AWSエンジニア案件の単価相場はいくら?単価アップに必要なスキルや経験も解説
DX推進の追い風を受けてますます成長が見込まれると言われるクラウド市場の中で、国内国外共にトップのシェアを誇るAWS(Amazon Web Services)。
そんな背景から需要の高まりが見られるAWSエンジニアですが、キャリアアップを考えるエンジニアにとって、収入アップにつながるのかどうかが気になるところでしょう。
その他のエンジニア職と同様に、AWSエンジニアにおいてもスキルや経験によって、単価相場には幅があります。
この記事では、AWSエンジニアの年収相場や、業務内容、単価アップするためのポイントなどについて解説していきますので、ぜひご参考になさってください
目次
AWSエンジニア案件の単価相場
フリーランスのAWSエンジニア案件の単価相場は、各個人のスキルや実績によって大きく変動します。
経験年数が1年未満でも可能とされるような案件の場合は、月額単価が25万円ぐらいのものからあります。正直「見習い」というような立場となりますから、それほど高くはないでしょう。
しかし、5年以上の経験者となると65〜85万円とも言われ、年収でみると1,000万円を超え、エンジニア職の中でも比較的高単価である職種と言えます。
いずれも、「常駐で週5日稼働した場合」の単価です。
フリーランスのAWSエンジニア案件は、やはり経験値や高いスキルを求められる傾向が強く、一般単価としてみれば、70万円〜80万円が相場と言えます。
AWSエンジニアの年収相場
AWSエンジニアの年収相場は、「フリーランス」か「正社員」かによっても変わってきます。当然ながら、直接雇用を伴わない「フリーランス」の方が、福利厚生などの費用が不要になるため、その分年収としては高くなります。
【正社員】AWSエンジニアの年収相場
正社員で働く場合のAWSエンジニアの年収相場は、710万円前後です。
求人サイト「Indeed」の給与調査サイトによると、日本でのAWSエンジニアの年収は
平均基本給で「710万3,987円」となっています。月給にすると「50万2,974円」です。(本記事調査時点)
【フリーランス】AWSエンジニアの年収相場
フリーランスで働く場合のAWSエンジニアの年収相場は、800〜1000万円です。月収に換算すると、70〜80万円となります。
なお、AWSエンジニアに限った話ではないですが、正社員として数年間実務経験を積んだのちにフリーランスとして独立するというケースが多いです。
そのため正社員と比較するとフリーランスは、ある程度以上の実務経験がある人が多くなるので、平均年収も高くなっているという側面もあると言えます。
AWSエンジニア案件の主な業務内容
AWSエンジニアが求められる案件の業務内容は多岐にわたります。システムの基盤となるIaaSの「設計」「開発」「構築」から、さらに上位層の「アプリケーション開発」「ネットワーク構築」なども守備範囲となるでしょう。
また、DX推進が加速する中多くなっているのが「リプレイス業務」です。構築したシステムを安定稼働させるための「運用・保守」業務などもあります。
それぞれについて簡単に解説しますので、AWSエンジニア案件にどのような業務があるのかを把握するのにお役立てください。
クラウドシステムの設計業務
クラウドシステムの設計業務は、クラウドサービスの特性を活かした設計を検討する、いわゆる上流工程の業務です。
顧客の要望を踏まえつつ、システムの可用性や拡張性及びセキュリティ対策などを多角的に考慮しながら、コスト効率の良い構成を提案するスキルが求められます。
設計業務を行うAWSエンジニアには、多種多様なAWSのサービスメニューに精通して、ベストプラクティスな構成を提案するための知見が必要となります。
システムの設計業務はプロジェクトの成功のかなめであり、高度な専門知識と経験が必要とされる役割と言えるでしょう。
業務システムの開発・構築業務
業務システムには、企業にとって不可欠なヒト・モノ・カネを管理する「ERP(基幹システム)」や、特定の業務を効率化・自動化するための「周辺システム」などがあります。
具体的には、「勤怠管理」「ワークフロー」「人材管理」「生産管理」「在庫管理」「販売管理」「配送管理」「顧客管理」「営業支援」などを目的としたシステムです。
これらの業務システムは、単体でクラウドサービス(SaaS)で提供されるものや、パッケージ化されていて比較的簡単に導入できるタイプのものもありますが、個社別にカスタマイズしたシステムを構築しようというケースもよくあります。
個社のニーズに合致したサービスを提供する際には、「AWSによる業務システムの開発・構築案件」が必要となります。
