Azure案件の特徴とは?案件の単価相場や高単価案件受注のポイント
世界的にクラウドサービス利用が進んでいます。Microsoftが提供しているクラウドサービス「Azure」は、高い信頼性と可用性、幅広く豊富なプロダクトが高く評価されており、日本の大企業でも導入が進んでいるクラウドサービスです。今後もAzureを導入する企業やプロジェクトは増えていくと予想されているため、Azureを扱える優秀な人材が多くの現場で必要とされています。
本記事では、Azureを扱うフリーランス向け案件について解説します。実際に公開されているAzure案件の種類や業務内容、案件例はもちろん、高単価なAzure案件を受注するためのポイントまで解説します。フリーランスエンジニアとしてAzureを扱いたい方はぜひ参考にしてみてください。
Azure案件の種類・業務内容
まずは、Azure案件の種類や業務内容をチェックしていきましょう。フリーランス向けのAzure案件として代表的な5つの案件について、以下で解説します。
- オンプレミスからのリプレイス
- 業務システムの開発
- Webアプリケーションの開発
- 既存のシステムへの機能追加・開発
- インフラ環境の運用・保守
オンプレミスからのリプレイス
1つ目は、オンプレミスからのリプレイス案件です。社内に物理的なサーバーやストレージを設置して構築されていたオンプレミス環境を、Azureのクラウド環境に移行する作業を担当する案件を指します。
オンプレミスのインフラ環境を扱うため、Azureそのものに関するスキルだけでなく、サーバーやネットワークについての十分な知識と経験が求められます。インフラエンジニアとしての経験があれば、Azureの知識を身につけることで活躍の場が広がるはずです。
業務システムの開発
Azure環境上に業務システムを開発する案件も、フリーランス向けの代表的な案件の1つです。Azureは信頼性が高いことから、金融・通信・証券といった、安全性を重視しなければならない業界でも盛んに利用されています。こうした業界向けの業務システム開発案件では高度な開発スキルが要求され、案件の単価も高額になります。
Webアプリケーションの開発
業務システムだけでなく、Webアプリケーション開発にもAzureが利用されています。Webアプリケーションそのものを開発する案件もありますが、フリーランス向けのAzure案件としては、開発用環境の構築や業務効率化、テストや公開、運用保守に携わる案件が多く公開されています。
既存のシステムへの機能追加・開発
すでにAzure環境上で動いているシステムに機能を追加・開発する案件も多数あります。新規にシステムを開発する場合よりも小規模な案件にはなりますが、一度作業に携わるとシステムや業務への理解が深まるため、継続的に同じ案件を依頼してもらえるケースも珍しくはありません。
インフラ環境の運用・保守
Azureを使ったインフラ環境の運用・保守もよくある案件の1つです。リソースの消費に無駄がないかを見直し、コストをカットし、パフォーマンスを向上させられるようにメンテナンスを実施します。Azureを専門的に扱うため、各サービスについて深い理解が求められます。
Azure案件の特徴とは
Azure案件は、インフラ構築・運用保守に関する案件を中心に幅広く公開されていますが、どのような特徴があるのでしょうか。
大企業での利用が多い
Azureは大企業を中心に、大規模な案件で盛んに利用されています。従来は信頼性や可用性について心配する声もあり、Azureをはじめとするクラウド環境の導入には、特に大企業は慎重な姿勢を保っていました。しかしAzureは、セキュリティ性能の高さや可用性の高さが高く評価されており、近年では安全性を確保したい大企業での利用も進んでいます。
金融や証券など、安全性を重視する業界での導入も進んでいるため、Azureを扱うスキルを身につけられれば、大規模な案件に参画するチャンスも十分に期待できるでしょう。
リモートワーク可能な案件もある
Azureに限らずインフラ関連の案件はその性質上、どうしても客先に常駐する案件が多くなっています。オンプレミスのインフラ環境のリプレイス案件では常駐が必須となり、セキュリティ上の理由からリモートワークが禁じられていることも珍しくはありません。Azure案件についても同様に常駐を求められるケースがあることは理解しておきましょう。
しかしながら、Webアプリケーションの開発や構築済みのAzureシステムの運用・保守といった案件であればリモートワークも可能という場合があります。リモートワークでの稼働にこだわる方は、こうした案件を探してみるとよいでしょう。
Azure案件の具体例
