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AIで無くなる仕事と無くならない仕事12選

AIで無くなる仕事と無くならない仕事12選

AI技術の発展により、自動運転や生成AIなど日常生活の中にもAIが活用されるようになりました。AIがさまざまな場面で活用されるにつれ、AIに取って代わられる仕事が出てくると言われています。

2015年、野村総合研究所は日本の労働人口の約49%が10~20年後にはAIによって代替される可能性の高い仕事に就いていると発表しました。この発表を受け、自分の仕事がAIに奪われてしまうのではないかと不安に感じている方もいるでしょう。

出典:野村総合研究所

本記事では、AIの普及で無くなる可能性の高い仕事とAIが普及しても無くなりにくい仕事の特徴や具体例を解説します。AIに代替されないないスキルを身に着けたい方は、ぜひ参考にしてください。

AIの普及により雇用が受ける影響

総務省の調査によるとAIの普及による雇用への影響について、有識者の見解は下記の内容となりました。

  • 少子高齢化の進展に伴う労働力共有の減少を補完できる
  • 業務効率・生産性が高まり、労働時間の短縮に繋がる
  • 新しい市場が創出され、雇用機会が増大する
  • 万能ではなく、人工知能(AI)が解決できることは限定的である
  • 人工知能(AI)の利活用に適した業務とそうでない業務がある
出典:総務省 人工知能(AI)の進化が雇用等に与える影響 第3節)

有識者の見解は、労働力不足の解消や労働の効率化、雇用機会の増大など肯定的な回答が多く出されました。また、業務によってはAIの活用に適していない業務もあるという見解も出ています。

冒頭で触れた野村総合研究所の発表でも、代替される可能性の高い仕事は日本の労働人口の約49%となっています。やはり、仕事によってAIに取って代わられる仕事とそうでない仕事があることがわかります。では、次の項目からはAIの普及で無くなる仕事と無くならない仕事の特徴と具体例を解説していきます。

AIの普及で無くなる仕事例12選と特徴

AIの普及で無くなる仕事の特徴は、人間よりAIが得意な領域に関する仕事です。具体的には、ルーチンワークやデータの集約・分析・管理が該当します。これらの作業はAIの方が短時間でミスなく実行可能です。

ヒューマンエラーの解消や人材不足の解消、コスト削減など、AIの導入によって得られるメリットはたくさんあります。よってAIの導入によるメリットが大きい仕事は、AIの普及で無くなる仕事とも言えるでしょう。では、AIの普及で無くなる可能性の高い仕事を具体的な職業を挙げて紹介します。

一般事務職

一般事務の仕事はデータ入力やパソコンを使っての書類作成など、ルーチンワークがほとんどです。これらの業務はAIが得意とする分野であり、AIを導入することで入力ミスなどのヒューマンエラーも防げるため、AI導入のメリットが大きいと言えます。

アプリやクラウドサービスでデータの自動入力や書類の自動作成など、一般事務の業務は既にAIが実用化している業務もあります。今後さらに性能のよいツールが登場することで、業務のほとんどが効率化・自動化される可能性が高く、職業として無くなる可能性も高いでしょう。

電車の運転士

電車はレールの上の決められたルートを走行するため、他の乗り物に比べ自動運転が導入されやすいとされています。運転士の仕事は重労働であり人材不足も深刻なため、AI導入のメリットが大きい職業です。

近年、JRをはじめ全国の私鉄各社で自動運転のテスト走行が行われています。また、ゆりかもめや神戸新交通ポートライナーのように既に無人運転で稼働している電車もあります。技術発展にともない、走行する電車に運転士がいないことが当たり前になるかもしれません。

スーパー・コンビニの店員

スーパーやコンビニの店員もAIの普及で無くなる可能性が高い職業です。実際に、スーパーやコンビニではセルフレジが既に普及しており、コンビニの無人店舗の実証実験も行われています。

また、24時間営業のコンビニでは人材確保に難航しているケースも多く、AIを導入することで人材不足の解消にもつながります。レジ打ちや品出しなどの単純作業はAIの適性が高いため、スーパーやコンビニの業務はAIの導入メリットが大きい仕事と言えます。

銀行員

銀行員の業務は窓口事務、後方事務、金融商品の提案、融資相談などがあります。これらの業務のうち、窓口事務や後方事務の業務は申請書類の確認や入出金の確認、専用端末への入力などある程度決められた内容かつミスが許されない業務です。

ミスなくチェックすることはAIの得意分野です。金融機関というミスの許されない職業では、このAIの特性が十分発揮されます。よって銀行員の業務のうち、確認や入力作業は今後AIが導入される可能性が高いでしょう。

警備員

監視カメラや警備システムにAI技術が活用されることで、警備員の需要は減少していく可能性が高いです。セコムでは「バーチャル警備システム」という、AIを搭載した3Dモデルのバーチャル警備員が既に実用化されています。

AIを導入すると、警備員は緊急時のみ対応するなど人員配置の効率化も可能です。さらに警備員の人員管理や人材不足も解消されて導入のメリットが大きいことから、AIの導入が拡大していくと予想されます。

