キャリア

Webエンジニアの平均年収・給料事情

サービスの開発や運用などWeb業界で活躍する技術職が「Webエンジニア」です。未経験からエンジニアへの転職やキャリアチェンジを考える際にもウェブ系の仕事で稼げる給料や生涯賃金は気になるところです。

この記事では、Webエンジニアの平均年収や給料を、年代別や経験の有無などの切り口で紹介します。未経験から就職する方法やその後のキャリアパスも解説します。

Webエンジニアの年収・給料

Webエンジニアとなることを考える場合、チェックしておきたいのは年収がどれくらいなのかという点。人生設計を立てる上でも、Webエンジニアの平均年収を知っておくことは大切です。

Webエンジニアの平均年収

厚生労働省が発表した賃金構造基本統計調査(平成30年度版)によると、全年齢、全職種を対象とした全国平均年収は約464万円となっています。これに対し、Webエンジニアの平均年収は450~525万円だという調査結果(複数の求人サイト調べ)があります。調査により若干の違いはありますが、概ね全国平均と同じくらいであると言えます。また、条件によっては全国平均を上回ることも可能です。

年代別のWebエンジニアの年収

Webエンジニアとしての年収に関しては全年齢を対象とした平均年収よりも、20代や30代に限定した年収の方が、就職を考える際の参考になるのではないでしょうか。というのは、平均年収が高くても20代や30代での年収が低いようでは、生活していくのが困難になることもあるからです。仕事へのモチベーションを維持するためにも、ある程度の年収は必要です。

20代

賃金構造基本統計調査によると、全職種を対象とした20~24歳の全国平均年収は約292万円で、25~29歳の全国平均年収は約362万円です。一方求人サイトの調査では、Webエンジニアの20代の平均年収は360万円だとされています。一概には言えませんが、Webエンジニアの20代での平均年収は、全職種を対象とした20代後半での全国平均年収とほぼ同じだということが分かります。

30代

厚生労働省の同じ調査によると、全職種を対象とした30~34歳の全国平均年収は415万円で、35~39歳は462万円です。Webエンジニアに職種を限定した場合、30代の平均年収は約486万円となっており、全国平均を超えています。つまりWebエンジニアの年収は、経験を積むことによって全国平均より多くなる可能性が高い、と言えるのです。

Webエンジニアで年収1000万円以上は可能?

結論から言うと、Webエンジニアが年収1,000万円を超えることは可能です。とはいえ誰でもが、年収1,000万円を超えられるわけではありません。会社員で年収1,000万円以上を稼いでいるWebエンジニアは少数です。年収1,000万円を超えるためには、そのような給与テーブルの会社に転職したり就職が必要となります。独立してフリーランスでやっていくとしてもそれなりの努力と対策が求められるでしょう。

Webエンジニアの仕事内容

IT関連のエンジニアは種類が多く、エンジニアを目指すのであれば担当する仕事についてあらかじめ知っておくのが大切。Webエンジニアの主な仕事内容は「Webサービスの開発」と「サイトの保守・運用」の2つです。また、SlerとWeb系企業の違いについて理解しておくのも大事です。

Webサービスの開発

インターネットで、GmailやYouTube、AmazonなどのWebサービスを利用したことはありませんか?これらのようなWebサービス(Webアプリケーション)を開発するのが、Webエンジニアの仕事の1つ。Webサービスにもいろいろあり、自社のサービスとして開発する場合と、クライアントの依頼を受けて開発する場合とがあります。

また、仕様書に合わせてWebサイトを構築するのも仕事です。どちらにしてもWebに関わっており、Webの特性上Webエンジニアはフロントエンドエンジニアと、バックエンドエンジニアの2つに分かれます。

フロントエンドエンジニア

フロントエンドエンジニアとは、Webサイトやスマホアプリなどの目に見える部分の開発に関わるエンジニアのことです。ブラウザに表示される部分を担当するので、デザインやユーザーインターフェースなどの設計・開発を行う場合もあります。

