副業とフリーランスの違いとは?税制、社会保険、それぞれのメリットを解説
「本業の傍らで仕事をする副業と、独立して仕事をするフリーランスの案件に違いはあるのだろうか?」「副業とフリーランスは何が違うのだろうか?」と疑問をお持ちではありませんか?理想の働き方を実現するためにも、2つの働き方の違いについて理解しておきましょう。
今回は副業とフリーランスの違いについて解説します。この記事を読めば、どちらの働き方が理想であるのか判断できるようになります。そのため、理想の働き方を考える際にお役立てください。
目次
副業とフリーランスの違い
副業 | フリーランス | |
---|---|---|
本業 | あり | なし |
収入 | 固定給+α | 変動 |
働き方の自由度 | 低い | 高い |
定年退職 | あり | なし |
保険 | 社会保険(健康保険) | 国民健康保険 |
年金 | 厚生年金 | 国民年金 |
確定申告の必要性 | 20万円以下は不要 | 必要 |
副業とフリーランスの大きな違いは雇用契約を締結している仕事(本業)の有無です。雇用関係の有無により「収入」「働き方の自由度」「定年退職」「保険」「年金」「福利厚生」「確定申告の必要性」が異なります。
副業とは
副業とは本業の傍らで働くことをいいます。平日の夜や休日を活用し副収入を得ます。 会社員の給与があるため、副業をしなくても生活を送る上で困ることはありません。つまり、会社員の給与が安定した収入源となります。
また、社会保険と厚生年金に加入できることも魅力です。会社が折半して社会保険や厚生年金を負担してくれます。社会保険は国民健康保険より手厚い保障が得られ、厚生年金に加入すれば将来受給できる年金額を増やせます。そのため、老後も安心です。
さらに会社員は年末調整を行ってもらえます。副業収入が20万円以下の場合は確定申告の手続きを行う必要ありません。その上で副収入が得られるなどメリットがある働き方ですが、本業と副業の両立は想像以上に大変です。
フリーランスとは
フリーランスとは個人事業主として独立して仕事を請け負うことをいいます。
フリーランスは働いた分だけ収入が上がります。しかし、取引先と業務委託契約を締結して仕事を請け負うため、安定的に仕事が得られる保証はありません。つまり、毎月収入が変動します。 また会社と雇用契約を締結していないため、国民健康保険や国民年金に加入し、実費で支払わなければなりません。国民年金のため、将来もらえる年金額も月6万5,000円と少なく、老後を見据えて貯金する必要があります。
また、自分自身で確定申告の手続きも行わなければなりません。 このようなデメリットがありますが、自由な場所、自由な時間に働けます。仕事が順調にいけば、取引相手や仕事内容も選べるようになります。
副業のメリット
副業とフリーランスはメリットが違います。理想の働き方を実現するために、それぞれのメリットを確認しておきましょう。まずは、副業の4つのメリットをご紹介します。
収入が増やせる
副業を始めれば、会社員の給与以外に副収入を得ることができます。会社員の場合、昇給額が1万円と少ないケースも珍しくなく、あまり収入アップが期待できません。しかし、副業で副収入を得ることで経済的なゆとりが生まれます。
例えば、副業で月額5万円を稼ぐことができれば、年間60万円の収入アップができます。60万円をあれば生活の質を高められるでしょう。実際に経済面の不安を解消するために副業をしている方も多くいます。
独立前の人脈づくりができる
副業を通じて、独人脈を築くことができます。なぜなら、クライアントから引き受けた仕事を完璧にこなして信頼関係を築けば、中長期で契約してもらえたり、他の顧客を紹介してもらえたりするようになるためです。顧客との信頼関係を強固なものにできれば、独立後も取引してもらえるでしょう。独立の足掛かりができるため、将来独立を検討している方は、副業から始めてみることをおすすめします。
スキマ時間の有効活用
副業はスキマ時間を有効活用することができます。クラウドソーシングサービスには、労働時間の拘束がないスポット案件が掲載されています。始業時間や終業時間が決まっているわけではなく、希望期日までに成果物を渡せばよいため、自分のペースで仕事を進めることが可能です。