ひと昔前であれば自社内に物理サーバを立て、その上に業務システムを構築していましたが、今ではAWSのようなクラウドサービスを借り、仮想サーバ上に構築する形が主流になってきています。
クラウド利用の場合、ネットワーク越しでサーバーを利用することになるため、セッション数や帯域などのネットワーク設計の検討も必要です。
時には業界特有の要件やセキュリティポリシーを満たすために、VPN接続やインターネットを介さない、専用線や閉域接続が要件とされる場合もあるでしょう。
それらをふまえながら、効率的かつ効果的なシステムの構築を行う知見が、業務システム開発を行うAWSエンジニアには求められます。
Webアプリケーション開発業務
インターネット越しで簡単にアクセスできるWebアプリケーションは、様々なビジネスで活用されており、昨今その開発環境においては、AWSなどのクラウド基盤が選択されることが主流です。
比較的ライフサイクルの短いWebアプリケーションの開発においては、AWSのサービスのようなリードタイムが短く、拡張性の高いクラウドサービス基盤は親和性が高いためです。
また、スピード感の求められるWebアプリケーション開発においては、DevOpsやCI/CDなどを駆使した開発プロセスの効率化や品質向上を図るスキルも必要となってきます。
リプレイス業務
既存システムが更改時期を迎えるときなどに、AWS基盤へのリプレイスを検討するということがよくあります。既存システムの多くは、オンプレミス環境です。
AWSエンジニアは既存システムの状況を確認し、データ移行計画の策定、AWSサービスの選定、移行作業の実施を進めていくことになります。そのため、オンプレミスとクラウドの双方に関する深い知識と経験が求められます。
また、既存システムの重要度が高ければ高いほど、移行計画には慎重を期す必要があります。大規模なシステムであれば、事前に切り替え検証テストを行ったり、万が一の際には切り戻しを行うことも視野に入れた、綿密な計画を立てる慎重さも大切です。
インフラ運用・保守業務
インフラの運用・保守業務は、運用が開始されたシステムが、設計通りに安定して利用できるように監視をしたり、必要に応じてメンテナンスを行う業務です。
定期的なバージョンアップや、基盤メンテナンス対応及び、突発的な脆弱性対応や、障害発生時の迅速な対処なども含まれます。
また、リソースの使用状況などをモニタリングして、必要に応じた改善提案を行うという役割もあります。
AWSサービスに関する幅広い知識とともに、トラブルシューティング能力が求められるので、常に最新の技術トレンドに目を向け、学習や情報収集を続ける必要があるでしょう。
AWSエンジニアが単価アップするためのポイント
AWSエンジニアとして、より単価の高い仕事へステップアップするにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、AWS高単価案件獲得のために身につけると良いスキルを8つ挙げ、解説してゆきます。
AWS認定資格を取得する
AWSエンジニア向けの高単価案件を獲得するためには、AWS認定資格取得がおすすめです。AWS認定には、調査時点で4つのカテゴリ、全12種類の資格バッチがあります。
利用可能な AWS 認定
レベル | 概要 | 対象者(参考実務経験等) |
---|---|---|
Foundational | AWS クラウドの基礎的な理解を目的とした知識ベースの認定です。 | 事前の経験は必要ありません。 |
Associate | AWS の知識とスキルを証明し、AWS クラウドのプロフェッショナルとしての信頼性を構築するロールベースの認定です。 | クラウドおよび/または豊富なオンプレミスでの IT 経験があることが望ましいです。 |
Professional | AWS 上で安全かつ最適化された最新のアプリケーションを設計し、プロセスを自動化するために必要な高度なスキルと知識を証明するロールベースの認定です。 | 2 年以上の AWS クラウドの経験があることが望ましいです。 |
Specialty | より深く掘り下げ、これらの戦略的領域において、ステークホルダーおよび/または顧客に信頼されるアドバイザーとしての地位を確立してください。 AWSプライベートリンク、HIPPA環境 |
要お問い合わせ |
引用元:AWS認定
AWSエンジニアとしてのキャリアアップをするためには、自身の目指す職域や専門分野に合わせて、「Professional」以上のレベルのバッチを目指しつつ、段階的に取得してゆくと良いでしょう。
上流工程やマネジメント経験
高単価案件を獲得するためには、上流工程での経験及び実績が重要です。上流工程とは、「要件定義」や「全体設計」などを指します。
また、プロジェクト管理やチームリーダーなど、管理者としてのマネージメント経験も、高単価案件を狙うには必要になってくるでしょう。
