キャリア

ジュニアエンジニアとは?未経験でなれる?採用・転職が進む背景・就職後の働き方

IT/Web業界の人材不足を解消する手段として、未経験者をジュニアエンジニアとして採用・育成するポテンシャル求人が注目されています。 知名度のない中小・ベンチャー企業やスタートアップでは、エンジニア採用の難易度が上昇しており、即戦力人材を雇い入れることが難しいのです。

この記事では、ジュニアエンジニアの仕事や人事・採用市場で注目される背景、未経験からのエンジニア転職・就職方法を紹介します。プログラミングスクールの役割やエンジニアのキャリアパスについても見ていきましょう。

ジュニアエンジニアとは

駆け出し・見習いレベルの技術者を意味する言葉として「ジュニアエンジニア」があります。職務等級や職能階層としてももちいられ、年少者や下級生を意味する「ジュニア」という単語をエンジニアのスキルに当てはめ技術レベルに応じて職務を区別しているのです。

1つの職業の中には、多くの場合その代表的な仕事をこなす上でいくつかの段階があります。例えば医師の場合は、研修医や専門医など、医師免許を取得してからもスキルや知識を蓄え、経験を積む必要があるでしょう。エンジニアも同様です。

エンジニアと一口に言っても、そのスキルや経験、エンジニアとなる経緯によって職能等級は様々なのです。

シニアエンジニアとジュニアエンジニアの違い

ジュニアの反対語であるシニアを冠する「シニアエンジニア」という言葉もあります。シニアエンジニアは、技術分野のスペシャリストとも言える役割で、ある分野における専門的な知識やスキルを認められたエンジニア職位の1つです。

フロントエンドエンジニアやバックエンドエンジニアといった職務領域とは別の区分になるため、例えば同じフロントエンドエンジニアのなかにも、ジュニアエンジニアとシニアエンジニアが存在します。つまり、ジュニアとシニアではグレードが異なるのです。

また、エンジニアの職位としては、ジュニアエンジニアから始まりシニアエンジニア、プリンシパルエンジニア、アソシエイトディレクター、テクニカルディレクターなどの呼び名があります。順に職務レベルや責任の範囲が向上していきます。

採用・転職における未経験者・スクール卒業生の魅力

IT業界は人手不足ということもあり、未経験からエンジニアを採用しOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で育成する企業も多いです。異業種から未経験でエンジニアへと転職した人やインターン生を指してジュニアとすることもあり、プログラミングスクール市場の広がりを追い風に未経験・ポテンシャル採用が増加傾向にあります。

スクール卒業生は完全未経験者より教育コストが低い

エンジニアとして実務をこなすには、ITに関する知識やスキルが不可欠です。採用側も即戦力を求めることが多いでしょう。未経験者を採用すると、採用側にとってはその後の教育を含めてコストがかかるものだからです。

しかし、プログラミングスクールの卒業生は、未経験とは言っても転職前に研修講座を受講してエンジニアに必要なスキルと知識を自ら勉強しているため、採用コストや教育コストを最小限に抑えられるというロジックです。

このようにエンジニア不足を解消する手段として、未経験者の採用・育成が注目されているのです。

プログラミングスクール出身者には社会人スキルがある人材が多い

プログラミングスクールを卒業してジュニアエンジニアとなる人は、元々社会人として働いていた人がほとんどです。そのため、社会人としての基本的なスキルやマナーを身につけています。

エンジニアに必須の仕事に対する責任感や、職場内で気持ち良く仕事を行うための対人スキルやコミュニケーション能力も身につけているため、たとえ即戦力としてのレベルに達していなくても、魅力的な人材と言えるでしょう。

ジュニアエンジニアは安定的に採用できる

ジュニア人材がエンジニア組織で注目される理由として、未経験人材の活用に成功すると事業の安定や組織拡大に貢献する点があります。経験者エンジニアの採用は難易度が高く、安定的に必要な人員を確保することが難しいですが、未経験人材は転職市場への供給量が多く、採用の難易度は低いです。

一方で、教育や活用の難しさはあるのですが、その点を払拭できれば安定的な人材調達が可能となるのです。ジュニアエンジニアの早期育成と長期雇用が実現できると、即戦力のシニアエンジニアに固執するよりも競争力確保につながります。

ジュニアエンジニアの階層を設定することは、未経験者として企業への受け入れを希望する求職者や採用希望者だけでなく企業側にもメリットがあるといえるでしょう。

ジュニアエンジニアが注目される理由・背景

転職市場ではエンジニアは即戦力として求められているというイメージを持つ人は多いでしょう。しかし、ジュニアエンジニアの存在はそうしたイメージを覆すものです。

なぜスクール生や独学などの未経験・ポテンシャル採用が注目されているのか、その理由を解説します。

IT業界はエンジニアが不足している

IT業界はインフラを始め、日常生活においてもなくてはならない存在です。Webサイトやスマホアプリ、スマート家電などあらゆる物事にITは密接に関連しており、転職市場においても他の業界に比べてIT業界は圧倒的に需要が勝っている状態です。