ライター

ChatGPTをはじめとする文章作成AIの発展により、ライターの仕事はAIに取って代わられると言われています。2024年5月にはChatGPTの最新モデルである「GPT-4o」が登場し、注目を集めています。

AIは膨大なデータの中から特定のデータを抽出したり、文章のパターンを学習して定型文を作成したりすることが得意です。この特性を活用して、調べものや文章のひな型の作成、SEO対策などの効率化が可能になり、AI導入のメリットは高いでしょう。現時点では情報の正誤の確認や著作権の問題など課題はありますが、AIの性能の向上によりAIが普及していく仕事と言えます。

通関士

通関士は輸出入する荷物の申告などを行う仕事です。通関士は国家資格でありながら、AIの普及で無くなる可能性が高い仕事と言われています。

通関士の業務である通関書類の作成はミスの許されない重要書類であるため、ヒューマンエラーのないAIの導入はメリットがあります。しかし通関書類は専門性が高く複雑な内容であるため、限定的な導入である可能性も高いでしょう。

会計監査人

会計監査人の仕事は、財務諸表など企業の会計に関する書類を監査し、不備がないか確認することです。会計監査人は監査法人または公認会計士でならないという資格要件があるものの、AIに代替される可能性のある仕事です。

理由としては、膨大なデータのチェックおよび分析はAIの得意分野であり、チェック漏れなどのヒューマンエラーが起こらないAIを導入するメリットが大きいためです。今後はチェック業務などにAIが導入され、最終チェックのみ会計監査人が実施するようになるかもしれません。

タクシー運転手

AIによる自動運転が発展すると、タクシー運転手の仕事の一部はAIが代替するようになるかもしれません。具体的には空港や駅からホテルなどのルートがある程度決まっている区間は自動運転が導入される可能性もあるでしょう。

タクシー運転手もまた、人材不足が深刻な職業です。人材不足の解決策としてAIが一部の業務に導入される可能性もあり得ます。将来的に運転手が乗車しているタクシーは、介護用タクシーのようなサポートが必要なケースに特化するなど分業が進んでいく可能性もあります。

ホテルの客室係・フロントマン

ホテルの客室係やフロントマンもAIの普及で無くなる可能性があると言われています。現在ではソフトバンクのPepperのように様々な接客ロボットが既に実用化されており、可能性としても高いでしょう。

宿泊施設であるホテルは24時間交代制で従業員を配置しており、労働人口が減少すると人材の確保が困難になると予想されます。ホテルにAIを導入することは、人材不足の解消や夜勤をAIに代替してもらうことで従業員の働き方の改善にもつながり、メリットは大きいと言えます。

コールセンター業務

コールセンター業務は既にAIが代替しているサービスも多数あります。ほかにも、チャットボットのような自動化されたテキストのやり取りも普及し、今後コールセンターのオペレーター業務は限定的になっていくと予想されます。

今後はセールスアポイントや予約受付など定型文のトークスクリプトで対応できる業務はAIが代替する可能性が高いです。一方、苦情対応のようなカスタマーサポート領域の業務は臨機応変な判断や顧客に寄り添った対応が必要です。コールセンター業務ではAIとオペレーターの分業が進むと考えられます。

薬剤師

薬剤師は国家資格ですが、一部の業務では既にAIの導入が進んでいます。例えば指示された薬を正確に調剤することや、患者の薬歴データの管理や薬の在庫管理など、正確性やデータ管理が求められる業務で活用されています。

上記の薬剤師業務はAIとの親和性が高く、今後もAIが普及していく可能性が高いです。しかし薬剤師の業務は患者の病状をヒアリングする業務もあり、AIの導入は限定的であると予想されます。

AIの普及で無くならない仕事例12選と特徴

AIの普及で無くならない仕事は、AIが不得意とする領域に関わる仕事です。具体的な特徴は下記のとおりです。

  • 臨機応変かつ柔軟な対応が求められる仕事
  • 感情に寄り添った人間ならではの対応が求められる仕事
  • 創意工夫が求められる仕事

また、AIエンジニアのようにAIの普及により需要が拡大する仕事も、無くならない仕事であると言えます。では、具体的な職業を紹介していきます。

ITエンジニア

ITエンジニアはAIをはじめとするプログラムの設計、構築を行う仕事です。また、プログラムの運用や保守も行うため、AIの普及により需要が拡大する仕事の代表例と言えます。

また経済産業省の調査では、現時点でIT人材が不足しており将来的にも不足傾向が続く見通しであるという見解が出ています。ITエンジニアはAIが普及してからも、依然として需要の高い仕事と言えるでしょう。

営業職

営業職はクライアントへの柔軟な対応が求められる仕事です。さらに、高度なコミュニケーション能力と判断力が求められることから、AIに代替される可能性が低いと言えます。しかし、営業支援や顧客管理のツールで既にAIが活用されており、AIの普及にともなって業務効率化も進むでしょう。

