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リスキリングでデータサイエンティストを目指す方法

リスキリングでデータサイエンティストを目指す方法

DXに取り組む企業が増えている昨今、データサイエンティストの需要も増しています。

本記事では、リスキリングでデータサイエンティストを目指す際のメリットや注意点、おすすめの講座などについて解説します。

目次

リスキリングとは

リスキリングとは、技術革新やビジネスの変化に対応するために、必要なスキルを身につけることです。

最近では、企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)化の流れについていくために、従業員に対してリフキリングを施す例が増えています。なおリスキリングには、新たな知識や習得にとどまらず「再修得」の意味もあります。

リスキリングの定義

企業によってリスキリングの定義や範囲は異なりますが、政府はリスキリングを次のように定義づけています。

「新しい職業に従事するため、または、現在の職業で必要とされるスキルの大きな変化に適応するために必要なスキルを獲得したり、身につけさせたりすること。」

引用:リスキリングとは | 経済産業省

先述のように、DX化の推進によってデジタル人材を増やしたい企業が増えています。新たな人材を雇用するだけでなく、リスキリングによって既存社員の能力アップが期待できるのです。

リカレント教育との違い

リカレント教育とは、就労や学習を繰り返し行う教育です。はたらく個人が主体的に学ぶことを指します。

リスキリングは企業がDXをはじめ生産性向上のために行いますが、リカレント教育は「個人」が、あらためて学びたい内容を反復する、といった違いがあります。

たとえば「会社を離職して職業訓練校に入り、デザインを学び直す」「大学に再入学する」などはリカレント教育です。

データサイエンティストとは

データサイエンティストとは、数学や統計学などを用いてデータを解析し、企業経営に役立てる職種です。

ここ数年の、AIやビッグデータなどの技術革新によって注目が集まっており、データサイエンティストを求める企業も増えています。

データサイエンティストの仕事内容

データサイエンティストは「データの分析・解析」をするイメージがありますが、それだけではありません。仕事内容として、次のものがあげられます。

  • データの収集
  • 企画や仮説の考察
  • データの前処理(抽出や分類など)
  • データの分析・解析
  • 仮説検証
  • レポーティング

データサイエンティストの仕事は、データを集めるところから、レポーティングまでがセットです。データサイティストとして就職や転職したい場合、これらの業務をひと通り遂行できるスキルが求められます。最終目的は企業の経営戦略に役立てることなので、ビジネス的な視点でデータ分析を行う必要があります。

リスキリングでデータサイエンティストを目指すメリット

企業のリスキリングでもデータサイエンティストになることは可能です。

リスキリングによってデータサイエンティストを目指すメリットとして、次のものがあげられます。

  • データサイエンティストの需要は高い
  • 企業のDX化に貢献できる
  • 年収アップの可能性がある
  • 専門実践教育訓練給付金の対象になるものも

データサイエンティストの需要は高い

最近では、DX化の流れによってデータサイエンティストの需要も高まっています。

厚生労働省が運営する「jobtag」を見ると、令和4年度におけるデータサイエンティストの有効求人倍率は2.77倍でした。

求職者1人に対して2.77社の求人があることを示しており、つまりデータサイエンティストの人材不足を意味しています。

今後ますますデータサイエンティストの需要は高まることが予想できます。データサイエンティストを含むDX人材を確保することは、企業の生産性向上や利益向上のためにも重要な事項といえます。

参考:職業情報提供サイト jobtag

企業のDX化に貢献できる

データサイエンスのスキルが身につく、すなわち、それだけ企業のDX化に貢献できることを指します。

現在自社にデータサイエンティストが在籍していない場合、自らリスキリングを希望することで、スキルが習得でき、自社の利益向上に貢献できるでしょう。

企業側も「DXに精通した人材」「ITリテラシーの高い人材」を求めているため、成果を出すことができれば、給与や待遇も良くなるでしょう。

年収アップの可能性がある

データサイエンティストは、IT職種の中でも年収が高い傾向にあります。平均年収は510〜530万円程度です。

300万円以下の人もいれば、1,000万円以上を稼ぐ人もいるなど上限と下限の落差は大きいですが、平均としては500万円以上の人が多いです。

同じ業界のITエンジニアの平均年収は430〜460万円程度。全業種の平均は400〜420万円なので、他業種と比べてもデータサイエンティストの年収は高いといえます。

