データサイエンティスト検定(DS検定)とは?難易度や学習方法を解説
データサイエンティストとして活躍中の方やこれから目指していく方の中には、データサイエンティスト検定(DS検定)の受験を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。 データサイエンティスト検定は、データサイエンティストに必要な基礎知識やスキルを有していることを証明する資格です。
本記事では、データサイエンティスト検定の概要や難易度、合格率、資格取得のメリット、おすすめの勉強方法や問題集などを解説します。
目次
データサイエンティスト検定(DS検定)の概要
データサイエンティストを目指す方やキャリアアップを目指す方の中には、データサイエンティスト検定について詳しく知らない方も多いでしょう。
本章では検定の概要について解説します。
データサイエンティスト検定(DS検定)とは
データサイエンティスト検定とは、データサイエンティスト協会が2021年より主催している検定です。
協会はデータサイエンティストのスキルのレベルを複数段階で定義しており、現在の検定は、レベル1のスキルを証明する試験になっています。
協会がまとめているスキルレベルは、以下のとおりです。
スキルレベル | レベル | 目安 |
---|---|---|
シニア データサイエンティスト | スキルレベル4 | 業界を代表するレベル |
フル データサイエンティスト | スキルレベル3 | 棟梁レベル |
アソシエート データサイエンティスト | スキルレベル2 | 独り立ちレベル |
アシスタント データサイエンティスト | スキルレベル1 | 見習いレベル |
データサイエンティスト検定(DS検定)の概要(受験料、出題範囲、試験日)
データサイエンティスト検定の受験料や出題範囲など、検定の基本情報は以下のとおりです。
出題形式 | 選択式問題 |
問題数 | 100問 |
試験時間 | 100分 |
試験会場 | 全国の試験会場で開催(CBT) |
出題範囲 | スキルチェックリストの3カテゴリ(データサイエンス力、データエンジニアリング力、ビジネス力)の★1(見習いレベル)相当 数理・データサイエンス・AI(リテラシーレベル)における モデルカリキュラムを総合した範囲 |
受験資格 | なし |
受験費用 | 一般:10,000円(税抜) 学生:5,000円(税抜) |
試験時期 | 第8回:2024年11月9日(土)~12月1日(日) 第9回:2025年3月8日(土)~3月30日(日) ※年2回のペースで開催 ※第10回以降は、決まり次第更新 |
※試験に関する情報は適宜更新の可能性があるため、公式サイトをご覧ください
データサイエンティスト検定(DS検定)の目的
データサイエンティスト検定の目的は、データサイエンティストとしての知識や実務レベルのスキルを持ち合わせていることの証明です。
検定の存在が、データサイエンティストを目指す方の目安になるのと同時に、データサイエンティストを採用したい企業には、検定資格の有無が採用の判断材料になります。
データサイエンティスト検定(DS検定)の難易度と合格率
検定の難易度や合格率は、試験までのスケジュール管理や勉強の仕方などに大きく関わるため、重要な指標です。 本章では検定の難易度と合格率を解説します。
データサイエンティスト検定(DS検定)の難易度
データサイエンティスト検定の難易度は、2つの理由から比較的高いといわれています。
1つ目は出題範囲の広さです。
データサイエンティスト検定では、データサイエンスやデータエンジニアリング、ビジネスなど分野・内容が多岐にわたっており、対策するのが容易ではありません。
2つ目は、出題される内容の複雑さです。
たとえば、データエンジニアリングの分野でSQLの知識が問われる問題があります。
エンジニア系の方であれば、SQLの問題も解くことはできますが、基礎知識がない方には難しい問題になります。
データサイエンティスト検定(DS検定)の合格率・合格基準
現在の検定合格率は、平均で47.4%となっており、単純計算で2人1人は合格できる水準です。 直近で受験者数や合格率が発表された試験は、2024年6月に実施された第7回目であり、合格率は48%です。 合格基準の目安となる正答率は、どの回も80%前後となっており、高い正答率が求められます。
現在、発表されている過去の検定データは以下のとおりです。
試験実施日 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格ラインの目安 |
---|---|---|---|---|
第7回(2024年6月実施) | 約1,950名 | 929名 | 約48% | 正答率約77% |
第6回(2024年3月実施) | 約2,500名 | 1,089名 | 約44% | 正答率約79% |
第5回(2023年11月実施) | 約3,750名 | 1,427名 | 約38% | 正答率約79% |
データサイエンティスト検定(DS検定)の学習時間の目安
持ちうる基礎知識の量にもよりますが、出題範囲が広いため、3ヵ月程度は学習時間を見積もった方がよいでしょう。 データサイエンスや統計学の知識を持っている場合には、他分野の学習や知識の確認もかねて、1ヵ月程度を見積もることをおすすめします。
データサイエンティスト検定(DS検定)の試験科目 必要な知識とスキル
