データ分析コンサルタントとは?仕事内容や必要なスキルを解説
近年、世の中的にDX推進の機運が高まっていることから注目されている「データ活用」。
そのなかでも、データ活用を専門とする職種である「データ分析コンサルタント」という職種を聞いたことはあるが、実際どんな業務をしているのか具体的なことは知らない人が多いのではないでしょうか?
今回は、データ分析コンサルタントとは何か知りたい方に向けて、仕事内容や需要増加の背景を説明したうえで、年収や働き方、必要とされるスキルや資格などについて解説していきます。
この記事を読むことで、データ分析コンサルタントについて概要を理解でき、ご自身のキャリアを検討するきっかけを得ることができるでしょう。
目次
データ分析コンサルタントとは?
データ分析コンサルタントは、顧客の抱える課題やニーズをヒアリングし、専門的なデータ分析スキルを用いて課題解決へと導く仕事です。
データ分析コンサルタントの仕事内容
データ分析コンサルタントの仕事内容はクライアントの課題解決が中心となりますが、提案時と提案採用後とでフェーズを分けて考えると良いでしょう。
課題解決策を提案するフェーズでは、クライアントの企業情報を事前にリサーチするところから始まり、課題のヒアリングと分析、データ分析ツールなどのソリューション導入を提案します。
提案を採用いただいてからのフェーズでは、実装するソリューションをクライアント自身が活用していけるようにするための伴走支援まで行います。
データ分析コンサルタントの需要が増加している背景
近年はビジネスを伸ばすためにデータをいかに活用するかが重視される世の中となっており、多くの企業でデータ分析技術の導入が進んでいますが、その動きに呼応して、データ分析コンサルタントの需要も増加しています。
なぜデータ活用がこれほど重要視されているのでしょうか?ここからは、その背景を解説します。
企業でのDX推進が加速している
DXとはDigital Transformation(デジタル・トランスフォーメーション)の略称のことですが、DXをシンプルに表現すると「データやデジタル技術を活用して社会の変化に対応すること」と言えます。
現代はデジタル技術の浸透により社会のニーズ、顧客のニーズが日々変化していく時代にあり、DXに対応できなければ企業は競争力を失ってしまうと言われています。
ビッグデータに注目が集まっている
5G、AI、IoTなどのIT技術革新により、膨大なデータを収集することが可能になった現代では、ビッグデータをいかにビジネスに活用していくかに注目が集まっています。
実際にAmazonやスターバックスなど、ビッグデータを活用することによって顧客ニーズを分析したり、迅速な意思決定を行ったりしている企業が世界的にも大きな成功を収めているのは多くの人に知れ渡っていることです。
データ分析活用の拡大
データ分析活用を推し進めることで、需要予測やインサイトの獲得、データドリブンな企業風土への変革など、企業の成長へとつながる施策を打つことが可能です。
近年はDXのニーズからデータ活用を推進したい企業が増えたことで、データ分析活用を専門とするデータ分析コンサルタントの需要もますます増加しています。
データ分析コンサルタントの種類
データ分析コンサルタントには、主に2つの職種があります。
それぞれの特徴についてここでは解説いたします。
コンサルティング型
コンサルティング型はクライアントの前面に立ち、データの分析結果から課題解決に向けた提案を行うことを主な役割とします。
クライアントとのコミュニケーションが多い役回りであることから、営業が得意な方に向いているポジションと言えるでしょう。
エンジニアリング型
エンジニアリング型は、データ分析ツールなどの提供するサービスの品質向上を目指すことを主な役割です。機械学習やAI、ディープラーニングなど、データ分析に関わる技術に深い専門性を持つことが必要とされます。
クライアントワークよりもエンジニア業務について習熟したい方に向いているポジションと言えるでしょう。
データ分析コンサルタントの年収相場
業界最大手の転職サービスを手がけるdodaにてデータ分析コンサルタントの求人情報を確認すると、データ分析コンサルタントの年収は、500万円〜以上で募集しているケースが多いようです。
上流のポジションや責任者クラスでは800万円〜以上の求人も出ており、大手SIerやコンサルティングファームでの募集では、高収入を目指しやすいと言えるでしょう。
データ分析コンサルタントは総じて相場よりも高い年収を得やすい職種といえますが、未経験者の若手の場合は年収300万円台からのスタートになるなど、いきなり高年収を得られるわけではない点には注意すべきです。
データ分析コンサルタントの将来性
データ分析コンサルタントは、近年その需要が増加していることもあり、将来性を有望視される職種とも言えます。
近年の社会における急激なデジタル化に伴い、データドリブンによる意思決定を取り入れていきたいと考える企業も増え続けており、企業全体のデータに向けた重要性が高まっている傾向です。
さらに近年は生成AIの登場により、AIがデータ分析業務を支援してくれることも期待できるようになってきました。
