iOS案件の単価相場は?フリーランスのiOSエンジニアになる前に
スマートフォンが社会に浸透するなか、iPhoneアプリの開発や運用を担当するiOSエンジニアの需要も引き続き堅調に推移しています。フリーランス求人の引き合いも多い領域ですが、業務委託の案件では、どの程度の単価が期待できるのでしょうか。
この記事では、SwiftやObjective-Cなどの言語を用いてアプリケーションの開発をおこなうiOSエンジニアの報酬金額の目安、必要なスキルなどを紹介します。今後の需要や将来性についてもみていきましょう。
目次
iOSエンジニアのフリーランス求人動向
スマートフォンやタブレット端末などからネイティブアプリを通じてゲームやコンテンツ、メディアなどの配信やサービス提供をおこなう企業が増加しており、モバイルアプリの市場規模は拡大傾向が続いています。それに伴い、アプリ開発や運用を担当するエンジニアの求人需要も高まっています。
国内のスマホOSのシェアでiOS(iPhone)がAndroid OSを上回っており(2021年2月時点)、即戦力を求める現場では業務委託でスポット的にiOSエンジニアを調達して開発を進めるシーンも増えています、新規のアプリケーション開発や既存アプリの機能追加、アップデート、バグ修正などの運用、テスト、など背景に応じたポジションで人材が募集されています。
iOSエンジニアとして働く場合は、iOS端末で動作するアプリの開発に必要な「Swift」「Objective-C」というプログラミング言語の習得が必須です。プロジェクトによっては他の言語を使った開発経験が求められることもあり、「Java」や「C++」、「組み込み・制御系」などの経験があると有利です。
フリーランスの求人に応募する際は、まずはクライアントが求めるスキルを自分が持っているか確認することが大切です。またiOSはアップデートが頻繁に行われるので、それにあわせたアプリの改修が何度も行われます。そのため、アプリを作るだけでなく、継続的にプロジェクトをフォローする保守運用の力も必要とされています。
iOSとは
iOSとは、Apple社が開発・運用しているオペレーティングシステムのことです。iPhoneやiPod touch、iPadなどのモバイルデバイスに搭載されています。MacやApple WatchなどApple製品との互換性が強く、複数のデバイスを連携して使用することが可能です。
安定性が高いという特徴があるiOSでは、フリーズしにくくクオリティの高いアプリがたくさん登場しています。開発当初はユーザーのアプリ制作は認められていませんでしたが、開発環境が整備されオリジナルアプリを作れるようになりました。
iOS案件の報酬・単価相場
会社員から独立して、フリーランスのiOSエンジニアへの転向を考える際、平均的な報酬について気になる人も多いと思います。フリーランスと正社員では、どちらが高収入を狙えるのでしょうか。
ここからは、業務委託でiOSエンジニアとして働いた場合の報酬や年収の目安をお伝えします。
iOSエンジニアの単価相場(フリーランス)
iOSエンジニアを募集するフリーランス案件の平均的な単価の相場は月あたり60~70万円です。年収に換算すると約720~840万円となるでしょう。報酬の金額は扱える言語や経験年数によっても前後しますが、企画や設計フェーズから担当する場合は月の単価報酬が80万円以上となるケースもあります。全てのiOSエンジニアが高単価案件を担当できる訳ではありませんが、受注状況によっては年収が1,000万円を超える場合もあります。
iOSエンジニアの平均年収(正社員)
求人ボックスの給料ナビによると、正社員として働くモバイルエンジニアの平均年収は551万円です。また、フリーランススタートの調査では、正社員iOSエンジニアの平均年収は約550万円と言われています。年代別の年収は、20代で373万円、30代で509万円、40代で605万円、50代で701万円です。会社員のiOSエンジニアとして経験を積むほど高い年収が期待できますが、企業やポジションによっても昇給の度合いは前後します。
iOSエンジニアの案件例
iOSエンジニアが対応する案件は、主に「アプリ開発」「ゲーム開発」「技術顧問」などが挙げられます。ここからは、フリーランスが参画する具体的な案件の内容について解説していきます。
アプリ開発
iOSエンジニアの対応業務の一つに、iPhoneアプリなどiOS端末で動作するソフトウェアの開発があります。アプリ開発ではクライアントとともに、開発の方向性や機能やシステムの要件、技術要素などについて話し合うことから始まります。参画する工程によっても業務内容は異なり、事前に決められた仕様書や設計書をもとにコーディングを担当することもあれば、設計から公開するまでの全ての工程を担当することもあります。
ただし、小規模な開発を除き、複数人で分担してプログラムを組み開発することが一般的です。アプリを公開する前には、動きに問題はないか、バグがないかといったテスト業務も行います。大規模なアプリ開発案件の場合は、テストエンジニアや品質保証のチームが検証作業を行う可能性が高いでしょう。
ゲーム開発
フリーランスのiOS案件の中で、比較的大きな割合を占めるのがゲーム関連の案件です。ソーシャルゲームやオンラインゲーム、カジュアルゲームなどスマホゲームの市場は年々拡大しており、運用中ゲームの画面表示のデバッグや処理速度の向上、追加機能の実装、バージョンアップ対応などは常時需要があります。
新規ゲームを開発する場合、要件定義から設計、実装、テストなど様々な業務を行います。ゲーム業界では、大規模案件が多いため、一部のタスクを担当するケースが多くなります。チームで進捗を確認しながら開発を進めるため、他のチームメンバーと円滑にコミュニケーションすることも求められます。
技術顧問
