データサイエンティストのキャリアパスやキャリアプランを解説
データサイエンティストのキャリアパスやそれぞれの職種に求められるスキルはどのようなものがあるのでしょうか。
本記事では、データサイエンティストのキャリアパスを考えるための基礎知識や、キャリアの方向性について解説します。
目次
データサイエンティストのキャリアパスを考える前に
データサイエンティストは、ビッグデータや機械学習を活用して、ビジネスや社会に価値を提供する専門家です。キャリアを追求する前に、業務内容や必要なスキル・経験などについて理解しておくことが大切です。ここでは、データサイエンティストのキャリアパスを考えるために必要な基礎知識について、ご紹介します。
データサイエンティストの業務内容
データサイエンティストは、まず、ビジネス上の課題や目的に合わせて、必要なデータを選定し、収集することから始めます。その後、分析の目的や手法を明確にし、仮説を立てます。そして、収集したデータを整理し、統計や機械学習などの技術で分析・解析を実施後、データから課題や目的に沿った意味・価値を見つけ出し、仮説の検証や結論・提案の作成を行います。最後に、分析結果や提案をレポートやプレゼンテーションで伝え、ビジネスへの貢献度を説明するのが主な業務内容です。
データサイエンティストに必要なスキルや経験
データサイエンティストは、PythonやRなどの言語を使ってデータを収集・加工・分析しなければならないため、プログラミングのスキルが必要です。加えて、データを分析するための統計学や数学の基礎知識が求められます。具体的には、確率や推測統計、線形代数、微分積分学などを活用し、データの傾向やパターンを見つけたり、仮説の検証や予測モデルを作ったりします。
そして、これらのスキルは一朝一夕で身につくものではありません。そのため、データサイエンティストとして活躍するためには、ある程度現場で実務経験を積む必要があります。エンジニアやマーケター、アナリストなど、データを扱う職種で経験を積んでから転職をすることが一般的です。また、専門学部のある大学や専門学校で、プログラミングや統計学、数学などの基礎的な知識や技術を身につけながら、インターンシップやアルバイトとしてデータサイエンスに関わる仕事を経験してから、就職するという手もあります。
データサイエンティストの求人動向
データサイエンティストは、ビッグデータに対応するための重要な職種として、企業の業務に定着しています。求人情報を業界別に分類すると、システムインテグレーター(SI)業界が最多で、次いでインターネット業界、情報サービス業界が続きます。そして、業界ごとに求められているスキルが異なるのが特徴的です。例えば、自動車業界や半導体・電子部品業界では、画像認識技術などの最先端IT技術が求められ、アイデアや技術の実現可否を検証します。一方、小売業界や監査・税理士法人業界では、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールの使用経験が求められており、データの可視化や分析が業務の中心です。
データサイエンティストのキャリアパス
データサイエンティストは、高い専門性とビジネス力を持ち、多くの分野で活躍できる人材です。データを通じて問題を解決し、意思決定をサポートする役割を果たします。企業から重宝される存在であり、キャリアパスは多岐にわたります。ここでは、データサイエンティストのキャリアパスについてご紹介します。
シニアデータサイエンティスト
シニアデータサイエンティストとは、データサイエンティストの中でも高いレベルのスキルと経験を持ったプロフェッショナルのことです。データサイエンティストとしての実務経験を積み重ねることで、シニアデータサイエンティストへのキャリアパスが開けます。より高度なデータサイエンスの分野に特化し、業界に関する深い専門知識を有す人材が就ける職種です。例えば、医療、金融、エネルギーなどの分野で活躍することが多いでしょう。社内のデータサイエンティストチームをリードしたり、そのマネジメントを行ったりするため、リーダーシップやコミュニケーションスキルを磨いておくことも重要です。
AIエンジニア
Iエンジニアとは、人工知能(AI)の技術を開発・適用するエンジニアのことです。AIエンジニアは、機械学習やディープラーニングなどのAI技術を使って、さまざまな問題を解決するシステムやサービスを作ります。例えば、画像認識、音声認識、自然言語処理などです。AIエンジニアとデータサイエンティストは、共通する知識やスキルが多いため、キャリアアップを考える職種としておすすめです。機械学習やディープラーニング、データベース(SQLやNoSQLなど)といったデータサイエンティストで培ったスキルは、AIエンジニアでも役立ちます。
グロースハッカー