検定に必要な知識やスキルがわかれば、対策が立てやすさが変わります。 最短での合格を目指す上では、検定に必要な知識やスキルを把握しておくのは必須といえるでしょう。
本章では検定の試験科目に必要な知識とスキルを解説します。
データ・AIの活用事例
近年、データサイエンティストが注目されるようになったのは、データ・AIを活用してビジネスに、新たなアイデアや意思決定の判断材料を提供したためです。 データサイエンティストとして現場で活躍するには、データ・AIがどのように活用されているかを知っておく必要があります。 過去の活用事例を学ぶことで、実際にデータサイエンティストとして働く際にヒントや解決策につながる可能性があります。
データリテラシー
データサイエンティストは、加工・抽出されたデータをどのように読み取り、活用するかが求められる職業です。 検定では、職務に必要なデータリテラシーを有しているかが問われます。
データサイエンス力
加工・抽出されたデータにインサイトを見出すには、さまざまな知識が必要です。 検定では、データに価値を見出すために欠かせないデータサイエンスの知識が問われます。
データサイエンスの主な出題範囲は、以下のとおりです。
- 機械学習の基本概念
- 人工知能と機械学習の違い
- 機械学習のモデル構築
- 教師ありデータでの学習と教師なしデータでの学習の違い
- データ分析の代表的な手法
データエンジニアリング力
データサイエンティストがおこなう業務は、数々のテクノロジーによって成り立っています。 検定では、データサイエンティストを支えるテクノロジーについても出題されます。
データエンジニアリングの主な出題範囲は、以下のとおりです。
- クローリングやWebスクレイピングなどのデータ収集技術
- ストレージやデータストア、データウェアハウスなどデータ保管技術
- データベースの種類
- データ基盤の種類
- データ転送技術
ビジネス力
データサイエンティストがデータ分析を通じて、インサイトを見出すのはビジネスのためです。 データサイエンティスト検定では、データサイエンティストの業務に必要な考え方や契約種別、開発プロジェクトの方式などが出題されます。
ビジネス力の主な出題範囲は、以下のとおりです。
- 現状分析の方法
- 目標とゴールの定め方
- ロジカルシンキングと仮説思考
- 業務上の契約種別
- 開発プロジェクトの方式
- 個人情報や知的財産に関わる法令・法律
統計学・数学の基礎
抽出・加工したデータからインサイトを導き出すには、データの見方やまとめ方に関する知識も必要です。 データサイエンティスト検定では、データサイエンティストの洞察力を支える統計学や数学の基礎が出題されます。
統計学・数学基礎の主な出題範囲は、以下のとおりです。
- 基礎的な統計の知識
- データ指標の見方
- データ同士の相関関係や因果関係の洗い出し
- データから統計的な仮説の構築
データサイエンティスト検定(DS検定)のおすすめ学習方法
データサイエンティスト検定を含めた資格取得を目指す方であれば、誰もが最短での資格取得を目指しているでしょう。 特に社会人の場合には、忙しい合間を縫う形で勉強時間を捻出しているため、最短距離での合格を目指します。
本章ではデータサイエンティスト検定(DS検定)のおすすめ学習方法を解説します。
公式サイトで試験の全体像をつかむ
データサイエンティスト検定の対策を立てるには、スケジュールなど基本情報はもちろん、過去の合格率など検定全体を理解する必要があります。 たとえば、次の検定まで時間が足りない場合には、学習のペースを上げる必要があるなど対策方法が変わるためです。
なかでも、データサイエンティスト検定は出題範囲が広いため、効率的な学習には出題範囲を押さえることは必須といえます。 他にも試験の形式によっても対策方法は変わるため、検定の実施方法などもあわせて押さえるとよいでしょう。
参考書を読む
データサイエンティスト検定の対策用に参考書が出版されているため、参考書を読み進めましょう。
参考書を読み進める中でわからない部分が出てくると思いますが、適宜ネットや他の文献で調べて、わからない部分は潰しておくことをおすすめします。 基本が理解できていないと、解けない問題が出てくるため、基本の理解は重要なためです。
おすすめの参考書は次章で紹介します。
講座を受講する
参考書を読み進めるだけでは、理解できない部分もあるため、必要に応じて講義を受講しましょう。
講座の場合、わかりやすい例を挙げるなど解説に工夫が加えられているため、独学で学ぶより理解がしやすくなります。 またわからない部分の質問ができるため、疑問の解決がスムーズに進みます。
問題集を繰り返し解く
データサイエンティスト検定に限らず、試験・検定に対する定番の対策は、問題集を繰り返し解くことです。
問題集は数多く揃える必要はなく、一冊の問題集を繰り返し解くようにしましょう。 問題の形式は問題集により異なりますが、問われる知識は基本的には同じです。 大事なことは、問題を解くのに必要な知識を自身の中から確実に引き出せるようにすることです。
一冊の問題集を繰り返し解きながら、必要な知識を取り出せるように訓練をしましょう。
データサイエンティスト検定(DS検定)のおすすめの参考書や問題集
参考書や問題集は、検定の合格率のカギを握る重要なアイテムです。 一方でどの参考書や問題集を使えばよいのか、わからない方も多いでしょう。 本章ではデータサイエンティスト検定におすすめの参考書・問題集を紹介します。