これまで敷居の高いものとされていたデータ分析をより簡単に行えるツールも登場してきているため、そうしたツールを導入するきっかけとなるデータ分析コンサルタントの需要はますます高まっていくと考えられています。
データ分析コンサルタントが活躍できる企業や働き方
データ分析コンサルタントが活躍できるフィールドは多岐に渡りますが、具体的にどんな企業や働き方があるのかをここではご紹介していきます。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームにおけるデータ分析コンサルタントは、データ分析の専門家という立場から、クライアントに向けてその知見を提供する重要なポジションです。
例えば、クライアントの顧客規模を層別に定量で分類し、売上や顧客満足度といった顧客情報を整理し分析を行います。
コンサルティングファームは年収が高い傾向にあります。高年収を狙いたい人におすすめです。
マーケティング企業
マーケティング企業におけるデータ分析コンサルタントは、幅広い領域において市場分析を行う立場です。
具体的には、市場における自社のポジション、競合他社、商品、SNSにいたるまで、広範なデータを収集・分析し、マーケティング戦略を立案します。
マーケティング企業はその分野の幅広さから、幅広い分野で知見を深めたい人におすすめです。
ITベンチャー企業
ITベンチャー企業は、データドリブンによる意思決定を行うことを重要視している傾向があり、データ分析コンサルタントが活躍できる場面が多くあります。
大企業に比べると事業領域が特化している企業がほとんどであるため、データ分析を専門としている企業や、SaaSの事業を展開している企業がターゲットとなるでしょう。
ダイナミックな企業の成長フェーズに携わることができることが魅力の業界であるため、ベンチャー志向を持つ人にとっておすすめできます。
フリーランスコンサルタント
データ分析コンサルタントとしての十分なスキルと実績をお持ちの方には、フリーランスとして活躍するという選択肢もあります。
特定の企業を通さずに仕事を請け負うフリーランスであれば、価格の決定権は自分が持つことができ、条件面の交渉も直接自身が行えることから、より顧客に寄り添った提案ができるでしょう。
収入や働く時間、場所についても比較的自由に選択できることから、組織に縛られず自由に働きたいと考えている方にはフリーランスとして独立することもおすすめです。
データ分析コンサルタントに必要なスキルや知識
様々なフィールドで活躍できる可能性がある一方で、データ分析コンサルタントとして活躍するには十分なスキルを身につけることが必要です。
ここではデータ分析コンサルタントに求められるスキルや知識について解説いたします。
論理的思考
データ分析コンサルタントにとって必要なスキルといえば、第一に論理的思考力(ロジカルシンキング)が挙げられます。
なぜなら、データ分析コンサルタントは、クライアントに向けてロジカルな説明を求められる機会が多くあるからです。
収集したデータを分析すること、考察を組み立てることにも論理的思考力は必要となりますので、論理的思考力を身につけることは、データ分析コンサルタントにとって必須と言えます。
統計に関する知識
データ分析コンサルタントは統計に関する知識を身につけることも必須とされています。
具体的には、数学の基礎力は大前提として、解析学や線形代数の知識、ExcelやSPSSといった統計を扱うツールを使うためのスキルが必要です。
統計スキルを用いることによって、収集したデータから相関する点や共通項を発見し、仮説やインサイトを得ることができますので、統計に関する知識を身につけることは、データ分析コンサルタントにとって重要なことと言えます。
ITに関する知識
ITに関する知識を身につけることもデータ分析コンサルタントにとっては重要です。 特に、データ分析を行うインフラとして、データベースに関する知識を持つことが必要とされています。
データ分析コンサルタント自身がデータ分析を行うためだけでなく、クライアントがデータ分析を行えるようにするためにデータベースの環境構築を支援する場面も想定されます。
いずれにしても、データ分析をITは密接に関連し切り離せるものではないため、IT、特にデータベースまわりの知識を身につけることが重要です。
機械学習や深層学習に関する知識
機械学習や深層学習はデータマイニングを行う際に活用され、主にエンジニアが対応する領域となります。データ分析コンサルタントは、たとえ自身が機械学習や深層学習を使わないとしても、データマイニングの結果を判断し、クライアントに向けて提案を行うことが必要となります。
クライアントに向けて説得力のある提案ができるようにする意味でも、データ分析コンサルタントは機械学習や深層学習について正しい知識を身につけるようにしましょう。
マーケティングの知識
マーケティングに関わる領域でデータ分析を手がける場合には、データ分析コンサルタントはマーケティングの知識を持つようにしましょう。
マーケティングといっても領域は幅広くなりますが、マーケティングの手法や市場分析方法については最低限理解しておくべきです。
マーケティングでは市場調査などリサーチの際に定量的なデータ分析をするプロセスがあるため、データ分析コンサルタントの支援が必要となる場面が多くあり、さらに近年はSNSのデータ分析を行いたいという需要も増えているため、SNSに精通していると差別化ポイントになります。
