BIコンサルタントの年収は?仕事内容や必要な資格・スキルは?将来性を解説
企業でビッグデータの活用や分析が重要視されていくにつれ、データを活用して経営戦略をコンサルティングするBIコンサルタントが注目されています。しかし同じビッグデータを扱うデータサイエンティストやAIエンジニアと比べて、BIコンサルタントはまだ認知度がそれほど高くないのが現状です。
本記事では、BIコンサルタントの仕事内容や年収、将来性について詳しく解説します。ビッグデータを扱う仕事に興味のある方はぜひ参考にしてください。
目次
BIとはどのようなものか
BIとは「Business Inteligence(ビジネス・インテリジェンス)」の略で、企業が所有している様々なデータを分析し、そのデータをもとに経営戦略の意思決定に活用することです。分析したデータは意思決定の際の重要場根拠資料となり、経営課題解決の手助けとなります。
BIの需要が高まっている理由
BIは近年のビッグデータ活用の動きにともなって需要が高まっています。そもそも、BI自体は1990年代に企業のIT化が導入され始めた頃、ビジネスシーンで活用され始めたものです。
近年ではサーバーやインターネット技術の進化に加え、マーケティング手法の多様化により収集や蓄積されたデータが膨大になりました。企業が収集・蓄積したデータはビッグデータとして分析・活用されるようになり、企業間の競争を優位にするために不可欠な存在となりました。よって、データをもとに経営戦略の意思決定を行うBIが再び注目されるようになったのです。
BI特化のコンサルティングファームも増加
BI需要の高まりを受けて、BIに特化したコンサルティングファームも増加しています。通常のコンサルティングは経営課題のヒアリング、データ分析、経営戦略の立案を行います。BIコンサルティングはこれらの業務に加え、BIツールの選定・導入やデータ分析の運用面の検討まで幅広い支援を行う場合もあり、BIツールやデータ分析の知識などの高い専門性が必要です。
高い専門知識が求められること、企業のBIコンサルティングに対する需要が高まっていることから、BIに特化したコンサルティングファームの需要も高まっていくと予想されます。
BIコンサルタントの仕事とは
前述したように、BIコンサルタントの業務内容は通常のコンサルタントと比べ、専門知識が求められ業務も多岐にわたります。BIコンサルタントの具体的な業務は下記の3つです。
- BI導入の目的の明確化
- 最適なBIツールの提案
- ツール活用方法の指導や研修
BI導入の目的の明確化
BIコンサルタントはクライアント企業にヒアリングを行い、経営課題の洗い出しを行います。抽出された経営課題に対し、どのようにBIを活用すればよいか方向性を提示してBI導入の目的を明確化することがBIコンサルタントの役割です。
BIツール導入の目的を明確化することで、具体的なKPI(重要業績評価指標)の設定が可能になります。また、BIツールの導入そのものがゴールとなってしまわないように提案することも求められます。
最適なBIツールの提案
BIツールの導入目的が明確になったら、経営課題解決に最適なBIツールを提案することもBIコンサルタントの役割です。BIツールには下記のような機能があり、製品ごとに強みが異なります。
- ETL(データ集計)機能
- データを抽出する機能
- OLAP分析機能
- 複数のデータベースから複雑な集計や分析を行う機能
- レポーティング機能
- 分析したデータをグラフ化する機能
- ダッシュボード機能
- 分析結果を一覧表示する機能
例えば財務状況を可視化したいのであれば、ETL(データ集計)機能でデータ集計を行いレポーティング機能でグラフ化すると、効率的に財務分析と分析結果の可視化が可能です。
BIコンサルタントはヒアリングした経営課題をもとに、課題解決に最適なBIツールを選定する必要があります。よって、BIコンサルタントはBIツールの専門的な知識が不可欠です。
ツール活用方法の指導や研修
BIコンサルタントはBIツールの導入・運用のほかにも、クライアント企業の経営者や従業員に対してBIツールの活用方法の指導や研修を行う場合もあります。BIツールの導入そのものがゴールとなってしまわないよう経営者や従業員に対してフォローアップを行い、最終的に経営課題の解決へと導くことがBIコンサルタントの役割です。クライアント企業や従業員によってITリテラシーは異なるため、組織内でBIツールの活用が定着するよう必要に応じて指導や研修の実施が求められます。
BIコンサルタントの求人動向
ビッグデータを活用する企業の増加にともない、BIコンサルタントの需要も高まっています。市場での需要が高いいっぽうで、BIコンサルタントはBIツールやビッグデータの専門知識だけでなく経営やコンサルティングの知見や実績が求められ、需要に対して人材が不足している状況です。
上記の知識や経験を満たすBIコンサルタントは限られているため、現在の転職市場ではデータアナリストやBIツール導入経験のあるSIer(システムインテグレーター)のキャリアパスとしてBIコンサルタントにキャリアチェンジする傾向も見られます。実際の求人でも、データ分析やプログラミング経験があればコンサルティング業務が未経験でも応募可能な求人も存在しています。
BIコンサルタントの平均年収や単価相場
コンサルティング職は一般的に高年収である傾向が見られ、BIコンサルタントも例外ではありません。スキルや実績によって年収は異なりますが、BIコンサルタントの年収はおおよそ500万~1,000万円であるといわれています。
年収相場
コンサルティング職はコンサルティングファームの組織ごとに異なりますが、一般的に下記のような階級があります。
- コンサルタント(入社2~6年目)
- シニアコンサルタント(入社3~8年目)
- マネージャー(入社5~12年目)
階級によって担当する仕事が異なり、階級が上がるにつれて年収も上がっていきます。では、それぞれの階級で担当する仕事と年収相場を詳しく解説します。