データサイエンティスト

データサイエンティストはAIを活用してデータ分析を行う仕事です。ITエンジニア同様、AIの普及により需要が拡大する仕事の代表例と言えます。

前述した経済産業省の調査でも、IT人材の不足は特にビッグデータの領域で顕著であると予想されています。よって、AIの普及とともに活躍の幅が広がる見込みです。

介護職

介護職の仕事は身体介助、バイタルチェックや見守り、対面によるコミュニケーション、介護記録の作成など業務が多岐にわたります。くわえて人を相手とする仕事であるため、どの業務も臨機応変な対応が必要です。よって、AIにより代替されにくい仕事と言えます。

しかし、介護者の負担が大きい身体介護をロボットがアシストしたり、介護記録や介護プランの作成をAIにより自動化したりなど、IT技術の活用は進んでいくと予想されます。

カウンセラー

カウンセラーは相談者の悩みをヒアリングして、相談者とともに悩みに向き合いながら解決策に導く仕事です。ヒアリング力や相談者の心に寄り添う共感力が求められます。ヒアリング力や共感力はAIが苦手とする領域です。よって、カウンセラーの仕事はAIが普及しても無くならないと言えます。

コンサルタント

コンサルタントの仕事はクライアントの課題をヒアリングし、解決策を提案して課題解決に導く仕事です。前述したカウンセラー同様、ヒアリング力が求められます。また、クライアントとの信頼関係を築くことも重要視されるため、AIに代替される可能性は低いでしょう。

教師

教師の仕事は授業だけでなく、個別の生徒指導や進路指導も必要です。生徒指導などはヒアリング力や共感力が求められるほか、生徒一人ひとりの個性や家庭環境が異なるため、AIには不向きだと言えます。さらに、生徒の主体性を育むといったような抽象的な業務も求められるため、AIが普及しても無くなることはないでしょう。

医師

医師の仕事は高度な専門知識と、患者とのコミュニケーションで信頼関係を築く力が求められます。病状の急変などで臨機応変な対応が必要な場面も多く、AIが苦手とする領域の業務が多いと言えます。カウンセラー同様、人間ならではの心に寄り添った対応が重視される仕事であるため、AIに代替される可能性は極めて低いと言えます。

看護師

看護師の仕事は医師や介護職、カウンセラー同様、臨機応変な対応と心に寄り添った対応が必要です。よって、AIが普及しても無くなる可能性は低いと言えます。しかし看護師の多岐にわたる業務のうち、AIによる画像診断や看護記録作成の自動化など、限定的にAIを活用する業務も出てくると予想されます。

保育士

保育士の仕事は教師同様、子ども一人ひとりに合わせた柔軟な対応が求められます。保育士は保育対象となる子どもが教師の場合より幼いこともあり、その傾向はさらに強まります。そのため、AIでは対応できない業務が多く、AIが普及しても無くなることはないでしょう。

プロスポーツ選手

プロスポーツ選手は、高い身体能力と技術によるスーパープレーで見る人に感動を与える仕事です。高いパフォーマンスはロボットでも実行可能ですが、人間が行うからこそ感動するものです。人間にしかできない感動を与えるプロスポーツ選手の仕事は、AIが代替できない仕事と言えます。

AI事業開発責任者

AIの開発に携わるAI事業開発責任者は、AIの需要拡大とともに需要が高まる仕事です。AI技術の進歩は著しく、一度開発してしまえばそれで完了というものではありません。バージョンアップや新システムの開発が必要で、AI開発に関わる開発者やエンジニアは常にキャッチアップが求められます。

繰り返しになりますが、経済産業省の調査ではAIを扱う人材が将来的に不足すると予想されています。AI開発の人材は現在でも需要が高いですが、今後もその動向は続く見通しです。

AIの普及により新たに生まれた仕事も

AIの普及により無くなる仕事があるいっぽうで、AIの普及により新たに生まれた仕事も存在します。具体的には、AIの開発や設計に関する仕事であるAIエンジニアやAI事業開発責任者が該当します。

他にもAIをツールとして活用する職業も新たに生まれると予想されます。既に現時点で、AIを活用した遺伝子研究を行うゲノム・ポートフォリオ・ディレクターのような新しい仕事が登場しています。現時点で名前がついていない職業も、数年後にはメジャーな仕事として世間に認知されている可能性もじゅうぶん考えられるでしょう。

これからのAI時代に備えてやるべきこと

AIの普及は、AIに仕事を奪われないために何をすべきか、どういったスキルを身につけるか、キャリアについて考えるよい機会であるとも言えるでしょう。例えばこれからのAI時代に備えて、下記のように行動してみてはいかがでしょうか。

  • AIをツールとして活用できるようAIやITの知識を身につける
  • AIに関する職業に就くためにプログラミングや機械学習を勉強する
  • コミュニケーション能力のような人間ならではのスキルを磨く

まとめ

今後、AIがますます普及していくことは確実です。AIの普及はやみくもに不安がることではなく、人材不足の解消や働き方の効率化といった人間にとってメリットをもたらします。またAIの普及によって新しい仕事が生まれ、新しい雇用も創出されます。

これからはAIをツールとして活用していく時代です。AIの普及で無くならない仕事のなかにも、一部業務でAIの導入が予想されます。AIを上手に活用するためにも、ITやAIに関するスキルを身につけることがおすすめです。

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