社内にアプリ開発に関する経験豊富な人材がいない場合、技術顧問というポジションで求人が出ることがあります。ベテランがいないスタートアップや新規事業でスマホアプリ開発に参入する会社、エンジニアの開発能力を向上させたい企業などがiOSエンジニアの技術顧問を募集する傾向にあります。
技術に関するコンサルティングやアドバイザリーは開発サポートや専門性を補う立場のため、企業によって求められる内容が違うのが特徴です。
例えば、エンジニアのスキル強化が課題の企業では、コードレビューやペアプログラミング、集合研修や教材作成、エンジニアとのミーティングに参加するといった業務が求められます。
iOS案件の参画に必要な知識・スキル
では、フリーランスのiOSエンジニアとして活躍するにはどのような知識やスキルが必要になるのでしょうか。
アプリの開発
iOSエンジニアには、アプリ開発に関する知識やスキルが求められます。開発環境のXcodeやRxSwiftやAlamofireといったライブラリに加え、重要なのはiOSの独自環境でのアプリ開発に必要な「Swift」と「Objective-C」というプログラミング言語です。フリーランス案件の募集要項でも、必須スキルとして記載されていることが多いでしょう。
Swift
SwiftとはiOSアプリの開発に欠かせないプログラミング言語のことです。Apple社から発表されたプログラミング言語で、iOSアプリやApple WatchなどのApple製品のアプリに対応しています。それまで開発に使用されていたObjective-Cに代わり、近年ではSwiftが主流として活用されています。
Swiftはユーザーだけでなく、エンジニアの使いやすさも考えて設計されているのが特徴で、これからiOSエンジニアになりたいと考えているなら、まずはSwiftについて学習するのがおすすめです。
Objective-C
Objective-Cとは初期のiOSアプリ開発で使われていたプログラミング言語で、C言語をベースにしてオブジェクト指向が取り入れられているのが特徴です。Apple社がObjective-Cを開発言語として認めたことにより、iOSエンジニアの必須スキルとなりました。
Objective-Cは、他と比べて複雑な言語なので、比較的習得が難しいと言われています。Swiftが登場してからは案件数が少なくなっているものの、iOSエンジニアとしては使えると便利な言語なのです。
アプリの保守運用
保守運用業務は、iOS環境のアプリを最適な状態で提供し続けることであり、大切なスキルの一つです。アプリを利用する際に動作が重かったり、画面がフリーズしたりといった不具合が起こるケースが考えられます。またアプリをリリースした後は「機能を追加してほしい」など、ユーザーから様々なフィードバックが届くようになります。
そのため、iOSエンジニアは不具合の修正や新機能の追加などを行い、より良いアプリへと改善していきます。全てのアプリが1度リリースしたら終わりという訳ではないのです。
高単価のiOSエンジニアを目指すために
iOSエンジニアの求人動向や必要なスキルなどについてお伝えしてきました。ここからは、より高単価なエンジニアを目指すために必要な経験やスキルを紹介します。
開発マネジメントやコードレビュー
独立する前の会社員時代にスマホアプリ開発のマネジメントやコードレビュー経験がある人材は重宝されます。プレイヤーとしての高い技術レベルに加え、コードの評価や新人教育の経験を持っている人は、視野が広くビジネスにおいても信頼できると考えられるからです。
経験豊富なiOSエンジニアは、一般的な単価相場より報酬が10万円程度アップする可能性が高いでしょう。
企画や設計など上流工程の経験
エンジニアとして単に開発やプログラミングのスキルがあるだけでなく、アプリの企画や要件定義、設計などの上流の業務経験がある人材も重要視されることが多いです。
また、ビジネスや事業拡大の観点から全体を理解して、効率化や施策を提案できるエンジニアは少なく、そのような人材は報酬も高くなる傾向にあります。
iOS案件の需要と将来性
ここからは、iOSエンジニアの需要と将来性について紹介します。まず、スマートフォン・タブレットなどモバイルアプリ全体の市場規模に関するデータを確認しましょう。令和3年版「情報通信白書」では、世界のモバイルアプリ売上高は2021年に2137億ドル、2023年には2647億ドルに達すると予測されています。また、日本国内では、2021年に289億ドル、2023年に365億ドルが見込まれており、ゲームやSNSだけでなく、学習や翻訳、IoTやVR/ARといった領域でも今後の成長が示唆されています。
そして、スマートフォンアプリの市場は、iOSとAndroidに二分されており、国内において両者のシェアは拮抗しています。Android端末を持つ人が増えGoogle Playのダウンロード数も多くなってきたものの、iPhoneの利用者はまだまだ多く、App Storeで流通するiOSアプリ開発の求人需要が減少する兆候はみられません。この先、数年ですぐに仕事がなくなるということは考えにくいでしょう。
アプリ開発について、React NativeやCordova、UnityなどをもちいてiOS・Android両方に対応できるハイブリッド開発の取り組みもみられますが、当面は従来通りのネイティブアプリ開発が主流と考えられます。ただし、iOSの開発需要はApple社の製品やiPhoneの今後の販売動向に左右されます。トレンドの移り変わりが早いIT業界で働くなら、常に情報収集して時代に合わせた判断をしてください。将来起こりうるリスクを考えて、KotlinやJavaなどAndroidで使用する言語も学んでおくと良いでしょう。
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