IT業界で最も求められるのはエンジニアですが、従来エンジニアになるためのハードルは決して低くはありませんでした。「エンジニア採用は即戦力の優秀人材」というハードルを下げる役割を果たすのが、ジュニアエンジニアの存在です。

素直さや順応力が高い

すでにエンジニアとしての経験を積み、自分の仕事に誇りを持っている人は自分のプログラムやコードに自信と誇りを持っている人が多いでしょう。自分の仕事に対する誇りは、仕事に対するモチベーションにも繋がります。

しかし、そうしたスキルや経験に基づくこだわりが、クライアントや会社のニーズに合わないケースも少なくありません。未経験・ポテンシャル採用ではエンジニアとしての経験がほとんどないため、こうしたこだわりも少なく、会社やクライアントのニーズに順応しやすいという特徴があります。

また業界経験が長いと知名度の高い会社や人気の会社に転職する傾向にあります。即戦力エンジニアを雇用できるほどの余裕のある会社であれば問題ないかもしれませんが、高給であったり独立などで長期雇用が難しかったりなど、経験者は採用した後の維持についても難易度が高いのです。

長期戦力としての活躍

技術力のあるシニアエンジニアや経験豊富な技術者では、会社やクライアントにこだわらず、フリーランスとして独立する人も増えてきます。

エンジニアとしてのレベルが高いほど独立できる可能性は高いため、会社としてはエンジニアとしての高いスキルを持った人が理想であっても、すぐに辞めてしまうかもしれないと危惧するものです。

ジュニアエンジニアであれば、入社したてはスキルも高くなく経験も浅いため、すぐに転職するという恐れを抱く必要がありません。長期的に活躍してくれる可能性が高いでしょう。

プログラミング学習環境が整備されてきた

書籍や有料の講座の他に、インターネット上でプログラミングを学習できるオンラインコンテンツや無料講座が増えてきました。PHP、Ruby、Pythonといった言語を学べるサイトも多いです。書籍やオンラインコースを仕上げて、自分でWebサービスを開発して動かしてみることも難しくないでしょう。

そのように、プログラミングの学習環境が増えたことで、ジュニアエンジニアになるハードルも下がっています。

未経験からジュニアエンジニアになるには

ジュニアエンジニアになるには、転職活動をしてエンジニアとして採用される必要があります。20代・30代は転職向けのプログラミングスクールを受講するのが近道です。会社によっては、プログラミングスクールに通うことなく未経験や既卒であっても、ジュニアエンジニアとして雇用するケースもあるでしょう。

未経験からエンジニア転職を目指す

未経験可のエンジニア転職の求人も増えてきました。20代・30代ならまずは求人に応募してみるとよいでしょう。40代・50代の未経験採用は非常に少ないですが、ないわけではありません。人間性や将来性をみて採用を決める会社も少なくないからです。

ただし、何歳からでもジュニアエンジニアを目指せるとはいえ、給料も新卒レベルを覚悟しましょう。また、挑戦する年齢は若いにこしたことはありません。

年齢が上がるほど転職成功の確率は低くなります。企業は教育コストをかけてジュニアエンジニアを育てるので、長く働いてくれる若手社員が求められているのです。

第二新卒や既卒枠で転職・就職する

第二新卒や既卒枠でジュニアエンジニアとして転職・就職することも可能です。出身大学や出身企業などの経歴によっては最も求人数が多く、可能性高く転職先を探せるでしょう。求人サイトや直接応募だけでなく、転職エージェントも利用すると応募先の幅がひろがります。

エンジニアを募集する企業によっては新卒同様の扱いとして、研修を受けられる求人もあります。教育が熱心な会社では、座学も含め一からジュニアエンジニアとしての育成を行います。

プログラミングスクールの利用も検討

ジュニアエンジニアとして働くには、転職目的のプログラミングスクールを利用してみてもよいでしょう。オンライン講座や対面での授業を受講することで、エンジニアとして必要な知識やスキルを身につけます。

採用側はエンジニアとしての教育に必要なコストをかけずに済み、転職者側もジュニアエンジニアとしての実践的なスキルと肩書きが得られるため、安心して転職に臨めるでしょう。

転職向けのプログラミングスクールを卒業し、ジュニアエンジニアとなったことをアピールすることでエンジニアとしての転職活動の幅が広がるでしょう。エンジニアになりたいという意志のアピールにも繋がります。

ジュニアエンジニアとしての働き方

ジュニアエンジニアはエンジニアとしての経験がないケースがほとんどのため、どのような働き方なのかイメージしにくいでしょう。ジュニアエンジニアとしての働き方は、OJTで進むことがほとんどです。

シニアエンジニアの補助をうけ小さな案件からスタート

未経験のエンジニアにはじめから大きな仕事を任せることはありません。まずはシニアエンジニアの補助として、小さな案件から仕事に慣れていきます。経験者のサポートを受けながら業務をおこなうことで、必要な知識やスキルを身につけます。

実務経験を積みひとり立ちを目指す

シニアエンジニアと一緒に仕事を覚えていく中で、実務経験を積んでいきます。コードレビューやペアプログラミングで実践的な教育をおこなうこともあります。知識とスキルは使わなければ伸びていきません。経験を積むことで、エンジニアとして独り立ちできるようになるでしょう。

関連記事Related Posts