AIやデータサイエンス関係の案件に特化したフリーランスエージェント「BIGDATA NAVI」で公開されているAzure案件の報酬相場は、60~150万円/月となっています。
実際に募集されているAzure案件の具体例を確認してみましょう。
案件例|【Azure】データ基盤構築の求人・案件
内容 | |
---|---|
職種 | 分析基盤エンジニア |
単価目安 | ~¥700,000 / 月 |
業務内容 | ・基盤構築リード ・環境要件定義推進 ・DWH・ETL(Synapse)要件定義推進 ・DWH・ETL(Synapse)開発 ・ETL連携方式調査 ・Azureパラメータシート作成 ・Azure環境構築 ・DWH・ETL(Synapse)設計開発テスト ・DWH・ETL(Synapse)開発関連ドキュメント作成(設計書、テスト報告書) |
必須スキル | 何らかのETL開発経験 |
案件例|【Azure】クラウド環境/システム基盤冗長化対応の求人・案件
内容 | |
---|---|
職種 | エンジニア |
単価目安 | ~¥600,000 / 月 |
業務内容 | Microsoft Azureにてシングル構成で商用稼働しているシステムの冗長化 |
必須スキル | ・Windows,Linuxの仮想マシン構築の経験 ・冗長化実装、またはトラブルシューティングの経験 |
案件例|【Azure】PoC実施支援の求人・案件
内容 | |
---|---|
職種 | エンジニア |
単価目安 | ~¥1,150,000 / 月 |
業務内容 | ・要件定義の結果を踏まえたAzure検証環境の構築と設定 ・Azure DataFactoryによるデータ取得とAzure Synapseへの連携の仕組みを設定 ・Azure 環境のコンテナ化 ・上記に付随する標準化に向けたドキュメントや方法論の整備 |
必須スキル | ・Microsoft Azure実装経験3年以上 ・Azure技術についての提案、アドバイスなどの経験 |
Auzreの高単価案件を受注するためのポイント
高単価なAzure案件を受注するためにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、高単価案件を受注するためのポイントを4つご紹介します。
- 要件定義やプロジェクトマネージャーなどの上流経験を積む
- Azure関連の資格を取得する
- WindowsやMicrosoft製品への理解や知識を習得する
- ネットワークやセキュリティに関する知識を習得する
それぞれのポイントについて詳しく解説するので、Azureの高単価な案件を受注したい方はぜひ参考にしてみてください。
要件定義やプロジェクトマネージャーなどの上流経験を積む
1つ目のポイントは、上流工程の経験を積むことです。Azureに限らず、IT系の仕事は上流工程の方が高い報酬を見込める傾向にあります。そのため、要件定義や設計といった上流工程の作業はもちろん、プロジェクトリーダーやマネージャーといったマネジメントの経験があると、そうした高単価な案件に参画するチャンスが増えるのです。
現在会社員としてAzure関係の仕事をしている方は、独立の前に上流工程の仕事に参画できるチャンスがないか、検討してみましょう。すでにフリーランスとして独立している方は、小規模な案件からでも構わないため、上流工程の案件にチャレンジして実績を積むことをおすすめします。
Azure関連の資格を取得する
Azure関連の資格を取得するのも有効な手段の1つです。資格を取得できれば、自分のスキルレベルを客観的な形で証明でき、どのような分野を得意としているのかをクライアントに伝えやすくなります。
Azure関連の資格としては、「Microsoft Azure認定資格」が挙げられます。「Microsoft Azure認定資格」はFundamentals(初級)・Associate(中級)・Expert(上級)の3段階が設定されており、分野ごとにも資格が分けられています。自分自身のレベルや得意分野に応じて資格取得を検討すると良いでしょう。
WindowsやMicrosoft製品への理解や知識を習得する
AzureはMicrosoft社が提供しているサービスのため、同社の他製品と連携しやすくなっています。そのため、Windowsなど同社が提供している他の製品について十分な理解があると、Azure案件を担当するうえで重宝します。Windowsサーバーの構築や運用・保守に関するスキルや、Office365等との連携方法について把握しておくことが大切です。
ネットワークやセキュリティに関する知識を習得する