コミュニケーションスキルを高める
プロジェクトを成功させるためには、技術力だけでなく、コミュニケーションスキルも重要です。
特に上流工程で必要となる、クライアントの要望や状況を的確に理解し、適切な技術的提案を行う「コンサル力」は、案件の獲得及び成功に直接的に影響します。
また、プロジェクトを遂行する中においての問題解決力や調整力は、管理者やリーダーとしての高評価となりますので、単価アップの要素となるでしょう。
知識を常にアップデートする
AWSでは、常時新しいサービスや機能が頻繁にリリースされております。
最新リリース情報を日々取り入れることが、顧客ニーズに対して最適なソリューションを提案できる力になるのです。
またそれとは逆に、旧バージョンのサポート修了や脆弱性対応によるバージョンアップ対応の必要性などを、タイムリーにクライアントに伝えたり提案することで、信頼や評価が得られることもあります。
クライアントからの信頼や評価が高ければ、次の案件獲得にもつながるので、エンジニアとしての評価(=単価)も上がる要素となるでしょう。
英語力を身につける
AWSはアメリカの企業ですので、最新情報は基本的に英語で提供されます。
もちろんAWSには日本リージョンもありますし、日本語のサイトもサポートもありますが、全ての情報がタイムリーに日本語翻訳されているわけではありません。
またAWSエンジニアに限らず、クライアント対応にも英語力が求められるケースもあり、英語対応が求められる案件は、日本語のみでよいものと比較すると相対的に高単価となります。
AWSエンジニアにとっても、英語力は非常に重要なスキルのひとつと言えるでしょう。
AWSの中で扱えるソリューション数を増やす
現在AWSで提供されるメニューは300を超えておりますが、その全メニューに精通しているエンジニアは、おそらくほぼいないでしょう。
しかし扱えるソリューション数が多ければ多いほど、参画可能な案件が増えるということは間違いないです。
そして、より多くのソリューションに精通したエンジニアは、クライアントへの提案力を高めることができ、単価の良い案件も受注しやすくなると言えるでしょう。
サーバー・データベース、ミドルウェアなどに関する知識を身につける
AWSを利用したクラウドシステムの構築する際には、サーバーやミドルウェアに関する深い知識が必要とされることもよくあります。
AWSのようなクラウド環境では特に、適切なサーバー設定やミドルウェアの管理がパフォーマンスやコストに直結する、という側面が強くあります。
レベルの高いサーバーやミドルウェアに関する知識が、システムの安定稼働やパフォーマンス改善、時にはコスト削減などにも寄与することになるのです。
これらの知見を活かすことができ、評価が上がると、高単価な案件獲得につながると言えるでしょう。
CIツールの知見を身につける
CIツールとは、ソフトウェア開発においてコードの変更を自動化し、開発の品質と効率を向上させるツールのことです。
AWS環境においても、JenkinsやCircleCI、AWS CodePipelineなどのツールが利用されています。
エラーを早期に発見でき、品質の高いソフトウェアを迅速に提供するための重要な手段ですので、CIツールに関する深い知識があるエンジニアは、高単価案件を受注しやすいと言えます。
AWSエンジニア案件の将来性や今後の市場動向
AWSは小規模から中規模のシステム、とりわけBtoCの案件においてよく使われています。
小規模から中規模のシステムを構築する案件の数は多く、クラウドサービス利用が主流になりつつある中でも、シェアNo.1である(=実績の多い)AWSを採用する企業は、今後も右肩上がりの増加が見込まれています。
ちなみにAWSが最初の日本リージョン(東京)をリリースしたのは2011年3月のことです。
この十数年で急激に成長したサービス基盤ということもあり、現在もAWS案件数に対するAWSエンジニアの数は足りていません。
そのためAWSエンジニアはこれからも高需要が続くと見込まれており、将来性のある職種であると言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事では、AWSエンジニア案件の単価相場や業務内容、単価アップに必要となるスキルや将来性などについて解説しました。AWSエンジニアは高いスキルが求められますが、将来性もある仕事です。
国も警鐘を鳴らすほど、日本のDXは急務となっており、クラウドアップ案件も増え、エンジニアの人手不足は深刻です。この記事を通じて、AWSエンジニアを志す方が一人でも増えたら嬉しいです。
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