組み込みエンジニアの将来性って?やめとけって本当?需要やスキルをチェック
組み込みエンジニアは、家電製品や自動車、デバイスなどに組み込まれているソフトウェア、システムを開発するエンジニアです。IoT技術が注目を集める中、組み込みエンジニアの需要も大きく高まってきました。このように組み込みエンジニアは、その需要や将来性に期待が寄せられている一方で、「やめとけ」といった声がインターネット上で見られるというのも事実です。
本記事では、組み込みエンジニアの需要や将来性を見ていくとともに、「やめとけ」と言われる理由についても解説していきます。
目次
組み込みエンジニアの需要
IT業界ではWebやモバイルアプリ、AI分野が急速に広まりを見せたことから、組み込みソフトウェアは古いといったイメージを持っている人もいるかもしれません。しかしながら、IoTの推進などから、再び組み込みエンジニアの需要が高まっているのです。さっそくですが、組み込みエンジニアの需要について詳しく見ていきたいと思います。
IoT化で需要はさらに高まる見込み
IoTとはモノとインターネットをつないで活用をする技術ですが、これらの技術に組み込みエンジニアの存在は欠かせません。組み込みエンジニアは、機器に搭載されたセンサーによるデータ収集やシステム反映、遠隔制御などをさせる工程を開発します。IoTの仕組みを成り立たせるためには、組み込みエンジニアの技術は必須のものと言えます。 IoT機器は一般家庭だけでなく、医療や製造現場などでも活用されており、今後もあらゆる場面でIoT技術が活用されていくことが予想されます。こうしたIoT化の広まりに伴い、組み込みエンジニアの需要もますます高まっていくと言えるでしょう。
若手の組み込みエンジニアの需要は特に高い
そもそもITエンジニアはどの領域でも人手不足の傾向がありますが、組み込みエンジニアの世界では、20代~30代の若い働き手が足りないことが問題視されています。なぜ若い働き手が少ないかと言うと、WebやSaaS企業の人気の高まりから若手人材が流れてしまっている点と、組み込みエンジニアに求められる技術の難易度の高さという点が大きな理由として挙げられています。
組み込みシステムのプログラミング開発言語としてはCやC++、アセンブリ言語が中心になってきますが、これらの習得難易度は高く、学習できるプログラミングスクールなども数多くはありません。人気のJavaやPythonなどを学習する若手エンジニアのほうが多いというのも実情です。加えて、プログラムだけでなくハードウェアの知識も求められる組み込みエンジニアに求められるスキルのレベルが高く、こうした現状から若手の組み込みエンジニアが不足しているのです。
しかしながら、こうした現状を踏まえ、若手エンジニアを採用して社内でスキルを育成していこうという企業も数多くあります。若手の組み込みエンジニアが不足している中、もし20代~30代で組み込みエンジニアに興味があるのであれば、チャレンジできる機会は数多くあるとも言えそうです。
組み込みエンジニアは人手不足と言われている理由
組み込みエンジニアの需要は高いものの、人手不足だとも言われています。ここでは、人手不足だと言われる3つの理由について解説していきます。
独自の知識やスキルが必要
人手不足の1つ目の理由としては、独自のスキルや知識が必要とされることが挙げられます。組み込みエンジニアに必要とされる知識やスキルは、プログラミングスキルやハードウェア・ソフトウェアの知識だけではありません。セマフォやRTOSなども必要になります。セマフォとはプログラムを同時に制御する仕組みのことで、RTOSはリアルタイムOSの略称です。他の分野では求められないスキルなので、意識的に学ぼうとしなければ身につきません。独学で習得するコストも高いので、人手不足の遠因になっています。
CやC++などの習得に時間がかかる
人手不足の理由の2つ目は、プログラミングスキルの習得に時間がかかることが挙げられます。組み込みエンジニアに求められるプログラミング言語は、C言語・C++言語・アセンブリなどです。C言語やC++言語はその文法も複雑と言われており、習得に時間を要します。現在プログラミングで人気の言語は、わかりやすい文法などで習得しやすい点を特徴としているため、比較するとどうしても「時間がかかる」という印象にもなりやすくなっています。
ハードウェアの知識も必要になる
組み込みエンジニアになるには、ハードウェアの知識も求められてきます。組み込み対象の仕様を理解した上でソフトウェアの仕様にもつなげていく必要があるため、回路図面への理解など、ハードウェアに関した知識がなければ対応できないでしょう。また、場合によってはソフトウェアの開発時点でハードウェアの設計書・仕様書が完成していないこともあり得ます。そういった際にハードウェアの図面だけを参考にして、設計などを進める必要があるのです。このように技術的に求められることが多くあるため、適任となる人材が少ないと言われています。