知識やスキルを身につけることで、前職よりも高い年収を目指せます。

専門実践教育訓練給付金の対象になるものも

専門実践教育訓練給付金とは、国が指定する教育訓練を受講することで、費用が助成される給付金です。

一定の条件を満たす在職者や離職者が対象で、データサイエンスを学べるスクールも対象となっています。指定された専門実践教育訓練を受講することで、50%〜70%の助成を受けられます(年間上限あり)。

料金の50%以上が助成される制度ですが、同給付金の助成を希望する際は、ハローワークでの手続きが必要です。

自分が支給対象になるかどうか、いくら対象となるのか、などは自身でハローワークに確認する必要があります。

また給付額や支給要件、受講期間などはスクールや講座によって異なるため、公式の制度詳細やハローワークに確認してみてください。

参考:教育訓練給付金制度 | 厚生労働省 参考:専門実践教育訓練給付金に関するよくある質問 | 厚生労働省

リスキリングでデータサイエンティストを目指すにあたっての注意点

リスキリングでデータサイエンティストを目指すことにはメリットが多い反面、デメリットもあります。とくに注意しておきたい点は以下のとおりです。

  • 幅広い知識やスキルが求められる
  • 新しい技術や手法を積極的に学び続ける

幅広い知識やスキルが求められる

データサイエンスティストには、数学や統計学をはじめプログラミング、ビジネススキル、コミュニケーションスキルなどが必要です。

れらの知識やスキルを習得するのは簡単ではなく、一定の努力が必要となります。

従業員自身が努力することはもちろん、企業にとっても教育の労力やコストがかかります。 そのため、しっかりと計画を立ててリスキリングを進めることが大切です。

新しい技術や手法を積極的に学び続ける

データサイエンスはIT領域なので、業界の状況やトレンドがめまぐるしく変化します。

求められる技術や手法も日々変化するため、それに対応できるよう、積極的に学び続ける姿勢が重要です。新たな知識やスキルを受け入れ、吸収する姿勢も重要となります。

リスキリングでデータサイエンティストを目指すには

リスキリングでデータサイエンティストを目指すためには、次のステップを踏む必要があります。

  • 数学や統計学の基礎を学ぶ
  • 論理的思考力などのビジネススキルを身に付ける
  • eラーニングや研修で習得する

数学や統計学の基礎を学ぶ

データを扱ううえで、数学や統計学は必要不可欠です。膨大なデータから抽出や分析を行う際、統計学的手法を用います。

また、ビッグデータの解析には機械学習を用いるシーンも多く、線形代数や微分積分といった内容を理解しておく必要があります。

プログラミングを扱う場面が多く、「R言語」や「Python」がよく使われます。膨大なデータを効率的に処理するためにも、数学や統計学、プログラミングスキルが必須です。

論理的思考力などのビジネススキルを身に付ける

データサイエンスにおける「データ解析」は、あくまで経営に役立てるための手段です。最終的にはビジネスで使われるため、データサイエンティスト自身が、論理的思考によって仮説検証を行えたり、対象となるビジネスの理解を深めたりする必要があります。

データ分析を行う業種業態の特徴や傾向はもちろん、ビジネスモデル、事業成長にどうつながるのかなど、ビジネス全般の知識が必要です。

eラーニングや研修で習得する

eラーニングや研修で、より実践に近い内容を学びましょう。動画を見るだけの講義から、実際に手を動かしてプログラミングを行う講義など形式はさまざま。

企業はeラーニングや研修によって、従業員が主体的に学べる環境を用意しましょう。

データサイエンティストを目指す人におすすめ講座・プログラム

最後に、データサイエンティストを目指す人におすすめの講座やプログラムをご紹介します。

データサイエンス基礎講座(電気通信大学)

データサイエンス基礎講座は、電気通信大学が主催する社会人向けのデータサイエンス・リスキリング講座です。

カリキュラムは基礎学習、コンピューターサイエンスやプログラミングのeラーニング、実践・応用の3段階に分かれています。

プログラミングは主に「Python」を学習。実験環境の構築から各種演算処理、パフォーマンス計測、データ解析などさまざまな項目を学べます。

参考:データサイエンス基礎講座 | 電気通信大学

独り立ちデータサイエンティスト養成講座(電気通信大学)