マーケティング領域でデータ分析コンサルタントとして活動する場合には、マーケティングの知識を勉強するようにしましょう。
経営に関する知識
データ分析コンサルタントとして、経営課題の解決を提案する立場にいる場合には、経営に関する知識も必須といえます。
特にコンサルティングファームで活動する場合には、クライアントからは概ね経営課題の解決につながるデータ分析を期待されていると考えられるため、クライアントの要望に沿った提案を行えるようにするために、経営に関する知識を勉強するようにしましょう。
プレゼンテーション能力
データ分析コンサルタントには、データ分析した結果を元に、顧客に価値ある提案を行う必要があります。そのためにはプレゼンテーション能力が必要です。
良いプレゼンテーションができなければ、どんなにデータ分析の結果が良いものだとしても、クライアントに良さを伝えることができません。
実際に、データ分析コンサルタントの採用活動においても、プレゼンテーション能力を有しているかは多くの企業が重要視しています。
データ分析コンサルタントとして活躍するために、プレゼンテーション能力を日頃から研鑽するようにしましょう。
データ分析コンサルタントに資格は必要?
データ活用コンサルタントには取得しなければならない資格というものはありません。
しかし、ここまで解説してきたように、データ分析コンサルタントには幅広いスキルが必要とされますので、資格取得を目指すことは自身のスキルアップを図るうえで役に立ちます。
「統計士」「データ解析士」
おすすめの資格として最初にあげられるのは「統計士」と「データ解析士」です。
どちらも文部科学省認定の通信講座を終了することで取得できる資格であり、体系的な統計知識を身につけたい方に向いています。
受講期間と難易度は、統計士が8〜12ヶ月で初級レベルであるのに対し、データ解析士は4〜8ヶ月で中級レベルです。統計士の資格を取得した後にデータ解析士の資格の取得を目指すと良いでしょう。
「基本/応用情報技術者試験」「データスペシャリスト試験」
データ分析コンサルタントとして活躍するにはITに関する知識も必要とされます。
ITに関する幅広い知識を身につけたい方には、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が提供する「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」を目標にするのがおすすめです。
また、データベースに特化してスキルアップしたい場合には「データスペシャリスト試験」、「OSS-DB技術者認定試験」、「オラクルマスター」あたりの資格が候補となります。
「G検定」「E検定」
深層学習(ディープラーニング)の知識を強化したい方に向けては、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施する「G検定」と「E検定」があります。
G検定はディープラーニングの基礎知識を問われるジェネラリスト向けの試験であるのに対し、E検定はさらに実装する能力があるかを測るためのエンジニア向けの試験です。
このように、データ分析コンサルタントにとって有用な資格は数多く有ます。ご自身が携わりたい領域・分野に合わせて必要な資格を取得すると良いでしょう。
データ分析コンサルタントは未経験からでもなれる?
ここまで解説してきたように、データ分析コンサルタントとして活躍するには幅広いスキルを身につける必要がありますが、データ分析コンサルタントは未経験でもなれる可能性が有ます。
現在のIT市場は、データ分析コンサルタントの需要が高まっており、人材が不足していることから、ポテンシャル人材を採用したいという企業が増えてきています。
未経験者でも入社後に研修や実務経験を積むことで、データ分析コンサルタントとしてキャリアを開始することはできるでしょう。
いずれにしても、高い専門性が必要とされる職種であるため、入社後も粘り強く学び続けることができ、能動的に業務に取り組めることが大事である点は留意しておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事では、データ分析コンサルタントとは、顧客の抱える課題やニーズをヒアリングし、専門的なデータ分析スキルを用いて課題解決へと導く仕事です。
近年DX推進を加速させたい企業が増え、ビッグデータを分析しビジネスに活用していきたいという需要が増加しているため、データ分析コンサルタントを求める声も高まっています。
データ分析コンサルタントには論理的思考力、統計やIT、機械学習に関する知識、プレゼンテーション能力など、幅広いスキルが必要とされます。 必要に応じ統計やIT、データベース系の資格を取得するなどして、スキルアップを図りましょう。
データ分析コンサルタントには未経験でも採用される可能性がありますが、高い専門性が必要とされる職種です。日頃から粘り強く学習し能動的に業務経験を積むことが大事です。
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