フロントエンド開発に必要となるスキルとしては、HTMLやCSSのコーディング、JavaScript、PHPなどが挙げられます。

バックエンドエンジニア

同じWeb開発でもユーザーの目に触れる部分を担当するフロントエンドエンジニアに対し、バックエンドエンジニアは目に見えない部分を担当します。サーバーサイドエンジニアと呼ばれることもあり、サーバーやデータベースなどといった裏側に関するプログラムを担当します。

仕事を行うためには、RubyやPythonなどのスクリプト言語を習得する必要があります。また、OSやミドルウェアに関する知識も必要です。

サイトの保守・運用

WebサービスやWebサイトは、開発すればそれで終わり、というものではありません。実際に運用しなければなりませんし、その過程で不具合が見つかったり、変更箇所が発生したりする場合には、対処するのもエンジニアの仕事です。ログ収集や監視・分析のほか、定期的なメンテナンスも必要です。

場合によっては、SEOに関する仕事を行うこともあります。そのためWebエンジニアは、幅広い分野の知識を得ておくのが大事です。

SlerとWeb系企業の違い

Sler(エスアイヤー)は、クライアントの要求する仕様に沿ったシステムを構築するのが仕事です。企業向けシステムの開発・構築を請け負う会社で、クライアントに常駐してシステムに関するあらゆる作業を行います。

これに対しWeb系企業で働くエンジニアは、Webを使った自社サービスを提供するのが仕事です。自社サービスのみを開発・提供するので、Slerのように他社から依頼されることはありません。またSlerとWeb系企業では、必要となるスキルも違います。

Webエンジニアへの就職・転職

Webエンジニアへ就職・転職したい場合に知っておきたい項目には幾つかありますが、その中でも特に重要なのが次のようなものです。

Webエンジニアは激務?ブラックじゃない?

「Webエンジニアは激務ではないのか?」そう思っている方も多いかもしれません。確かに以前は残業が多いブラック企業もありましたが、現在はホワイトな会社も増えています。ベンチャーやスタートアップでは労働時間が多い会社もありますが、労働環境はまさに会社によって違いがあるのは事実です。従業員が仕事をしやすいような配慮を行っている会社がある反面、利益の追求のみを考え、従業員の負担を考慮しない会社もあります。転職・就職を考えている会社はどうなのか、あらかじめ調べておくのが肝心です。

優良企業を見分けるポイント

労働環境は、仕事をしていく上で疎かにはできない点の1つです。そのためできるだけ、就職先としてホワイトな会社を選ぶのが大事です。優良企業を見分けるポイントとしては、次の3つが挙げられます。

格安・低単価の会社は避ける

まず、提供しているサービスや製品が格安・低単価の会社は避けましょう。業界標準よりも値段が安かったり・低単価の仕事はあまり利益が出ないものです。そのため利益が上がらないしわ寄せが、従業員の人件費に向かいかねません。他社よりも給与が少ない場合がありますし、サービス残業を強要される可能性もあります。長く務めたいのであれば、安売りの会社は避けるのが賢明です。

フレックスや副業OKなどの制度の有無

IT/Web系企業の中には、フレックス制度やリモートワークなどの働き方を導入している会社も見られます。テレワークなら在宅勤務など、自分の生活に合わせて仕事ができますし、身体の負担も軽くなります。福利厚生の内容と共に、それらの勤務形態を導入しているかどうかも調べておきましょう。また、副業がOKかどうかも見逃せないポイントです。というのは、副業がOKならば簡単に年収を増やすことが可能になるからです。副業制度に関する情報も、事前にしっかりと集めましょう。

技術情報やSNSでの発信が活発か?

インターネットの普及に伴い、技術情報の発信を行う企業が増えています。情報の発信が活発な企業は、会社内の風通しもよいことが多いもの。従業員の交流が盛んで、切磋琢磨している例もよく見られます。また、そういった企業は勉強会などの開催にも熱心です。自分を高め、スキルアップするためにも、技術情報やSNSでの発信が活発な会社かどうかチェックしておきましょう。

未経験からWebエンジニアに転職する方法

どの分野にしろ、エンジニアは技術職に分類されるもの。必要なスキルを有しているのが当然と考え「未経験者ではなれないのでは?」と思ってはいませんか?次のような方法を実践すれば、未経験者でもWebエンジニアになるのは可能です。

