納されます。したがってデータベースに関する知識や、データベースを構築するスキルが必要です。なかでも、データベース言語である「SQL」のスキルは身につけるべきといえます。SQLではデータベースに保管された膨大なデータを取得、追加、削除、更新、集計、処理可能です。バックエンドとも密接に関わっています。

バッグエンドに関する知識

バックエンドとは、データベースシステムの構築や運営、サーバーサイド処理といった、ユーザーからは見えないシステムの裏側のことです。データの倉庫を意味する「DWH(データウェアハウス)」の設計やネットワーク環境の構築など、データ分析に求められるバックエンド業務は多いので、現場に携わる際は必ず身につけておくべきといえます。

ビッグデータ解析に関するスキル

ビッグデータとは大量のデータの集合体を指し、テキストや画像、動画、音声など多種多様なデータが含まれています。ビッグデータでは大容量のデータを扱うため高度な管理体制が必要であり、データの選定や処理にも大きな負荷がかかるため、分析するには専門的なスキルが必要です。ビッグデータの処理技術は日々進歩しているので、動向をチェックしながら、必要なスキルを身につけておきましょう。

データ分析ツールに関する知識やスキル

データ分析ツールとは、データ分析に関する機能が網羅されたツールのことです。難しい計算や処理を得意とするため、人力では難しい業務にも対応してくれます。しかしツールを扱うのにも専門的な知識やスキルが必要です。データ分析の目的や会社の規模によっても必要なツールが異なるため、まずは自社の課題を洗い出し、それらを解決してくれるツールを選びましょう。

データ分析スキルの証明となる資格

データ分析にはプログラミングをはじめデータベース、ビッグデータなどの知識が求められます。ここではデータ分析スキルを証明できる資格をいくつかご紹介します。

  • 統計士・データ解析士
  • G検定・E資格
  • 統計検定
  • 基本情報処理技術者試験

統計士・データ解析士

統計士・データ解析士は、一般財団法人実務教育研究所が主催する資格です。文部科学省が提供する通信講座を受け、修了することで資格を取得できます。統計士の部門では「現代統計実務講座」を受講し、データ解析士では「多変量解析実務講座」を受講。データを統計的に扱うための知識、データを適切に解析するためのスキルを得られます。データ後に報告課題を提出することで資格を取得可能です。

参考:一般財団法人実務教育研究所

G検定・E資格

G検定とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会が主催するAI関連の資格です。「ジェネラリスト検定」とも呼ばれ、AIやディープラーニングに関する基本的な知識や手法、応用を学べます。具体的な出題範囲としては、人口知能の定義や動向、機械学習の具体的な手法、ディープラーニングの概要や手法、社会実装、数理・統計などです。

問題は220問の選択式で、試験時間は120分。3月・7月・11月の年に3回実施されています。受験資格に制限はないため、実務や実績が少ない方でも受講可能です。

E資格も同協会が主催しており、エンジニアのAI・ディープラーニングスキルを証明するための資格です。具体的な出題範囲としては、数学的基礎をはじめ深層学習の基礎、開発・運用環境、機械学習、深層学習の応用などです。

応用では画像認識や物体検出、セマンティックセグメンテーション、自然言語処理、生成モデルなど専門性の高い内容が問われます。応用数学や開発・運用環境のスキルが問われるなどG資格と比べて応用的です。問題は100問程度の選択式で、試験時間は120分です。

参考:一般社団法人日本ディープラーニング協会

統計検定

統計検定とは、一般社団法人日本統計学会が認定する全国統一試験です。文字どおり、統計に関する基礎知識や応用スキルが問われ、1級、準1級、2級、3級、4級のレベルに分かれています。

もっとも難易度の低い4級ではデータや表、グラフを用いた簡単な統計知識が問われます。出題分野としては、統計的問題解決の方法、データの収集統計グラフ、データの代表値、クロス集計表などです。3級になるとデータの種類や標本調査・実験、時系列データ、データの散らばりのグラフ表現、相関と回帰といった内容が問われます。

2級になるとさらにレベルは上がり、1変数データや2変数以上のデータ、確率や確率分布、推定、仮設検定、カイニ乗検定、線形モデルといった内容です。準1級では確率と確率変数、さまざまな種類の確率分布、統計的推定、マルコフ連鎖と確率過程の基礎、回帰分析、標本調査法などが問われます。

もっとも難易度の高い1級では、「統計数理」と「統計応用」の2つの試験を受験する必要があり、前者では「確率と確率変数」「統計的推測」「データ解析法の考え方と各種分析手法」などが出題。後者では「共通事項」「社会科学」「人文科学」「理工学」などが出題されます。

1級では大学の専門課程レベルの統計知識・スキルが問われ、統計結果を正しく解釈し、コミュニケートできる能力が求められます。

参考:一般社団法人日本統計学会

基本情報処理技術者試験

基本情報処理技術者試験は、IPA 独立行政法人 情報処理推進機構が運営する試験です。エンジニアやプログラマーの受講者が多く、統計士やデータ解析士と比べて専門性の高い資格とされています。出題範囲はデータ分析を用いた戦略立案や提案スキル、プログラミング言語の開発技術、ビッグデータ解析のノウハウなど幅広いです。

