機械学習エンジニアとデータサイエンティストの違い、将来性があるのは?
この記事では、機械学習エンジニアとデータサイエンティストとの違いを中心に解説します。職業によって異なる仕事内容やスキル、年収などに注目してみましょう。
目次
機械学習エンジニアとは
一言で機械学習エンジニアという職業を表すならば「AI技術を専門にするソフトウェアエンジニア」となるでしょう。機械学習(Machine Learning)やディープラーニング(Deep Learning)などを活用するため、統計学やデータ処理に関する知見が必要となります。また、ビジネスにAIを適用する過程では様々な開発が必要となり、機械学習エンジニアはその一端を担っていると認識しておく事が重要になります。
まずは機械学習エンジニアという職業を正しく理解するために仕事内容・必要なスキル・平均的な年収などを把握しておきましょう。
機械学習エンジニアの仕事内容
機械学習とはコンピューターに「命令」と「データ」を与え、機械の知能を向上させる分野です。モデル構築・システム設計・プログラミングなど直接開発に携わる業務も機械学習エンジニアの仕事ですが、そうしたデータセットやコーティングのみならずプロジェクト全体の進捗管理まで任されるケースが一般的となっています。
そのため、機械学習に関する技術的な知識・スキルに加えてプロジェクトマネジメント能力も求められるという事に留意しておきましょう。
機械学習エンジニアに必要なスキル
機械学習エンジニアはプロジェクトを統括する立場であるため、様々なスキルが要求されます。大きく分類すると「プログラミングスキル」「データベース知識」「クラウド知識」「数学力」の4つが重要視されると言えるでしょう。機械学習で主流となっているプログラミング言語はPythonです。開発環境として良く利用されるJupyter NotebookとAnacondaもしっかり押さえておきましょう。
機械学習ではコンピューターに与えるデータの量が学習精度を左右すると言えます。そのため、情報を効率的に扱うためのデータベースやビッグデータに関する知識が必要になるのです。
機械学習とはプログラムを用いてデータの中に法則性を発見することなので、エンジニアには確率や統計といった数学的な分析能力も要求されます。データ分析業務では膨大なデータ量を扱う事になるため、ローカル環境で処理しきるのが難しい場面も多いです。クラウド上でデータ分析業務を行う事も踏まえて知識を付けておく事も重要と言えるでしょう。
機械学習エンジニアの年収
機械学習エンジニアは日本ではまだあまり定着していない比較的新しいポストです。そのため、平均的な年収を算出するためのデータが足りていないという点は留意しておきましょう。ただ、各大手転職サイトのリサーチによれば機械学習エンジニアの年収は概ね550万~1000万円前後で推移しています。資格や実績の有無で差はあるものの、駆け出しの年収としては約575万円が平均的です。
専門的かつ幅広い知識・スキルが求められる事から、一般的なソフトウェアエンジニアよりも年収が高い傾向にあると言えるでしょう。
データサイエンティストとは
機械学習エンジニアと良く似たポストにデータサイエンティストという職種があります。ただし、両者の業務内容に厳密な違いは存在しないため注意が必要です。ここではデータサイエンティストについての仕事内容や必要スキル、平均的な年収を見てみましょう。
データサイエンティストの仕事内容
機械学習エンジニアと混同されるデータサイエンティストの業務に、統計モデルの作成や機械学習アルゴリズムの調整といった研究者や統計学者に近い業務があります。サイエンスに取り組むアプローチで、AIや人工知能に向き合う仕事といえます。
一方で、データサイエンティストに期待される役割としてデータアナリストの進化系やコンサルタントとしてのビジネスプロフェッショナルという側面もあります。そのような業務は、機械学習エンジニアとは区別しやすい仕事といえるでしょう。
後者のデータサイエンティストは、収集・分析した情報を基にして、クライアントや自社の経営者に提案・解決案の提示を行います。この一連の作業は「データを分析して課題を見つける」「分析したデータに意味を付加する」「データから事業戦略を導く」という3つの段階に分けて考える事が可能です。技術者というよりも、企業のビジネスをサポートするためのコンサルタント業務がメインと言えるでしょう。
データサイエンティストに必要なスキル
データサイエンティストは企業の経営戦略に大きく関わるポジションになるので、経営に関する知識や問題解決能力が重要視されます。的確なアドバイスを行うためには、高度なコミュニケーションスキルも要求されると言えるでしょう。
また、適切にデータを取り扱うためにはデータサイエンティストにも技術的なスキルは必要です。プログラミングやデータベースに関する知識、数学的な思考力など要求されるスキルは機械学習エンジニアと共通する点も多いと言えます。
データサイエンティストの年収
データサイエンティストの平均年収はおよそ507万円程度と言われています。もちろん能力や実績によって年収1000万円を超えるデータサイエンティストが居るのも事実です。データサイエンティストとして働くために必須となる資格は存在せず、基本的には実力社会と言って良いでしょう。
こうした中で収入をあげていくためには自身のスキルアップはもちろん実績の積み重ねや、フリーランスであればクライアントとの交渉といった点も重要になります。
データアナリストとは
少し聞き慣れないかも知れませんが、機械学習エンジニア・データサイエンティストに関連するポストにはデータアナリストと呼ばれるものもあります。データを取り扱う職種としては共通点がありますが、データアナリストもまた前述の両者とは違いがあるのでしっかり理解しておきましょう。
データアナリストの仕事内容
データアナリストの仕事は「コンサル型」と「エンジニア型」の2つに大別出来ます。コンサル型データアナリストの業務内容は解析したデータを基に具体的な課題設定や解決案の提示を行う事がメインです。マーケティング会社や経営コンサルタント会社に所属するのが一般的と言えるでしょう。