上記の「基礎講座」のワンステップ上の講座として「独り立ちデータサイエンティスト養成講座」も用意されています。

必修講義は基礎講座と同じく3ステップですが、コンピューターサイエンスやプログラミングなど、さらに深掘りした内容を学びます。

実践演習では、回帰モデルや判別モデルの作成も実施。他にもデザイン的な部分やデータサイエンティストによるモック(MVP)作成なども行うのが特徴です。

参考:独り立ちデータサイエンティスト養成講座 | 電気通信大学

データサイエンスコース(SAMURAI ENGINEER)

株式会社SAMURAIが運営するスクール「SAMURAI ENGINEER」のデータサイエンスカリキュラムです。

同カリキュラムでは、データの取得やデータクレンジング、実務で欠かせない前処理、さらにはデータ解析を軸としたビジネス的な思考も養えます。

学習ステップは1〜2ヶ月の基礎学習、3〜4ヶ月の応用学習、5ヶ月の発展学習、6ヶ月の実践学習に分かれます。

しっかりと時間をかけてデータサイエンスを学べるため知識やスキルの安定化を図れるでしょう。

参考:データサイエンスコース | 株式会社SAMURAI

リスキリングデータサイエンティストコース(インソース)

株式会社インソースが主催するデータサイエンス学習コースです。社内人材のリスキリングに特化しており、企業の課題に応じた知識やスキルを身につけることで、DX化を促進。

「ビジネス力」「データエンジニアリング力」「データサイエンス力」の3つの観点からカリキュラムが設計されており、それぞれをバランスよく磨けます。

全7テーマを12日間にわたって学びます。短期間で効率よく学習できるため、時間のない社会人の方にはおすすめです。

参考:リスキリングデータサイエンティストコース | 株式会社インソース

AIエンジニア・データサイエンティスト養成講座(WinSchool)

パソコン教室を全国展開している「Winスクール」のAIエンジニア・データサイエンティスト養成講座です。

未経験の人で取り組みやすいカリキュラムを構築。プログラミング言語「Python」を使ってAIシステムを開発し、みずからデータ解析ができる知識・スキルが身につきます。

受講期間はおよそ3ヶ月。トータル96時間の学習期間で、データ解析に必要なシステム構築スキルの習得を目指します。

参考:AIエンジニア・データサイエンティスト養成講座 | WinSchool

データサイエンティスト養成講座(WorksID)

データの活用や解析のコンサルティング、デジタル人材の育成支援などを行う「ワークスアイディ株式会社」によるデータサイエンティスト養成講座です。

データサイエンスの概要からビジネスインサイト入門、状況可視化分析、テキストマイニング入門、統計学解析入門まで、データサイエンティストに必要な知識やスキルを網羅的に学べます。

現役データサイエンティストが講座を実施。データサイエンスの専門知識はもちろんビジネススキルも教えてもらえます。

参考:データサイエンティスト養成講座 | WorksID

Quest 実践形式で学ぶAI / データサイエンス(SIGNATE)

Quest実践形式で学ぶAI/データサイエンスは、株式会社SIGNATEが運営するデータサイエンス学習コースです。

コース名のとおり「実践形式」が特徴で、現場のリアルな業務を疑似体験しながら知識・スキルを身につけていきます。基礎講座も用意されているので未経験の人でも安心です。

AIやデータサイエンスに関するリテラシーを学んだ後、実践にスライド可能です。

参考:Quest実践形式で学ぶAI/データサイエンス

データラーニングスクール コーチングプラン

株式会社データラーニングが運営するデータサイエンススクールです。

「実務力が身につく」をコンセプトとしており、基礎から応用までデータサイエンスのノウハウはもちろん、プロによる転職サポートも受けられます。

完全オンライン完結なので学校に通う時間のない人にもおすすめです。また、実践教育訓練給付金の対象講座なので、助成を受けながら学習できます。

参考:Data Learning School

まとめ

リスキリングによるデータサイエンティスト育成は、企業にとっても従業員にとってもメリットが多いです。

数学や統計学、プログラミング、ビジネススキルなどさまざまな能力が求められますが、習得することで年収アップが期待できるでしょう。

専門実践教育訓練給付金を活用すれば、最大70%の助成を受けながらデータサイエンスを学習可能です。

ぜひ本記事の内容を、ご自身のデータサイエンス学習あるいは、自社の従業員に対するリスキリングにお役立てください。

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