コンサルタント級
コンサルタントの年収はおおよそ500万~700万円といわれています。コンサルタントはクライアントとの折衝や課題解決のための成果物作成が主な仕事内容です。
シニアコンサルタント級
シニアコンサルタントの年収はおおよそ700万~900万円です。シニアコンサルタントの仕事はプロジェクトの管理や部下であるコンサルタントのマネジメント業務も追加されます。規模が小さいプロジェクトではプロジェクトリーダーに抜擢されるなど実務に加えてマネジメントにも携わるようになります。
マネージャー級
マネージャークラスになると年収はおおよそ1,000万円以上になるといわれています。マネージャーはプロジェクトの責任者となり、プロジェクトチームメンバーのマネジメントが仕事です。加えてプロジェクトの進捗、予算、リスクなど様々なマネジメントも求められます。マネージャーになると責任者としての責任が重くなるぶん、年収も一気に上昇します。
案件の単価相場
BIコンサルタントはフリーランスの案件も豊富です。案件単価は月収50万~80万円が相場です。分析設計の上流工程など高度なスキルが必要な案件は月収単価100万円以上の案件もみられます。
なおフリーランスの報酬と会社員の給与を比較した場合、会社員の給与はフリーランスの報酬の5割から8割といわれています。スキルや実績が豊富な場合はフリーランスとして独立するのもひとつのキャリアパスといえるでしょう。
BIコンサルタントの年収アップ方法
BIコンサルタントの年収はスキルと実績によって異なります。よって年収を上げたい場合は、資格取得などでスキルを磨くか、実績を積んでキャリアアップする方法が一般的です。また、最近では副業で収入を増やす選択をする人も見られるようになりました。
資格の取得
年収アップの代表的な方法が資格を取得してスキルを磨くことです。BIコンサルタントになること自体に資格は必要ありませんが、資格があればスキルの証明となり転職や独立の際に役立ちます。
具体的には、ITや統計関連の資格がおすすめです。BIコンサルタントにおすすめの資格を2つ紹介します。
情報処理技術者試験
情報処理技術者試験とは独立行政法人情報処理推進機構が実施する試験です。試験を受けることで情報処理に関する知識やスキルが証明できます。
情報処理技術者試験にはレベルや専門分野ごとに様々な試験があります。BIコンサルタントにおすすめの試験は、受験対象者像として組織戦略やマネジメント知識を求めている試験です。また、ビッグデータに関する試験もおすすめです。具体的には下記の試験が挙げられます。
統計検定
統計検定とは、一般財団法人統計質保証推進協会が実施する試験です。統計に関する知識や活用力を評価する試験で、ビッグデータを扱うBIコンサルタントにおすすめの試験といえます。
統計検定はレベルごとに試験があり、データサイエンスに特化した試験もあります。BIコンサルタントとしてデータサイエンスのスキルを証明したいのであれば、下記のデータサイエンスに特化した試験がおすすめです。
実務経験などでキャリアアップ
BIコンサルタントに限らず、コンサルタント職は実績数がキャリアアップにおいて重視されます。キャリアアップするためにはコツコツと実務経験を積むことが重要です。
また未経験からBIコンサルタントにキャリアチェンジしたい場合は、BIコンサルタントの実務に直結する下記の経験があれば未経験でも求人に応募できる場合もあります。
- BIツールの運用経験
- データ分析の実務経験
- コンサルティングファームやSlerでの実務経験
エージェント経由で副業案件を獲得する
最近では副業をする人も増加し、副業を始めることも年収アップのための選択肢となりました。副業を始めるのであれば、フリーランス・副業エージェント経由で案件を探すことをおすすめします。
エージェントを利用すると希望条件やスキルに合った案件を紹介してもらえるため、効率的に案件を探すことができます。さらにエージェントではエンド直結などの高単価案件や非公開求人も紹介してもらえるため、年収アップにつなげやすい点も魅力です。
BIコンサルタントのキャリアパス
BIコンサルタントのキャリアパスは多様です。コンサルタントとしてシニアコンサルタントやマネージャーとしてキャリアを積み上げていく道はもちろん、関連する業務が多いITコンサルタントやBIエンジニアへのキャリアチェンジも可能です。スキルや実績が豊富であれば、起業することもできるでしょう。
またデータ分析のスキルを活かして、企業のマーケティング部門や経営企画部門、営業部門でも活躍できます。あるいは経営や組織戦略の知見を活かして、企業のCOO(最高執行責任者)やCMO(最高マーケティング責任者)のポジションでの活躍も期待できるでしょう。
BIコンサルタントの需要や将来性
BIコンサルタントの需要は今後も高いであろうと予想されます。インターネットやサーバー技術の発展により、扱うデータはますます膨大になっています。加えてDX化が進んでいき、リソース不足などでDX化が遅れていた中小企業でもDX化が加速していくでしょう。
ビッグデータの活用とDX化が進むことでBIコンサルタントの需要は拡大していくと考えられます。特に中小企業では社内で専任の担当者を確保することが困難であることが多く、BIコンサルタントを外部委託するケースの増加が見込めます。
まとめ
BIコンサルタントはデータ分析をもとに経営戦略を策定する高い専門性が求められる仕事です。ビッグデータの活用やDX化を受けて需要が高まっており、将来的にも活躍の幅が広がっていくと予想されます。
BIコンサルタントの業務ではBIツールやデータ分析の知識、経営に関する知見など専門的かつ幅広いスキルが求められます。それゆえ、BIコンサルタントのキャリアパスもコンサルタントとしてのキャリアアップから起業、企業のCxOなど多岐にわたります。BIコンサルタントは活躍の幅も可能性の幅も広い職業と言えるでしょう。
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