プログラミングを学ぶ

Webエンジニアには、プログラミングスキルは必須です。面接を通過するためにも、あらかじめプログラミングを学んでおくのは大事なこと。プログラミングの参考書は数多く出版されていますし、ネット上で学ぶのも可能です。少なくとも基本だけは掴み、どういった仕組みなのか理解しておくよう努めましょう。

ポートフォリオを作る

ポートフォリオはご存じですか?Portfolio(ポートフォリオ)は自分の作品集とも呼べるもので、面接の際に自分をアピールするためによく使われます。過去の実績や学んだことをポートフォリオとしてまとめ、アピールしやすいようにしておきましょう。

未経験や初心者からWebエンジニアを目指すのであれば、自分で作成したWebサイトやWebサービスをポートフォリオにするのが効果的です。

プログラミングスクールに通う

プログラミングを独学で学ぶのは可能ですが、それには困難を伴うのも事実。独学で学ぶのが難しいような場合に、おすすめなのがプログラミングスクールです。プログラミングスクールなら不明な点などを先生や生徒に聞けますし、共に学ぶ相手がいるのは励みにもなるでしょう。

入学金や受講料などお金はかかりますが、勉強に適した教材を用意してくれるので効率的に学べます。また、プログラミングスクールを卒業しておけば、面接時にアピールポイントとして使えます。

未経験からWebエンジニアの年収

Webエンジニアの20代と30代の平均年収は、126万円ほど違います。全職種を対象とした全国平均年収と比較すると、20代から30代になった際の年収の伸びはWebエンジニアの方が高くなっています。このようにWebエンジニアは、経験が年収に影響を与える職業です。

未経験でWebエンジニアになった場合、最初の年収は300万円程度でそれほど高くないと考えられます。これは逆に言えば、経験さえ積めば年収アップが見込める、ということでもあります。大切なのは、年収をアップさせるために行動することです。

Webエンジニアの年収を左右する要素・習慣の違い

Webエンジニアの年収を左右するのは、生活や仕事における日々の習慣です。年収が上がる人と上がらない人の特徴を知った上で、年収が上がる人の習慣を自分のものとし、年収アップを勝ち取りましょう。

年収が上がる人の特徴

年収が上がる人によく見られる特徴は、次の3つです。積極的に取り入れ、年収アップを狙うのが肝心です。

勉強やスキルアップを継続している

IT分野は、進歩の激しい業界です。Webエンジニアの仕事も同様で、常に第一線で働くためには勉強やスキルアップの継続が欠かせません。現状に満足せず、学び続けることがチャンスを呼び込みます。新しい技術やプログラミング方法が出てきたのなら、積極的に学んで自分のものとするのが大事です。

副業をして本業以外に収入を持っている

会社に属している場合、会社からの給料だけで大幅な年収アップを狙うのは難しいもの。経験やスキルアップにより年収はアップしますが、それには時間がかかります。そこで年収を上げる人が取り組んでいるのが、副業による年収のアップです。

会社が副業を解禁しているなら、自分のスキルを活かしたパラレルワークに取り組みましょう。本業以外からの収入が増えれば、年収アップに繋がります。また、副業に勤しむことはフリーランスになる際に役立ちます。

転職やフリーランスで年収をあげている

年収を大きくアップさせる方法の1つが、転職したりフリーランスになったりすることです。Webエンジニアとして経験を積めば、さらに待遇のよい会社に転職することも可能です。

自分の腕に自信があるのなら、フリーランスになるのも賢い選択の1つといえるでしょう。安定的に仕事を獲得できるフリーエンジニアなら、会社員以上に高収入も望めます。年収1,000万円も夢ではありません。

年収が上がらない人の特徴

年収が上がらない人の特徴としては、次の3つが挙げられます。このようにならないよう、自分の生活や習慣を見直しましょう。

給料の低い会社で働いている

年収が上がらない人の多くは、給料の低い会社で働いています。いくら年収を上げたいと思っても、給料の低い会社に勤めている限りはほぼ不可能です。年収を上げたいのならこういった真似をせず、向上心を持って勉強に励み、給料の高い会社に転職するのを狙いましょう。また、最初から給料の高い会社を選ぶのも大切です。

