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データエンジニア案件の単価は?フリーランス求人動向

機械学習やAIモデル、IoT、データの可視化、分析などの開発案件において「データエンジニア」の求人需要が増加しています。ビッグデータを扱う企業は限られていることから、データエンジニアリングに関して豊富な経験を持つ技術者は少なく、開発要員を確保する目的でも業務委託や派遣契約での求人が多くあります。そのため、ITの開発案件と同様にフリーランスとして働くデータエンジニアが求められています。

この記事では、データエンジニア案件の単価相場やフリーランス求人動向について紹介します。

データエンジニアのフリーランス求人動向

データアナリティクス、機械学習などビッグデータの活用に取り組む企業が増加しており、それに連動してデータエンジニアの求人数も会社員、フリーランスなどの働き方を問わず堅調に推移しています。ただし、転職希望者の絶対数は限られているため正社員採用の難易度は高く、自社エンジニアの育成にはコストや時間がかかります。そのため、大手企業やSI・データ分析の受託企業、コンサルティングファームなどを中心にフリーランスのデータエンジニアを積極的に受け入れている状況です。

ビッグデータ市場は前年比9.6%増

IDC Japanの調査によると2018年のビッグデータ/アナリティクスソフトウェア市場は、前年比で9.6%も増加しています。その結果、市場規模が約2,800億円に迫っている成長産業です。2023年までの予測においても年間平均成長率は8.5%と出ており、今後も同程度の成長が見込まれており、市場規模が3,000億円を突破するのは時間の問題となっています。

AI需要の増加でデータ活用の重要性が高まる

急成長を遂げているデータエンジニアの世界ですが、その要因としてはAIの需要増加が考えられます。企業においてはAIを活用した業務改革や顧客接点の改善などが急ピッチで進められていますし、AIというものが日本の社会においてかなり身近な存在になっているからです。また、パブリッククラウド上のデータマネジメントサービスなどの普及もデータエンジニアの需要を高める要因と言えるでしょう。

ただし、需要が高まっているからデータエンジニアは完全に売り手市場というわけではありません。データエンジニアリングの力を活かすには、それ相応のスキルが求められています。

データエンジニアのフリーランス単価相場

データエンジニアは非常に市場価値の高い職種です。そのことはフリーランス求人の相場単価からも確認することが可能です。月の報酬単価は作業時間によって左右されますが、一般的なデータエンジニアの単価相場は、週に5日常駐して月に140から180時間勤務した場合に、60万円から80万円程度です。単価が80万円の場合、年収に換算すると1,000万円を超えてくることになるため、いかに高収入を得られる仕事であるかが分かるのではないでしょうか。

経験5年以上のデータエンジニアや設計などの上流工程からとして参画する案件では月の単価が150万円といった求人もあり、経験を経てフリーランスとして独立した場合は年収2000万円を目指すことも可能です。

データエンジニアの仕事

フリーランスのデータエンジニアは、プロジェクト単位でデータ処理基盤の構築や運用に関する仕事に取り組みます。ここではデータエンジニア案件の代表的な業務内容を見ていきましょう。

データ処理基盤の構築

データエンジニアの仕事の代表的なものが、データ処理基盤の構築です。分析などに利用できるようデータ処理の流れを設計し、有効活用するためのプラットフォームを構築します。目的や用途に応じて開発規模は異なりますが、AWS、GCP、Azureなどクラウド環境を利用することが多い点は共通しています。

データアナリストが利用する分析基盤では、構造化データを利用するためデータ構造について事前に定義しますが、機械学習やディープラーニングでは、テキスト、音声、画像など非構造化データを利用することも多く、Hadoop、Sparkなど分散処理フレームワークを利用する機会が増えてきています。

データ周りの運用・保守業務

すでに稼働中の分析基盤やデータ処理の運用・保守を担当する場合は、パフォーマンスの監視やチューニング、機能拡張にとりくみます。機械学習チームに加わるデータエンジニアは、データサイエンティストが作成した学習モデルの本番適用やアプリケーション開発をおこなうこともあります。

