【入門編】Julia言語とは?概要やメリット・デメリットを解説
Juliaというプログラミング言語を知っていますか?Juliaは高速計算が可能なプログラミング言語で、近年では機械学習の分野でも注目を集めています。
本記事では、Juliaとはどのようなプログラミング言語なのかを解説します。また、似た言語であるPythonとの違いについても触れますので、Juliaの学習を検討している方は参考にしてください。
目次
プログラミング言語Julia(ジュリア)とは?概要を解説
まずプログラミング言語Juliaとはどういった言語なのか、開発の歴史やおおまかな特徴を紹介していきます。
マサチューセッツ工科大学の4人の開発者によって開発
Juliaは2009年にマサチューセッツ工科大学のJeff Bezanson、Stefan Karpinski、Alan Edelman、Viral B. Shahの4人によって開発が始められ、2012年にオープンソース化されました。開発者によると、JuliaはPythonやC言語などの既存言語のよいところを組み合わせた言語だと言われています。
統計処理、科学技術計算、機械学習に強い
Juliaの特徴は高速で処理実行が可能なところです。そのため、線形代数などの複雑な数学やビッグデータの解析を得意としており、統計処理や化学技術計算、機械学習に強い言語です。よって、データサイエンティストやAIエンジニアから注目されています。
学習の難易度が高く初心者向けではない
Juliaの学習難易度は他の言語に比べて高めです。プログラミング初心者が一番初めに学習するには難しいと言えるでしょう。
理由のひとつは、Julia特有の構文を覚える必要があることです。この構文については、Pythonなどの他の言語を学んだ経験があれば、似た部分もあるため取り組みやすいと言えます。
もうひとつの理由は、Juliaはアメリカで開発された比較的新しい言語であるため、日本語で学べる環境が少ないことです。Juliaを扱っているプログラミングスクールや教材は他の言語に比べて少ないのが現状です。
Juliaのメリット
Juliaを活用する場合、主なメリットは次の3つです。
- 無料で使えるオープンソース言語である
- シンプルな文法でコーディングが可能
- 外部連携可能で拡張性が高い
上記3つからわかるように、Juliaは使いやすさの観点でメリットが大きいと言えるでしょう。
では、順番に解説していきます。
無料で使えるオープンソース言語
Juliaはオープンソースの言語であり、誰でも無料で使用可能です。ソースコードはGitHubで公開されており、無料で利用できます。無料で手軽に学習が始められる点はメリットと言えるでしょう。
またJuliaは統計処理や科学技術計算に強いことが特徴です。Juliaを活用するとこれらの有料ソフトであるMATLABやMathematicaの購入が不要になり、コスト削減につながります。
シンプルな文法でコーディングが可能
Juliaは動的言語で文法がシンプルです。動的言語はC言語のような静的言語と異なり、型の宣言が不要です。よってコードが短く済み、シンプルな文法でコーディングが可能になります。静的言語は実行速度の速さが強みですが、JuliaはJust In Time(JIT)コンパイラを使用しているため、動的言語でありながら高速実行が可能です。
またJuliaは数値計算の構文も直感的でシンプルな書き方です。たとえば、数値と変数の掛け算を行う場合、掛け算記号の「*」を省略して「3x」と表記できるのです。
外部連携可能で拡張性が高い
Juliaは他言語の外部モジュールを呼び出せる外部連携ができ、拡張性に優れています。たとえば「PyCall」というパッケージを利用すると、Pythonを呼び出して並列処理が可能です。また「ccall」という組み込み関数を利用すると、C言語の関数を呼び出して最適化されたコードの高速実行もできます。
Juliaのデメリット
いっぽう、Juliaのデメリットは次の3つです。
- 歴史が浅く認知度が低い
- 情報が少ない
- 高頻度でアップデートされる
デメリットについてはJuliaが比較的新しい言語であるゆえのデメリットが見られます。 では、デメリットについても順番に解説していきます。
歴史が浅く認知度が低い
Juliaはオープンソース化が2012年と新しく、認知度がまだ低いことがデメリットと言えます。認知度が低いとJuliaを扱う案件も当然少なくなります。使用できるプログラミング言語がJuliaだけの場合は、現状では案件獲得に苦労するかもしれません。
しかし、Juliaは機械学習に強みがある言語です。今後拡大が見込まれるAI分野で需要が急増する可能性もじゅうぶん考えられます。
情報が少ない
繰り返しになりますが、Juliaは比較的新しいプログラミング言語です。さらにアメリカで開発された言語であるため、日本語での情報や体系的に学べるスクールが少ないのが現状です。
しかし、英語での情報であれば公式のコミュニティや公式のSlackで情報発信がされています。プログラミング学習者の増加に伴って日本でのJuliaの認知度が高まれば、日本語の情報も増えてくるかもしれません。
高頻度でアップデートされる
Juliaは新しいプログラミング言語であるため、新機能の追加やバグの修正などでアップデートの頻度が高い傾向にあります。アップデートが行われると、仕様変更により使い勝手も変わる可能性があります。さらに既存のコードが壊れてしまい、修正対応が必要な場合もあるかもしれません。アップデートにより、開発者にとって追加の作業が発生する点でデメリットと言えるでしょう。
JuliaとPythonの違い
Juliaと似たプログラミング言語にPythonがあります。両方とも機械学習に強い言語であり、AI分野の需要が増えている昨今、注目されています。JuliaとPythonのどちらを学ぶべきか迷っている人も多いのではないでしょうか。では、JuliaとPythonを比較してそれぞれの違いを見ていきましょう。
実行速度
実行速度はJuliaの方が速く、Pythonの30倍の速度であると言われています。実行速度の速さはJuliaの強みです。比較的実行速度の速い言語であるC言語と比べても、Juliaの実行速度の方が優れています。Juliaの実行速度の速さは、Just In Time(JIT)コンパイラによるものです。JITコンパイラは実行時にコードを効率的なマシンコードに変換できるため、このような高速実行が可能です。
ライブラリの種類
ライブラリの種類はPythonの方が豊富です。後発の言語であるJuliaはライブラリが少なく、画像を扱うJuliaImagesなど限定的なものしかないのが現状です。一方でPythonはDjangoやFlaskのようなWebアプリケーション開発に使用されるライブラリもあり、強みであるデータ分析以外のライブラリも豊富です。
外部連携
外部連携機能はJuliaの方が優れています。Juliaはライブラリが少ないぶん、外部連携による拡張が可能です。Juliaはライブラリの少なさを外部連携で補っていると言ってもよいでしょう。たとえば、JuliaでPythonのライブラリを直接呼び出せます。また、C言語やFortranなどのライブラリと外部連携もできます。
Juliaのインストール方法
Juliaのインストール方法は難しいものではありません。Juliaは下記の手順でインストールが可能です。
Juliaの公式サイトを開きます。
パソコンのOSに合わせたインストーラをダウンロードします。
インストーラを実行します。なお、インストーラが実行されるとファイルの作成場所を問われます。任意の場所を指定するか、「Next」を選んでスキップすることもできます。
(画像1:画像はCドライブ直下に作成した例)
次の画面で「Add Julia to PATH」にチェックを入れます。ここにチェックを入れると、あとからPATHを通す必要がないため、チェックを入れることをおすすめします。(画像2)