GCP案件の特徴・メリットとは?単価相場や受注のポイントを解説
クラウドサービスの代表格といえばAWSやAzureが代表的になりますが、近年はGoogleが提供しているクラウドサービス「GCP」(Google Cloud Platform)にも注目が集まっています。GCPは豊富な機能とコストの低さ、ネットワークの安定性などが高く評価されており、導入を検討する企業も増えつつあります。こうしたGCPの需要拡大に伴って、GCPに関するフリーランス案件も増加傾向にあります。
本記事では、GCPを扱うフリーランス向け案件について解説します。GCPの基礎知識や特徴に加え、実際に公開されているフリーランス向け案件の具体例や、高単価な案件を受注するためのポイントまで解説するので、GCP案件に関心のある方はぜひ参考にしてみてください。
目次
GCP(Google Cloud Platform)とは?基礎知識
GCP(Google Cloud Platform)とは、Googleが提供しているクラウドサービスの総称です。Google社内で利用されているのと同じインフラ技術を使える仕組みになっており、Googleの高レベルな環境と同じ環境を低コストで構築できるという魅力があります。
GCPのサービス内容
GCPとして数多くのサービスが提供されている中で、代表的なものとして以下が挙げられます。
- BigQuery
- App Engine
- Compute Engine
- Cloud Storage
- Cloud Dataflow
- Cloud Machine Learning Engine
- Kubernetes Engine
ビッグデータの処理・分析で使われる「BigQuery」や、アプリの開発・管理ができる「App Engine」、耐久性が高いクラウドストレージサービス「Cloud storage」や機械学習モデルが簡単に構築できるプラットフォーム「Cloud Machine Learning Engine」が代表的です。
GCPの特徴・メリット
それでは、具体的にGCPにはどのような特徴・メリットがあるのでしょうか。ここでは、以下の4点について解説します。
- 従量課金制でコストを抑えやすい
- ネットワーク環境の安定性
- セキュリティレベルの高さ
- AI・機械学習などにも低料金で利用できる
従量課金制でコストを抑えやすい
GCPの料金プランでは、使った分だけ料金が請求される従量課金制が採用されています。前払いの必要がなく、必要な分だけ無駄なく費用がかかる仕組みになっているため、大規模な予算の投入が難しい場合にも利用しやすいサービスです。
GCPの料金プランでは、一定期間使い続けると、継続利用割引が自動的に適用されるため、長く使うほどお得になる仕組みにもなっています。小規模なプロジェクトから大規模なプロジェクトまで、柔軟に利用できる料金プランがGCPの魅力です。
ネットワーク環境の安定性
世界的なIT企業であるGoogleが提供しているということもあり、GCPはネットワーク環境の安定性が高いサービスです。16万kmにおよぶ光ファイバーで拠点間をつないでおり、最先端のSDNを導入して負荷分散や高速化を実現しています。高い安定性だけでなく、グローバルIPアドレスが同一であればマルチ拠点でアクセスできる利便性も魅力の1つでしょう。
セキュリティレベルの高さ
GCPは、セキュリティレベルの高さも評価されています。アメリカ政府によって認定されている第三者認証「FIPS 140-2」を取得しており、高レベルなセキュリティ対策が施されているため、安全性の高い運用が実現可能です。機密性の高い重要情報を扱う場合にも、GCPの利用が推奨されます。
AI・機械学習なども低料金で利用できる
AI・機械学習やデータサイエンスといった、最先端の技術も低料金で利用できるのが、GCPのメリットです。「BigQuery」や「Cloud Machine Learning Engine」を使えば、低コストでビッグデータ分析やAI開発が実現できます。最先端の技術を扱うには、大規模な予算が必要になるのが一般的ですが、GCPを使えばその課題を乗り越えることが可能です。
GCPのフリーランス案件の最新情報・特徴
GCPは世界的に利用が進んでいるため、GCPを扱える優秀なエンジニアの需要も高まっています。フリーランス向けの案件も募集されているため、スキルさえあれば活躍のチャンスはあるでしょう。
ここでは、GCPのフリーランス案件について、最新の業務内容や単価相場、勤務形態について解説します。
GCP案件の業務内容
GCP案件の業務内容は主に、以下の3種類です。