また、データソースから収集したデータは分析用に整理されているものばかりではありません。複数のフォーマットで保管されているデータを統一したり、欠損値の処理するなどデータ抽出やクレンジングに取り組むこともあります。データを集めてデータ変換などをして使いやすくしていくというのがデータエンジニアの役割です。

BI導入・データ周りの開発

BI導入に関する開発業務もデータエンジニアの仕事です。BIツールとは、データの収集・可視化を効率的に行うことが出来るツールです。売上や受注情報、顧客情報、アクセスログなどのデータを集約して見える化することで、ビジネス上で何が起こったのかなどの分析を容易にします。また、これによって集められたデータなどを効率よく活用するためのデータ周りの開発もデータエンジニアの大事な仕事です。

サイロ化したデータの統合

データエンジニアは、サイロ化したデータの統合に取り組みます。企業は用途により様々なデータベースを活用しています。部署やサービス、拠点などによりデータが複数システムに散在してしまい上手く連携させることができなくなってしまうことをデータのサイロ化と呼びます。場合によっては、企業買収などによって異なるフォーマットでのシステム統合が発生しているケースもあります。また、長期的に運用するとデータ仕様が古くなってしまうことも考えられます。

データを効率よく処理が可能になるようにデータの統合が必要になるのです。データベースからデータを抽出、加工して処理するには最終的な用途に応じて適切な処理をしなければいけません。そのため、データエンジニアにはビジネスを把握する力も必要です。

データエンジニアとデータサイエンティストとの違い

データエンジニアとデータサイエンティストとの違いですが、それぞれの職種をどのように定義するのかによって若干の違いは出てきます。一般的に言われているのは、データエンジニアはデータの活用を支えるデータ基盤構築やインフラ運用の担当者としてデータサイエンスチームを支える役割です。データ統合・処理の流れを設計しデータ処理基盤を構築するためITアーキテクチャ、データベース、分散処理、OSSなど幅広い分野の知見が必要です。データ収集のバッチ処理やデータ加工などコードを書いて開発するスキルも求められます。

一方で、データサイエンティストはデータエンジニアが準備したデータを活用して高度な統計数理を適用したり、機械学習モデルを作ったりする専門的な作業を行う人という分け方です。元々はデータサイエンティストがデータエンジニアの仕事も行っていたのですが、データの準備に時間を取られてしまい本来の専門的な作業の時間が奪われていたことから分業が進んできているのです。データエンジニアも、よりデータサイエンティストが活かせる鮮度の高いデータを準備するプロフェッショナルな仕事になっています。

データエンジニア案件の参画に必要な知識・スキル

フリーランスのデータエンジニアとしてデータエンジニア案件に参画するためにはどのような知識やスキルが必要になるのでしょうか。どのようなエンジニアを目指すのかによっても異なるので見ていきましょう。

データエンジニアリング

データエンジニアに必要な知識・スキルとして、分散処理フレームワークやデータベース、データ処理などデータエンジニアリングを実装し使いこなすためのスキルが求められます。しかし、ただ単に情報処理的な知識やスキルがあるだけでは足りません。データはビジネス課題があって初めて活きてくるものなので、どうすればその課題をクリアすることが出来るのかを理解するビジネス力も求められることになるでしょう。

アプリケーション・バックエンド開発

データエンジニアの業務をおこなううえで、コードを書いて開発するスキルが必要になります。言語としては、Python、Scala、Javaでの開発を行う案件が多いです。LAMP環境での開発経験があるWebエンジニアであれば、おそらく問題ないといえますが、データベース設計やAPIに関しても押さえておきたいところです。