最短突破 データサイエンティスト検定(リテラシーレベル)公式リファレンスブック 第2版』
最短突破 データサイエンティスト検定(リテラシーレベル)公式リファレンスブックは、技術評論社が出版している参考書兼問題集です。 前半はデータサイエンスやデータエンジニアリングなどを解説して、後半は模擬試験となっています。
新たに変更された出題範囲にも対応しており、各々の出題範囲を丁寧に解説している一冊です。 検定の合格を目指す方はもちろん、データサイエンスの教養を身につけたい方にもおすすめです。
『合格対策 データサイエンティスト検定[リテラシーレベル]教科書』
合格対策 データサイエンティスト検定[リテラシーレベル]教科書は、リックテレコム社が出版している参考書兼問題集です。 タイトルが教科書となっていますが、後半は模擬試験となっているため、検定対策もしっかりできる一冊になります。
本書の特徴として、幅広い出題範囲をカバーしている点であり、データリテラシーやデータエンジニアリング、ビジネス力、データとAIの利活用までを対応しています。
また本書はデータサイエンティスト協会が監修しているため、内容を含めて検定の対策本としては間違いのない一冊といえるでしょう。
『徹底攻略データサイエンティスト検定問題集[リテラシーレベル]対応』
徹底攻略 データサイエンティスト検定問題集は、インプレス社が出版している参考書兼問題集です。 本章は、データサイエンス・データエンジニアリング・ビジネスの3つの分野を中心に解説しています。 最新の出題範囲であるスキルチェックリストVer4にも対応しているため、検定対策ではおすすめの一冊になります。
データサイエンティスト検定(DS検定)は就職や転職に役立つ?
データサイエンティスト検定の取得は、就職や転職に役立ちます。
現在の検定で取得できるレベルは、見習いレベルの1ですが、検定で問われる内容はデータサイエンティストに必要な知識ばかりです。 基本の知識がなければ、より高度なレベルに上がることは難しいため、検定を通して知識を身につけておいて損はありません。
またデータサイエンティストにならなくとも、検定で学んだ知識はAIエンジニアやデータエンジニアなど他の職種に就職・転職する際に役立ちます。
データサイエンティスト検定(DS検定)と関連資格との違い
データサイエンティスト検定では、データサイエンスやデータエンジニアリングなどの知識が問われますが、同様の内容が問われる資格・検定は他にもあります。 本章ではデータサイエンティスト検定と関連資格の違いを解説します。 関連資格との違いを理解して、データサイエンティスト検定を受ける目的を強固なものにしましょう。
G検定
G検定とは、AI・ディープラーニングの基礎知識やリテラシーを習得する検定試験です。 データサイエンティスト検定とは、AI・ディープラーニングの基礎知識や利活用、関連する法律など共通の出題内容です。
G検定で学習した内容はデータサイエンティスト検定にも生かせるため、G検定を取得している方はデータサイエンティスト検定にも対応しやすいでしょう。 一方でデータサイエンティスト検定の方が。データ分析や統計学分野からの出題範囲が広いため、改めて検定向けの対策が必要になります。
E資格
E資格とは、ディープラーニングの知識やリテラシーがあるかを認定する資格です。 データサイエンティスト検定とは、ディープラーニングやデータエンジニアリングなどが共通の出題内容です。
G検定と同様にデータサイエンティスト検定にも生かせる分野を学べるため、E資格を取得した方は、データサイエンティスト検定の受験もおすすめになります。 一方でE資格は、ディープラーニングやデータエンジニアリングに特化していることから、ビジネスやAIの利活用は出題範囲から抜けているため、対策が必要です。
ITパスポート試験
ITパスポート試験とは、ITの基礎理論や開発マネジメント、経営戦略やシステム戦略などビジネスやITの基礎知識が習得できる試験です。 データサイエンティスト検定とは、ビジネスの知識やIT戦略などが共通の出題範囲です。
ITパスポート試験で問われる内容は基礎的であり、データサイエンティスト検定の方がより専門的な内容になります。 まだITに馴染みが薄いと感じる方はITパスポート試験を、ITに対する教養がある程度あると感じる方には、データサイエンティスト検定をおすすめします。
統計検定
統計検定とは、統計学の知識や統計学の活用スキルを問われる試験です。 データサイエンティスト検定とは、データサイエンスや統計学が共通の出題範囲です。 一方で統計検定より、データサイエンティスト検定の方が出題範囲が広く、ビジネスやデータエンジニアリング分野の対策が必要になります。
まとめ
今回はデータサイエンティスト検定の概要や難易度、おすすめの参考書などを解説しました。 今回解説した内容をまとめると以下のとおりです。
現在のデータサイエンティスト検定のレベルはレベル1(見習いレベル)
レベル1の一方で難易度は比較的高い
データサイエンティスト検定の出題範囲は広い
データサイエンティスト検定は実施目的のとおり、取得できれば、スキルの証明としてはうってつけの存在です。 ぜひ本記事を参考にしていただき、取得を目指していただければと思います。
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