一方、エンジニア型データアナリストは機械学習やデータマイニングなどを駆使してデータ解析を行い、サービスや品質向上に役立つ情報を提供する事がメインの業務です。
データアナリストに必要なスキル
データアナリストに必要なスキルはコンサル型かエンジニア型かによって異なります。コンサル型の場合はデータに基づく具体的な経営戦略を打ち出す事が仕事なので、分析力・論理的思考力・仮説力・統計に関する知識・マーケティング知識といった能力や知識が必要です。これらに加えてデータベース・IT・統計学・といったデータを取り扱う職種に共通して必要な知識も身に付けておく事が求められます。
エンジニア型は高度な分析作業を正確に行う事が求められるため統計解析・時系列分析・機械学習・データマイニングに関わる知識や、ビッグデータの分散処理に必要となるHadoopやMahoutなどの知識が必要です。
データアナリストの年収
大手転職サービスのdodaが行った調査によればデータアナリストの平均年収は約507万円となっており、データサイエンティストとほぼ同じ水準となっています。しかし調査によってデータアナリストの年収は400万~1000万円とも、600万~2000万円とも言われる事があるのです。コンサル型かエンジニア型かによっても多少差異が生まれると言えるでしょう。
このようにデータアナリストの年収は学歴(専門教育の有無)・実績・所属企業によって比較的大きく変動する事が予想されます。
機械学習エンジニアとデータサイエンティストの違い
機械学習エンジニアとデータサイエンティスト、それに加えてデータアナリストには共通する部分も多い事が分かります。しかし、それぞれのポストは別物であるという認識を持っておく事が重要です。
開発過程で呼び方が異なっている
「機械学習エンジニア」「データサイエンティスト」「データアナリスト」の3つを分かりやすく区別するには、それぞれの職種が開発のどの過程で必要とされているかを意識すると良いでしょう。例えば機械学習エンジニアはシステムの設計段階から必要とされるポストですが、データサイエンティストは機械学習モデルの構築やデータを実際に利用して精度をあげていく段階の仕事がメインになります。データアナリストはさらにクライアントや企業に近い位置でデータの解析や経営戦略の提案を行うのです。
ある意味では、上記3つのポストは「データの収集・解析・活用」という業務を段階的に分業しているだけとも言えるでしょう。そのため、実際の現場では機械学習エンジニアでありながらデータサイエンティストが担う領域の業務をこなしている人も存在します。
データベースとクラウドの知識は必須
基礎的なプログラミング技術や統計知識に加えて、「データベース」と「クラウド」に関する知識は今回紹介しているどのポストでも必要になるものとして認識しておきましょう。機械学習エンジニアやデータサイエンティストを必要とするような企業では、膨大な情報をデータベースで管理しているのが一般的です。まずはこのデータベースを扱う事が出来なければ仕事にならないと言えるでしょう。
そしてこうした膨大なデータを解析するためには、クラウドでデータを扱うという処理が必要になります。自分が採用された時点ではローカル環境で作業していたとしても、これからクラウド環境へ移行する可能性は高いのです。
将来性があるのはどっち?
これから機械学習エンジニアやデータサイエンティストを目指す人にとっては「将来性」というポイントが気になるところでしょう。結論から言ってしまえば「どちらのポストにも将来性はあり一概に優劣は付けられない」となります。ここでは機械学習やAIを取り巻く職種の将来性について見ていきましょう。
現状は両方出来ないと実務が出来ない
まず、機械学習(ML)関連の職業や役割はできてから日が浅く、現場で働くエンジニアが慢性的に不足しているという実情を踏まえておきましょう。機械学習エンジニア・データサイエンティスト(さらにはデータアナリストも)はそれぞれが開発過程のどの部分で必要とされるかで呼び方が変わるという事は前述しましたが、人材が不足している現状ではどちらの業務領域もこなせなければ実務が務まりません。
即戦力を目指すのであれば、システム開発からデータの活用までのスキルをトータルで身に付けておく事が重要なのです。
AI/MLの仕事が増えより仕事に就きやすくなる
情報化が進む現代社会では今後もあらゆるものがデータ化され、そのデータを解析して次の経営戦略に活かすという流れが定着する事が予想されます。収集・蓄積された膨大なデータを分析するには専門家の力が必要になるため、AI・機械学習関連の仕事はこれから増加していくと言えるでしょう。
仕事としての需要が大きくなれば必然的に雇用機会も増えるため、機械学習エンジニアもデータサイエンティストも仕事に就きやすくなっていくと予想出来ます。
人材の供給が増すと一人あたりの単価は下がる
将来性のある仕事には人が集まりやすいもので、 AI業界においてもそれは例外ではありません。社会からの需要に合わせて機械学習エンジニアやデータサイエンティストを目指す人は増える事が予想され、いずれは新卒エンジニアの供給が一気に増えるとも言われています。こうなると企業は高額の報酬を払ってまで人材を確保する必要がなくなるため、一人あたりの仕事単価は下がる事になるでしょう。
ただし、現代のエンジニア不足は慢性化しているので急激に仕事の単価が下がるという事態は想像し難いと言えます。
機械学習のスキルをまずは身に着けよう
機械学習エンジニアとデータサイエンティスト、そのどちらにおいても機械学習のスキルを身に着けておいて損はありません。機械学習エンジニアが機械学習を扱うのはもちろんですが、データサイエンティストであってもデータ分析の過程で機械学習のスキルが必要となる場面があるからです。
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