組み込みエンジニアは「やめとけ」と言われる理由
インターネットなどで、組み込みエンジニアはやめておいたほうがいいという声を見かけることがあります。その理由としては、仕事の量と求められるレベルが高いことが挙げられます。ここではやめておいたほうがいいという具体的な理由についても、いくつか見ていきましょう。
ハードワークになりがち
組み込みシステムの開発は、万が一バグやエラーが発生したとしても、一度リリースしてしまえばすぐには修正対応ができません。そのため、リリース前からあらゆる状況やリスクを考慮した上で開発を進めていかなければなりません。当然ながら、作業には納期が設けられているため、おのずとハードワークになりがちという傾向があります。組み込みエンジニアが人手不足だと言われていることも、ハードワークになりがちな遠因となるでしょう。こうした状況から、「やめとけ」という声も挙げられています。
求められる知識やスキルが高度
求められる知識やスキルが高いことも、組み込みエンジニアが敬遠されてしまう理由の1つでしょう。高度なプログラミングの知識だけでなく、ハードウェアやソフトウェアの理解も求められます。日々成長していく業界なので、常に新しいスキルを学ばなければなりません。海外の説明書を理解するには、ある程度の英語力も必要になります。やりがいのある仕事ですが、人によっては仕事を面倒と感じる人もいるでしょう。
転職市場で求められる組み込みエンジニアになるには
ここでは、転職市場で求められる組み込みエンジニアの特徴について、紹介していきます。
課題発見力を磨く
組み込みエンジニアの歴史は長く、インターネット登場以前から存在している仕事です。そしてテクノロジーやネットワークの進化に合わせて、組み込みエンジニアに求められるスキルも常に進化してきました。人々の生活を変えるようなイノベーションを起こすためには、課題を発見する力が重要となってきます。物事を広い視点でとらえ、課題点に気づき技術力で解決できる、そんな組み込みエンジニアになれれば、あらゆる企業で重宝される存在となるでしょう。
新しいプログラミング言語やITの知識を習得する
新しいITのトレンドや知識を習得することも大切なポイントです。組み込みシステムに関する情報収集だけでなく、AIやIoTなど、流行している分野に関する基礎知識なども取り入れることで、時代の変化にも対応できる組み込みエンジニアとなれるでしょう。
組み込みエンジニアが扱っている代表的なプログラミング言語は、C言語になりますが、C++やJavaも使用頻度が多い言語です。すべての言語を習得する必要はありませんが、複数習得しておくとさらに求められやすくなります。TRONやOSEKなどの知識も持っていれば、仕事の対応力が増し評価も上がっていくでしょう。
並列処理のスキルを身に着ける
並列処理のスキルとは、マルチコアやマルチスレッドに対応したプログラミングのことを意味します。半導体技術は日々進化しハードウェアに組み込まれているCPUも高度化、高速化しています。それに伴って、多くのデバイスで並列処理が可能になりました。この並列処理の能力を発揮するためには、並列処理に最適なプログラムを実装していかなければなりません。並列処理のスキルは、デバイスの能力を最大限発揮させるためには不可欠なものです。その能力を備えているエンジニアは、企業から必要とされやすいでしょう。
コミュニケーションスキルを磨く
組み込みエンジニアは技術的なスキルだけでなく、コミュニケーションスキルも求められます。エンジニアの仕事はプロジェクトごとにチームを組み、それぞれに仕事を割り振るという形で開発していきます。仕事の足並みを揃えるためには、コミュニケーション能力が必要になります。一人のエンジニアとして経験を積んでいった場合、複数のエンジニアを束ねる地位につくこともあります。プロジェクトマネージャーになった場合は、プロジェクトのスケジュールやクライアントへの説明など更にコミュニケーションスキルが求められていくようになるでしょう。
組み込みエンジニアの将来性
IoTは今後ますます社会に普及していくと予想される中、組み込みエンジニアの将来性は高いと言えます。特に今からエンジニア業界に参入しようとしている若手は、引く手あまただと言えるでしょう。ただ組み込みエンジニアになるためには、複数のプログラミング言語を身に着けなければなりません。長く働くためにはしっかりとした知識が求められるので、習得するのに時間がかかることは覚悟の上で、トライしてみると良いでしょう。
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