グロースハッカーとは、データ分析やマーケティングなどのスキルを使って、プロダクトやサービスの成長を促進する人のことです。ユーザーのニーズや行動をデータで把握し、プロダクトの改善や施策の提案を行います。グロースハッカーとして活躍するためには、データ分析だけでなく、マーケティングの手法や戦略にも精通している必要があります。Webマーケティングの基礎、SEOやSNSなどの各種チャネルの活用方法を学んでおきましょう。グロースハックに関心のある企業やチームに参加したりして、実践的な経験を積むことも重要となります。
プロジェクトマネージャー
データサイエンティストの上級職として、プロジェクトマネージャーにキャリアアップするという選択肢もあります。プロジェクトマネージャーとは、プロジェクトの全体を指揮・管理する人のことです。プロジェクトの予算やスケジュールの策定、プロジェクトチームの編成や問題への対処などが主な仕事です。データサイエンティストとして一定の実務経験とスキルを積むことで、プロジェクトマネージャーへの道が開きます。データサイエンス力(統計学や機械学習などの専門知識)やデータエンジニアリング力(データ分析環境を構築・運用)などの知識や経験は、プロジェクトマネージャーにキャリアアップしても活かせます。
ITコンサルタント
ITコンサルタントとは、クライアントのIT戦略に関するコンサルティング、事業課題の分析、ITシステムによるソリューションの提案などをおこなう専門家です。ITコンサルタントの仕事は、クライアントのビジネスや組織をITの観点から最適化することにあります。例えば、システム設計・問題解決のための提案などです。データサイエンティストとして培ったデータ分析や機械学習などのスキルは、ITコンサルタントが問題解決に必要なデータを収集・処理・活用するために有用です。
経営コンサルタント
経営コンサルタントとは、クライアント企業の経営課題を特定し、戦略の提案や実行サポートなどをおこなう専門家です。必要なスキルには、論理的思考やプレゼンテーション、マネジメント・コミュニケーション能力などがあります。経営コンサルタントにキャリアアップするためには、データサイエンティストとして実務経験を積み、プロジェクトの企画・提案やマネジメントができるようになることが必要です。また、経営戦略やマーケティングなどのビジネス全般に関する知識も重要となります。
独立してフリーランス
データサイエンティストのキャリアパスを検討する際は、フリーランスとして独立することも視野に入れてみてください。データサイエンティストが独立するためには、副業案件から始める方法があります。本業の合間に副業案件に応募をして仕事をすることで、スキルや実績を積み、フリーランスとしての信頼を得ていきます。フリーランスとして働くならば、自分で案件を探す必要がありますし、積極的に営業をすることも重要です。ブログやSNSで自分のスキルや実績を発信しているフリーランスも多くいます。データサイエンティストのフリーランスは需要が高いですが、競争も激しいため、常に最新の技術や知識を学び続けることが必要です。
データサイエンティストの将来性
デジタル技術の急速な進化により、膨大なデータが日々生成されています。分析したデータを活用したいと希望する企業は多く、データサイエンティストはビジネスにおいてなくてはならない存在だと言えるでしょう。ここでは、データサイエンティストの将来性について掘り下げてご紹介します。
AIに代替されにくいため将来的なニーズは高い
ビッグデータを活用し、マーケティングや業務改善に取り組む企業が増えていることから、データサイエンティストは常に求められている状態だと言えます。そしてその需要は、国内だけでなく世界的にも高まっています。AI技術の発展により、データサイエンティストの仕事がなくなる可能性も危惧されていますが、データ分析には複雑な作業が多く、AIが完全に代替するのは難しいとされています。むしろ、AI技術が発展していくことによって、データサイエンティストの需要はさらに増え続けるという意見もあるようです。そのため、データサイエンティストの将来性は非常に明るいと言えるでしょう。
日本国内では人材を育てるフェーズ
日本ではデータサイエンティストが不足しているため、優秀な人材を育てるために、さまざまな施策が行われています。例えば、経済産業省は「AI Quest」というAI・データサイエンス人材育成事業を実施。企業の課題とそれに関連するデータを用いた実践的な学習プログラムを提供しています。また、文部科学省は「数理・データサイエンス・AI教育」の全国展開を推進しています。あらゆる分野においてデータを活用できる人材を育成するために、各大学での新たな学部やプログラムの開設を奨励しています。
まとめ
データサイエンティストは、データ活用の領域において幅広い業務を担当する職種で、キャリアアップの方向性はさまざまです。自分の興味や得意分野に応じて、あらゆる業界や企業で活躍することができ、専門性の高い高度な職種に転職することも可能です。自分のキャリア目標に合わせて、必要なスキルや経験を積んでいくことが大切です。
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