インフラ・ネットワークの知識

ネットワークやサーバーなどのインフラ知識も必要です。クラウドだけでなく、オンプレミスで環境を構築することもあるため、サーバーやOS・ミドルウェアなどの知識とスキルは必須です。サーバーで使用されているOSはWindowsだけではなく、LinuxやUnixも多いのでそれらの知識も必要になるでしょう。

SREの知識・スキル

SRE(Site Reliability Engineering)のスキルが求められるデータエンジニア案件もあります。SREは、ジョブ管理や監視など自動化のために開発も行うのが特徴です。したがって、求められる知識・スキルとしては自動化に関するものが多いです。ツールやOSSの知識も求められます。

機械学習の知識

データ分析や機械学習を実際に行うわけではありませんので、数式や統計の理論を詳細に理解する必要はありませんが、データサイエンティストやデータアナリストなどが行う分析業務のワークフローやデータ処理に関する知識はおさえておくとよいでしょう。

高単価のデータエンジニアを目指すために

データエンジニアで高給を得るためにはどの様なスキルや経験が必要になってくるのか気になるという人も多いのではないでしょうか。特にフリーランスにおいてはより高い単価で仕事を受けるためにも大切な情報なので、よく確認しておきましょう。

アーキテクチャ設計の経験

データ処理基盤全体のアーキテクチャ設計から案件に携わった経験を持つデータエンジニアは、高い報酬を得ることが出来る傾向にあります。データ基盤の立ち上げ中であったり、今後データ基盤を立ち上げようとしている企業は多いです。そういった企業にとって、アーキテクチャ設計の経験あるという人は欠かせない存在です。

データパイプラインの設計、構築経験

データの加工や設計などをモジュール化し、繋いでデータフロー化することは多くの企業で求められていますので、各モジュールを繋いでいくデータパイプラインの設計、構築経験のある人も高い単価の仕事を得られる可能性が高いでしょう。

プロジェクトマネジメントの経験

プロジェクトマネジメントの経験があるという人も高単価の案件を獲得しやすい傾向にあります。プロジェクトマネジメントの経験があるということは、ただの職人ではなくマネジメント能力もあるということです。システムのグランドデザインを描いたり、プロジェクトをまとめることが出来るということはデータエンジニアとして幅広い知識やスキルを持っていることの証拠でもあるからです。

データエンジニア案件の需要と将来性

これからフリーランスのデータエンジニアで活動していこうと考えている人であれば、データエンジニア案件の今後の動向や求人需要も気になるところでしょう。データエンジニアの未来はどうなっていくと予測されているのか確認していきましょう。

データ処理の多様化

今後のデータエンジニアに求められるのは、ますます多様になるデータ処理に対応していくことでしょう。データ形式や用途に応じたシステムチューニングということになりますが、近年はビッグデータの活用方法が多岐にわたっています。そのため、大量データの蓄積やバッチ処理といったビッグデータ黎明期に主流だった方法では対応しきれなくなっているのが現状です。

OSSや技術要素、ツールの種類も多いので、求められているデータ処理にはどのツールを使用する必要があるのかの判断も必要です。データ基盤へのアクセスも増加していますので、利便性向上や計算リソース低減のためのシステムづくりが求められることになります。

運用・保守ニーズの高まり

ビッグデータを活用した様々なプロジェクトが進んでいくなかで、システムが構築されてから運用・保守段階の案件のデータエンジニア需要は引き続き高いといえます。その時点で新たに違うデータソースを追加したりなどデータ活用の多様化によってデータ活用基盤の変更が必要になることも多くなります。また、手動で行っている運用を自動化したり、AIの学習済みモデルやデータソースの連携などを迅速に行うことができるようになるというのも、今後のエンジニアには求められることでしょう。

セキュリティへの配慮

情報漏洩などのリスクが意識されるなか、セキュリティへの対応や配慮が求められる案件も今後増えていくことが考えられます。チェック体制やセキュリティ認証などの堅牢度を担保したうえで、サービスローンチまでのスピードを落とさない仕組みつくりなど注目されています。

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