- インフラエンジニア
- アプリエンジニア
- GCPの代理店業務
インフラエンジニア
GCP案件のうち、最も一般的なのはインフラ関係の業務です。インフラ構築だけを専門的に扱う業務よりも、Linuxを用いたサーバー構築やセキュリティ部門の運用・保守業務を担当することが多く、幅広い知識やスキルが求められます。CSIRTやSOCのメンバーとして勤務する場合もあるため、活躍の場を広げたい場合はセキュリティ関係の知識も身につけておきたいところです。
アプリエンジニア
GCP環境上でのアプリ開発も、フリーランス向け案件としては珍しくありません。プログラミング言語としてはPythonやGo言語、JavaやRubyが要求されることが多く、それらの言語を使ったクラウド環境上での開発経験が求められます。
GCPの代理店業務
GCPの「代理店」から業務を受注することもできます。GCPの代理店は、GCPの支払い代行や導入時の技術的フォロー、GCP環境上での開発支援などを実施している企業です。直接GCPを使って開発するというよりは、GCPを使いたい企業の手助けをするような業務となります。
案件の単価相場
高度で幅広い技術と経験が要求されるということもあり、GCP案件の単価相場は低くはありません。
たとえば、AI・データサイエンス関係の案件に特化した「BIGDATA NAVI」で公開されているGCP案件の単価は、45万円~170万円となっています。また、大手フリーランスエージェント「フリーランススタート」では、GCP案件の平均月額単価は「75万円」となっています。同サイトで公開されている全案件の平均月額単価が「65.9万円」であることを考慮すると、GCP案件は比較的高単価であることが分かるでしょう。
特に、AI開発やビッグデータ分析といった最先端の技術を用いる案件については、高い報酬が設定されているため、スキルがある方にとっては大きなチャンスでもあります。
勤務形態
GCPのフリーランス案件の勤務形態は、客先常駐が中心になると考えて良いでしょう。インフラを構築する場合はどうしてもリモートでは対応しきれなかったり、セキュリティの関係上リモートワークが認められなかったりするためです。
アプリ開発案件であれば、リモートワークができる案件もあります。リモートワークにこだわりがある場合は探してみましょう。
GCPのフリーランス案件の具体例
それでは、実際に募集されているGCPのフリーランス案件の具体例をご紹介します。
案件例|【クラウドエンジニア】GCPの設計、構築の求人・案件
項目 | 内容 |
---|---|
職種 | インフラエンジニア(クラウドエンジニア) |
単価目安 | 〜¥850,000 /月 |
業務内容 | CRM-Customer Relationship Management-(顧客関係管理)をGCP上に構築 |
必須スキル | ・複数のマスタDBから顧客DBへ情報を取り込む(バッチ処理) ・東京リージョン-大阪リージョンの顧客DB間でデータ同期 ・顧客DBの定期バックアップ ・APIによる顧客DBへのアクセス(Cloud Run) ・APIのアクセス管理(Apigee) |
案件例|【GCP/BigQuery】全社横断的DXの求人・案件
項目 | 内容 |
---|---|
職種 | コンサルタント |
単価目安 | 〜¥1,700,000 /月 |
業務内容 | toC向けのマーケティングチームと分析施策のアドバイザリー+データ分析基盤構築+ガバナンス |
必須スキル | ・GCP BigQueryの知見 ・ETL・ELTの知見 ・データガバナンス |
案件例|【AWS/GCP】データエンジニア業務の求人・案件
項目 | 内容 |
---|---|
職種 | エンジニア |
単価目安 | 〜¥1,200,000 /月 |
業務内容 | ・データ基盤や分析基盤の開発、運用 ・AWS/GCP等のクラウド基盤を活用し、機械学習パイプラインやBIツールで利用しやすいデータ構築のためのシステム設計・開発・運用 ・ストリーミング処理開発、挿入されたデータを分析ログとしての価値を高めるパイプライン開発、CI/ CDも活用したインフラ構築の自動化 |
必須スキル | ・コンピュータサイエンス関連の学位、または1年以上のWebサービスのサーバサイド開発運用経験 ・AWSやGCPなどのクラウド利用経験 ・バッチ設計、開発経験 |
GCP案件を受注するためのポイント
高単価な傾向にあるGCP案件ですが、誰でも簡単に案件が受注できるわけではありません。
ここでは、GCP案件を受注するためのポイントについて解説します。
初心者・未経験者向けの案件はある?