参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

データ分析のスキルが活かせる職種

データ分析のスキルは多くの職種に活かせます。具体的な職種例として次のものがあげられます。

  • 研究者
  • 開発者
  • AI・IT技術者
  • コンサルタント
  • プロジェクトマネージャー
  • データアナリスト
  • マーケター
  • リサーチャー
  • クオンツ

研究者

研究者とは、大学や行政の研究機関、民間の研究施設などで研究を行う人を指します。データ分析においては、データの処理方法や解析技術などを研究するケースが多いです。また、研究者に近い職種として「シンクタンク職員」もあげられます。専門知識をもとに政治や社会政策、経営戦略といったテーマに沿って研究を行い、その結果を伝える仕事です。

開発者

開発者は、統計学や数学、工学といった学問をもとに開発業務に携わる職種です。自動車や電製品、車両といった製造業をはじめ農林水産、原料、食料品、宇宙まで幅広く、原理を探求し、ゼロから物を生み出すのが主な仕事。開発するにあたって設計や製造プロセスの分析も行います。

AI・IT技術者

AI技術者は、機械学習やディープラーニングなどのアルゴリズム研究を行う職種です。昨今では車の自動運転技術やモバイル端末の音声認識技術など多くのシーンでAIが用いられ、それらの開発はAI技術者が担います。IT技術者は、いわゆるITエンジニアと呼ばれる職種です。

システムエンジニアやインフラエンジニアなどが含まれ、「データサイエンティスト」や「データアナリスト」などデータ分析を行う担当者が分析をしやすいよう環境を整えるのが主な仕事。具体的にはクラウド基盤を整備したり、データベースの技術選定をしたりといった内容です。IT技術者は「データエンジニア」や「データアーキテクト」とも呼ばれます。

コンサルタント

データ分析におけるコンサルタントは、膨大な情報から有益なデータを抽出し、企業の課題改善に役立てる仕事です。ただ単にデータ分析を行うだけでなく、具体的な提案までワンストップで提供します。より説得力のある提案をするためには、精度の高いデータ分析が必要です。分析したデータをビジネス的に捉え、企業がより良い方向へ向かうよう伴走します。

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトや案件の管理全体を担う人物のことです。人員選定や予算管理、納期管理、品質管理などプロジェクト全体の実行と責任を負い、チーム全体をまとめます。

データ分析に関する大きなプロジェクトが発生した場合に、実際にデータ分析を行う社員と経営層の橋渡し役になるのもプロジェクトマネージャーの仕事です。データ分析経験があり、かつビジネスマインドの強い人はプロジェクトマネージャーに向いているといえます。

データアナリスト

データアナリストとは、企業活動を行うにあたって蓄積したデータを集計・分析する職種です。膨大なデータからビジネスに役立つものを引き出し、企業の課題解決や意思決定をサポートします。データアナリストは「コンサル型」と「エンジニア型」の2種類に分類されます。前者はデータ分析の結果に基づいて解決策を提案するタイプ、後者は結果に基づいて実際にシステムを構築・運用するタイプです。

マーケター

マーケターとは、商品やサービスをより多く販売するためにマーケット(市場)や消費者のニーズを分析し、適した戦略を提案する職種です。データ分析によって客観的かつ正確なニーズを掴めれば、マーケターとして活躍できる可能性があります。市場やニーズは常に変化するため、マーケターにはトレンドへの敏感さも求められます。

リサーチャー

リサーチャーとは、定量・定性的なデータを集め、マーケティングに活かす職種です。たとえば、アンケートを行い、その結果をもとにマーケティングに役立てるといった業務内容があげられます。マーケターと似ていますが、リサーチャーは、分析結果をもとに「本当に商品が売れているのか」「売れていないなら、どこに原因があるのか」まで細かく分析するのが特徴です。したがってリサーチャーの方がデータ分析をより多く行います。

クオンツ

クオンツとは、金融や証券業界で活躍する数学・物理学のプロフェッショナルです。Quantitative Analysis(計量分析)の手法を用いることで、株式価格を決めたり、金融派生商品を開発したりします。具体的には、企業や株価、業績数値などの膨大なデータをもとに統計や根拠のパターンを導き出し、利益を追求します。クオンツの知識は数学や統計学がベースであり、データ分析の応用レベルをクリアしている人であれば十分に目指せるでしょう。

データ分析は課題を見つけ分析結果を活用できるかがポイント

冒頭でお伝えしたように、データ分析は、ただ目の前のデータを分析するだけでなく、課題を見つけ、分析する課題の背景を読み解き、適切な分析手法を選び取ることが大切です。分析によって得られた結果を適切に活用できてはじめて、課題解決や企業利益につながります。

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