例えば、家事の合間にアンケートに回答したり就寝前までプログラムコードを記述したりすれば、スキマ時間を上手く活用してお金を稼ぐことができます。
経験やスキルアップ
副業に取り組めば、経験値やスキルを高められます。会社員でもスキルアップはできますが、普段の仕事の範囲は限られており、学ぶ機会も限定的です。しかし、副業であれば、興味・関心のある仕事が行えます。
例えば、英語を得意としているエンジニアが「語学力を磨きたい」と思った場合は、翻訳や通訳の副業をすることで、ビジネスに通用する語学力を磨けます。つまり、副業は自己実現を叶えられる働き方です。
フリーランスのメリット
フリーランスで働くメリットは4つあります。
自由な働き方ができる
フリーランスはライフスタイルに合った働き方ができます。例えば、働く場所は「自宅」「カフェ」「コワーキングスペース」などから選べます。海外旅行先から仕事することも可能です。また、働く時間も自由に決められます。誰と取引するのか、どのような仕事をするのかも自由です。このように、自由な働き方ができることがフリーランスの最大のメリットです。
成果次第で収入アップ
フリーランスは請け負った案件数や単価で収入が決まります。
つまり、自分の頑張り次第で収入を増やすことが可能です。専門的なスキルが身に付けば、高単価な案件を獲得できるようになります。常に新しい知識やスキルを習得し、自分の市場価値を高める必要がありますが、成果次第で大幅に収入アップできます。努力すれば、年収1,000万円以上稼ぐことも可能です。
税金負担の軽減
フリーランスは業務で使用したものを経費として計上できるため、税負担を軽減できます。
例えば、業務で使用しているPCやソフトウェアも経費で購入できます。また、携帯電話料金やインターネット料金、交際費や交通費も経費計上することが可能です。自宅をオフィスとして使用する場合は、家賃や水道光熱費の一部を経費として計上できます。このように、個人事業主は経費を使った節税テクニックを使用できます。
定年や退職といった概念が無い
会社に勤めている場合は定年を迎えると退職が余儀なくされますが、フリーランスの場合は何歳まで働くかを自由に決められます。
つまり、フリーランスには定年退職の概念がありません。働く意思がある限り、仕事を続けることができます。生涯現役でという意欲がある方にはフリーランスという働き方が向いていることでしょう。
副業とフリーランスの社会保険
副業とフリーランスは加入する健康保険と年金が異なります。
健康保険
会社と雇用契約を締結している副業の場合は社会保険に加入します。社会保険料は本人と会社で折半することになります。
社会保険は国民健康保険より手厚い保障が得られることが魅力です。例えば、社会保険であれば、配偶者や子供を扶養に入れることできます。被扶養者が何人いても保険料は変わらず一律料金です。
一方で、フリーランスの場合は国民健康保険に加入します。国民健康保険料は実費で負担しなければなりません。また、社会保円のような手厚い保障は得られません。配偶者や子供を扶養に入れることはできず、家族分の保険料を支払う必要があります。
年金
会社と雇用契約を締結している副業の場合は厚生年金に加入します。厚生年金保険料は本人と会社で折半することになります。
公的年金は2階立て(1階が国民年金、2階が厚生年金)となっており、厚生年金に加入していれば、国民年金に上乗せされた年金額を受け取ることが可能です。例えば、年収400万円の場合は年額172万円を受給できます。
一方で、フリーランスの場合は国民年金に加入します。公的年金の1階部分しか加入できず、将来もらえる年金額は79万円です。国民年金基金に加入すれば、年金受給額を増やすことはできますが、保険料を実費で負担しなければなりません。
副業やフリーランスの税金
副業とフリーランスでは確定申告の必要性が変わります。
確定申告とは