ネットワークやセキュリティに関する知識も、高単価な案件を受けるためにはぜひ習得しておきたいところです。いずれもインフラ構築や運用・保守を担当するうえで欠かせない知識なので、習得できれば受注できる案件の幅も広がるでしょう。特に、Azureを導入する大企業ではセキュリティ強度が重要視されるため、セキュリティに関する知識が十分にあれば大きなアピールポイントにもつながります。
Azureの基礎知識
ここで、フリーランスのAzure案件受注を目指したい方のために、Azureの基礎知識についても確認しておきましょう。Azureの概要とAzureでできること、基本料金についてご紹介します。
Microsoft Azureとは
「Microsoft Azure」とは、Microsoftが提供しているクラウドプラットフォームのことです。クラウドサービスとしては、Amazonが提供しているAWSに次いで世界第2位のシェアを誇っています。
世界最大規模の巨大なネットワークを構築しており、世界中に60箇所以上のデータセンターを構えてサービスを提供しています。可用性と信頼性の高さが魅力で、日本国内の大企業でもAzureを導入する事例が増えており、今後も十分な需要が期待できるサービスです。
Azureでできること
Azureで提供されているサービスは、「IaaS」と「PaaS」にカテゴライズされます。
「IaaS」とは、「Infrastructure as a Service」の略称で、サーバーやストレージといったインフラ環境を、インターネットを通じたクラウド上で利用できるようにするサービスのことです。「PaaS」は「Platform as a Service」の略称で、アプリケーションを稼働させるためのOSやプログラム実行環境、データベースなどをクラウド上で提供するサービスのことです。
Azureで提供されている「IaaS」と「PaaS」の種類は非常に多岐に渡りますが、以下が代表的なサービスとなっています。幅広いサービスが提供されているのもAzureの魅力の一つです。
概要 | |
---|---|
Azure DevOps | 開発と運用の連携を支援するプラットフォームサービス |
Azure Storage | 大規模なクラウドストレージサービス |
Azure AI | カスタマイズ可能な最新のAIツール |
Azure Active Directory | クラウドベースのIDおよびアクセス管理サービス |
Web Apps Service | クラウドアプリや検索サービスといったWebアプリケーションの効率的な開発を支援するサービス |
コンピューティングサービス | 仮想マシンのプロビジョニングや、アプリのコンテナ化を行うためのサービス |
セキュリティサービス | サイバー攻撃対策やセキュリティ管理を統合するためのサービス |
Azureの料金
Azureは、分単位の従量課金制を採用しているサービスです。従量課金制とは、使った分だけ料金が発生する課金形態のことで、無駄なくコストをかけられるというメリットがあります。長期継続利用で割引が適用されるため、長く使えば使うほどお得になる仕組みにもなっています。日本円での支払いができるのも嬉しいポイントです。
Azure案件の将来性と今後
Azure案件の将来性は高いと考えられています。今後もクラウドサービスの需要は高まると予想されており、全体に占めるAzureのシェア率も年々上昇しているため、Azureを扱えるエンジニアの市場価値も上がると考えて良いでしょう。
世界のクラウドサービスのシェアに関する最新の調査では、AzureはAWSに次いで全体の2位に位置しています。この順位はしばらく変わっていませんが、AWSとのシェア率の差も縮まってきており、Azureの市場が拡大していることも分かるでしょう。(Q1 Cloud Spending Grows by Over $10 Billion from 2022; the Big Three Account for 65% of the Total)
そうした事情をふまえると、今後も大企業や官公庁などの大規模な案件が、フリーランス向けにも多数公開されるのではないかと考えられます。Azureで高単価な案件を受注し、フリーランスとして長く活躍していくためには、Azureそのものを扱うスキルはもちろん、ネットワークやセキュリティなど周辺知識の習得や、プロジェクトマネージャーなどのポジションをこなす経験、Microsoft社製品への深い理解が要求されます。継続的なスキルアップを目指し、高単価なAzure案件を受注するチャンスを広げていきましょう。
AIを仕事にするためのキャリアノウハウ、機械学習・AIに関するTopics、フリーランス向けお役立ち情報を投稿します。