年収をあげるために行動していない

Web業界は年功序列ではないことが多く、ただ年齢を重ねるだけでは大幅な年収アップは望めません。年収が上がらない人はこの点を考慮せず、年収を上げるための行動には無頓着です。会社が勉強会を行うようなら積極的に参加し、昇進試験にも進んで取り組みましょう。

将来のキャリアが不明確

年収をアップさせるためには、モチベーションの維持が肝心です。将来のキャリアを明確にしておけば、モチベーションの維持に繋がります。年収の上がらない人の多くは、キャリアが不明確で仕事に対するモチベーションもあまり高くありません。自分の将来を見つめ、キャリアを明確にしてそれに向かって突き進むのが、年収アップのコツの1つです。

高収入のWebエンジニアになるには

年収の高いWebエンジニアになるために、注意しておきたいポイントは次の3つです。よく理解し、転職や就職に役立てましょう。

Web系、開発系の仕事は実力主義

Web制作や開発に関するエンジニアの仕事は、IT業界よりも現場に近く実力主義な傾向があります。開発に関するアウトプットや実績があれば年収はアップしやすいですが、なければ年収はそれほど上がりません。実力をつけ、次のような道を目指すのがよいでしょう。

技術スペシャリスト

自社開発のエンジニアとして技術スペシャリストを目指すのは、年収をアップさせるための効果的な方法の1つです。Webエンジニアとしての経験を積みながら、開発者として極めたい道を探しそれに真摯に取り組みましょう。他の人が持ちえないスキルや事業拡大に貢献できる能力を身につければ、年収の大幅なアップも期待できます。

マネジメント職にキャリアアップ

会社の経営方針をもとに、複数のエンジニアをまとめてプロジェクトを成功に導く存在に、エンジニアリングマネージャー(EM)やVPoE、CTOなどの役職があります。経営者側の視点でエンジニアの組織を動かし、会社の利益に貢献することができれば自ずと年収はアップします。

マネージャーになるためには、コミュニケーションスキルやプロジェクトマネジメントなどの能力を磨くことも大事です。大きな視野で仕事を行いたいのならCTOを目指してみましょう。

独立してフリーランスへ

年収を大幅にアップさせるための現実的な方法は、独立してフリーランスエンジニアになることです。とはいえフリーランスになれば、誰でもが高年収になるというわけではありません。Webエンジニアは技術力がものを言う職業ですが、フリーランスはその最たるものです。

高年収を得るためには、確かな技術を身につけて実績を作っておく必要があります。フリーランスを目指すのなら、様々な経験を重ね、勉強をして技術を磨いておくのが肝心です。

使用言語の選択も重要

プログラミング言語は数多く、使用目的や環境によって使われる言語が違います。Web開発ではPHP、Perl、Ruby、Pythonなどのスクリプト言語がよく採用されますが、JavaやC言語なども利用されています。また、かつては隆盛を誇っていたものの、次第に使われなくなっていった言語も1つだけではありません。IT業界の進歩に合わせ、新しい言語がまた産み出される可能性もあるでしょう。

どのプログラミング言語を選択して身につけるかで、年収は大きく変化します。これからが期待できる言語を選び、他のエンジニアよりも早く身につけるのが高年収を得るためのコツです。

将来性の高い会社を選ぶ

Webエンジニアとして高年収を得たいのならば、将来性の高い会社を選ぶのが大事です。Web系開発の就職先としては、大手企業や外資企業のほかにスタートアップやベンチャーなどの選択肢もでてきます。

とはいえ、将来性の高くない会社に転職してしまうと業績もそれほど伸びず、苦労することがあります。業績が良くなければ、給与アップもあまり期待できずリストラ対象にもなりかねません。

反対に将来性の高い会社に入社し、そこでばりばり働いて業績を上げれば、年収アップの可能性も膨らみます。また、メーカーなどの有名企業はおおむね労働条件がよく、向上心に富んだ人材でなくとも安定した生活が期待できます。様々な情報を集め、そういった企業を探しましょう。

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