確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得を計算し、所得に対する所得税を納税することをいいます。所得とは、1年間の収入から経費を差し引いた金額です。 フリーランスの場合は、1年間の所得を計算し、所得に対する所得税を納税するまでの手続きを行わなければいけません。
会社員は会社が年末調整してくれるため、確定申告は不要です。しかし、副業の副収入が20万円以上の場合はご自身で確定申告を行う必要があります。
確定申告の方法
副業で副収入が20万円以上ある方とフリーランスの方は確定申告を行う必要があります。確定申告の方法は、次の通りです。
確定申告の流れ
- 必要な書類(請求書や領収書、源泉徴収票)を用意する
- 証憑書類を参考にして帳簿を作成する
- 帳簿から確定申告書を作成する
- 所轄の税務署へ確定申告書を提出する
- 所得税を納付する
開業届の必要性とメリット
フリーランスは開業届を提出する必要はありますが、副業は提出するかどうか自由に決められます。開業届を提出すれば、仕事で必要なものを経費計上できたり、青色申告特別控除が受けられたりします。
しかし、会社員と個人事業主の二足の草鞋の状態のため、会社を退職した際に失業保険が受け取ることができません。そのため、メリット・デメリットを踏まえて、開業届を提出するか判断してください。
副業やフリーランスの仕事の獲得方法
副業とフリーランスの違いをご紹介しましたが、仕事の獲得方法は同じです。どのように、仕事を獲得するのかを確認しておきましょう。
エージェントサービスの利用
エージェントサービスとは、希望条件やスキルを擦り合わせて、ピッタリな案件を獲得するのをサポートしてくれるサービスです。エージェント経由の契約は一定期間が定められているため安定収入が得られます。
個人に話が持ち上がりにくい大型プロジェクトの案件なども紹介してもらえるため、安定収入や高収入を得たい方におすすめです。
一方で、エージェントサービスの案件は期間や労働時間が決められています。働き方の自由度が減るため、好きな場所や時間に仕事をやるスタンスの方には向かない恐れがあります。 さまざまなエージェントサービスがあり悩んでしまうかもしれませんが、自分のスキルに合った案件が紹介されているサービスを利用するようにしましょう。
クラウドソーシングサービスの利用
クラウドソーシングサービスとは、仕事を頼みたいクライアントと仕事を引き受けたいワーカーをマッチングさせるサービスです。サイト上で、仕事の依頼や報酬の支払いまで行われます。 クラウドサービスには大量の案件が紹介されています。簡単にできる仕事も紹介されているため、隙間時間を有効活用したい方におすすめです。
また、クラウドソーシングサービス登録者で一定の条件を満たすと福利厚生が受けられるものもあります。 さまざまなメリットがありますが、報酬が低い案件が多いです。また、単発依頼も多いため、長期契約を希望する方には不向きでしょう。
SNSを活用
SNSを活用して副業やフリーランスの案件を獲得することもできます。 案件を獲得するためには、自分で営業しなければなりません。そのため、多くの人から注目を浴びる必要があります。 TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSで実績を公開し、上手く拡散されれば仕事が取れます。
SNSで案件を獲得するためにはセルフブランディングが必要です。セルフブランディングが上手くいけば、たくさんの仕事のオファーが届くようになり、仕事の厳選ができるようになります。 副業やフリーランスの案件を獲得するためにSNSを活用する場合は、プライベートとの切り替えをしましょう。
友人・知人の紹介
友人や知人などの紹介で案件を獲得する方法もあります。友人や知人からの紹介は、失注することが基本的にありません。「あの人にお任せすれば大丈夫」と太鼓判を押してもらえているため、最初から信頼関係が築けており、仕事が捗ります。そのため、イベントに積極的に参加して、知人を増やしましょう。友人、知人を増やすほど、ビジネス機会に恵まれやすくなります。
初心者にもおすすめの総合型クラウドソーシングサービス