基本的には、初心者・未経験者向けの案件はあまり公開されていません。アプリエンジニア・インフラエンジニアとして十分な経験がある場合は受注できる場合も多いでしょうが、経験や実績が少ないうちは受注が難しいと考えて良いでしょう。AzureやAWSの初心者向け案件や、オンプレミスのサーバー構築案件にチャレンジすることから経験を積んでいくことをおすすめします。
また、GCPを使った案件の中にはAI開発やビッグデータ分析を担当する案件も少なくありません。こうした案件は特に専門的な知識が要求されるため、未経験からの受注は困難と考えて良いでしょう。
高単価案件を受注するには?
高単価なGCP案件を獲得するには、「AI」「ビッグデータ」「セキュリティ」のいずれかのスキルの習得を目指すことをおすすめします。
AI開発やビッグデータ分析に関わる案件は報酬単価が高めに設定されていることが多く、市場も急速に拡大しているため、スキルさえあれば継続的な高収入が期待できるでしょう。
セキュリティに関する知識も、身につけておいて損はありません。サーバーやネットワーク、データベースの構築や運用ではセキュリティを意識しなければならないため、セキュリティに関するスキルを身につけられれば、インフラエンジニアとしてのステップアップにつながります。CSIRTやSOCといったセキュリティの専門チームで働くこともできるでしょう。
Google Cloud認定試験の取得がおすすめ
GCP案件を受注するには、GCPを扱うスキルに長けていることをアピールできなければなりません。特にGCP代理店業務のように、GCPに特化した知識が求められる場合には、Google公式が提供している「Google Cloud認定試験」の受験がおすすめです。難易度が低い順に「User certification」「Associate」「Professional」の3つがあります。
エンジニアとして案件の受注を目指したい場合は、「Professional」の資格まで取得するのが望ましいでしょう。「Cloud Architect」「Cloud Database Engineer」など、分野ごとに9つの試験が用意されています。自身の専門分野やキャリアプランに合わせて受験を検討してみてください。
GCP案件の将来性と今後
GCP案件の将来性は高いと考えられています。クラウドサービスのシェアに関する最新の調査では、AWSとAzureが全体の半分以上のシェアを誇っていますが、GCPは全体3位に位置しており、世界のシェアの10%を占めています。(Q1 Cloud Spending Grows by Over $10 Billion from 2022; the Big Three Account for 65% of the Total)GCPの占めるシェア率も年々上昇しており、今後も一定の需要が見込めます。
GCPの将来性が期待できる要因として、AI開発やビッグデータ分析、IoT開発との関係性が挙げられます。AIやビッグデータ、IoTという最先端の技術の市場規模は年々拡大しており、今後も高い需要が見込まれているからです。GCPはこれらの分野との関係が強く、今後もさまざまな分野で活用が期待されています。
フリーランスエンジニアとしてGCP案件を受注していきたい場合は、AIやビッグデータ、IoTといった最先端の分野で通用するスキルの習得を検討してみてください。
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