副業やフリーランスが案件を獲得する方法をご紹介しましたが、初心者にはクラウドソーシングサービスがおすすめです。ここでは、特におすすめのクラウドソーシングサービスを3つご紹介します。
ランサーズ
引用元:『ランサーズ』
ランサーズは600,000社以上が利用しているクラウドソーシングサービスです。 「システム開発・運用」「Web制作」「デザイン制作」「ライティング」「タスク」「写真」「ナレーション」などの幅広い案件が登録されており、スポット契約が多く掲載されています。
ランサーズは実績を積むと認定ランサーになれて、スカウトされやすくなります。また、ランサーズで実績を積むと、福利厚生サービスであるランサーズクラブオフが利用することも可能です。そのため、特典のあるクラウドサービスをお探しの方におすすめです。
クラウドワークス
引用元:『クラウドワークス』
クラウドワークスは国内シェア・取引額No.1のクラウドソーシングサービスです。「デザイン制作」「サイト制作」「記事作成」などの幅広い案件が掲載されています。 クラウドソーシングの大きな特徴は、サイト内を監視・巡回されていることです。24時間365日サイト内を巡回しており、MLM・マルチ商法・ねずみ講・ネットワークビジネスなどは撲滅しています。
また、取引を開始したにも関わらず取引先から連絡がこない、検品・検収が行われないなどのトラブルがないように、連絡催促などサポートしてもらえます。そのため、安全に取引できるサービスをお探しの方におすすめです。
ココナラ
引用元:『ココナラ』
ココナラは得意分野を売りたいワーカーと、得意な人に仕事をお任せしたいクライアントをマッチングするサービスです。スキルを出品することで、お問い合わせを獲得できます。
プロフィールにスキルや経験、ポートフォリオ、各種実績が登録できるため、得意分野を思う存分にアピールできます。ランサーズやクラウドワークスと比較すると公開されている案件数は少なめです。そのため、スキルをビジネスに繋げたいとお考えの方におすすめです。
企業が副業を禁止する理由と罰則について
副業に興味を持った方もいるかもしれませんが、企業の中には副業を禁止しているところもあるため、就業規則を必ず確認してください。もしかすると、副業禁止に納得できない方もいるかもしれません。そのような方向けに、企業が副業を禁止する理由をご紹介します。
副業を禁止する企業の理由とは
企業が副業を禁止する理由には、さまざまな理由があります。 例えば、本業の傍らで副業を行うことで長時間労働、過重労働となり、本業に影響が出ることを懸念している企業もあります。長時間労働や過重労働で労働災害とみなされた場合、どちらに責任があるか区別が困難なため避けたいと考える企業も多いです。
また、別の仕事をする際に会社の機密情報が洩れたり、良い条件の会社に転職してしまうのではないかと不安視したりする企業もいます。このような理由で、企業は副業を禁止しています。
副業禁止の企業では副業はバレる?バレない
副業禁止の企業に秘密で副業を行うとバレてしまいます。なぜなら、住民税の特別徴収の際に住民税額を見て給与以外の収入を得ていることが把握できてしまうためです。企業に秘密で副業する行為は、就業規則違反となり罰則の対象となります。最悪の場合は懲戒処分されてしまうため、企業に秘密で副業を行わないようにしましょう。
まとめ
副業とフリーランスの大きな違いは雇用契約を締結している仕事(本業)の有無です。雇用関係の有無により「収入」「働き方の自由度」「定年退職」「保険」「年金」「福利厚生」「確定申告の必要性」が異なります。そのため、どちらの働き方が理想であるかを考えてみてください。 副業とフリーランスの仕事の獲得方法は基本的に同じです。
AI dropの運営会社EDGE Technologyはエンジニアの方向けに、フリーランス独立支援や副業サポートを行っています。そのため、フリーランスや副業に興味があるけれど始める上で不安という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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