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SAPエンジニアとは?仕事内容や必要スキル、将来性について完全解説!

企業の意思決定の円滑化や業務効率の向上を目的に、ERP製品の導入が叫ばれている中、SAP SE社が提供するERP製品「SAP」が日本国内でも広まりを見せています。世界的に利用されているSAPですが、その広まりとともにSAPの専門家である「SAPエンジニア」の需要も急速に高まりつつあります。そこで今回は、「SAPエンジニア」について詳しく見ていきたいと思います。その仕事内容や年収事情、将来性などについて解説していきますので、SAPエンジニアに興味がある人はぜひ参考にしてみてください。

SAPエンジニアとは?

そもそも「SAP」とは、ヨーロッパ最大級のソフトウェア会社と言われているドイツのSAP SE社が開発・提供しているERP(Enterprise Resource Planning)製品のことを言います。ERPとは日本語では基幹業務システム、統合基幹システムを意味しており、企業が自社の基幹情報を統合的に管理することを目的として開発された製品となります。ERP製品を用いることで、企業は意思決定をより円滑に行えるようになると言われています。

SAPでは「SAP ERP」や「SAP S4/HANA」、「SAP Business One」といったERPパッケージを中心に、「SAP CRM」、「SAP SCM」などといった法人向けのシステムパッケージソフトウェアを提供しています。国や業界を問わず幅広く導入できる点が最大の特徴と言われており、実際に日本国内でもSAPを採用する企業が数多く存在します。

一方で、初期導入や法改正への対応などについては難易度が非常に高いという点がデメリットとして挙げられます。SAPエンジニアは、SAP製品の専門家としてSAPシステムの導入や設定作業、カスタマイズや運用保守を支援するという役割を持っているのです。

SAPエンジニアの仕事内容

それでは、SAPエンジニアがどのような仕事を行っているのか、具体的に見ていきましょう。

パラメータ設定

SAP製品はサーバーにインストールしたらすぐに使えるようになるわけではありません。何故ならば、ERPを始めとした基幹システムは企業に合わせて様々な設定を行う必要があるからです。この時に行う設定を「パラメータ設定」と呼びます。企業や人によっては「カスタマイズ」「コンフィグレーション」という呼び方をする人もいますが、意味合いは同じと考えてよいでしょう。

SAPは国や業界を問わず利用できますが、その分設定項目も非常に多くなります。会社の住所情報、使用する言語といった基本的な設定に加えて、勘定科目や使用する通貨といった会計に関する設定、プラント(工場)や倉庫といったロジスティクスに関する設定、各画面の構成などの表示部分に関する設定などが存在します。また、これらの設定を企業の要件に合わせて適切に行わなければなりませんので、未経験者が簡単に取り扱えるような作業ではありません。特に、SAPのパラメータ設定は手順やコツについて把握が必要です。

そのため、専門知識を持ったSAPエンジニアが企業の要望に合わせてパラメータを設定していきます。顧客によっては、設定がきちんとできたかどうかを確認するテスト運用もSAPエンジニアに任せてしまうケースもあります。SAPエンジニアはSAPに関する知識だけではなく、顧客の業務フローについても把握しておかなければなりません。

アドオン開発

SAP製品は、必ずしも標準仕様のみで企業の求める業務要件を満たせるとは限りません。理想的なのはSAPの導入をきっかけとして、SAPの使用を前提とした業務フローへと業務改善を行うことですが、業務フローの変更は従業員にとって大きな影響を及ぼしますし、業務フローの変更が難しいケースも少なからず存在します。そのため、SAP標準の仕様だけでは実現ができない機能については、導入企業に合わせた独自の拡張プログラムを用意する必要があります。この拡張プログラムを「アドオン」と呼びます。SAPに使用されているのは「ABAP」と呼ばれる独自のプログラミング言語です。アドオン開発もこのABAPを使用するため、SAPエンジニアはABAPによるコーディングスキルが求められます。

モジュールごとにSAPエンジニアが必要

SAP ERPやSAP S4/HANAといったERP製品は、各機能が「販売管理(SD)」や「在庫管理(MM)」、「会計管理(FI)」といった業務分野ごとにまとめられています。この業務分野ごとの機能のまとまりが「モジュール」です。SAP製品は設定項目や機能が多岐にわたるため、導入や運用保守の際には各モジュールごとに担当のSAPエンジニアを配置するのが基本となります。SDモジュールにはSD担当のSAPエンジニアが、FIモジュールにはFI担当のSAPエンジニアがそれぞれ配置されてチームを組み、導入や運用保守に当たるのです。複数のモジュールを横断するような設定やアドオン開発の際には、各モジュールを担当するエンジニア同士で意見交換や情報共有を行うこともあります。

SAPエンジニアに必要なスキル

以下では、SAPエンジニアに必要となるスキルについて解説します。

SAPに関する専門知識

SAPエンジニアはSAP製品を取り扱う関係上、SAP製品についての専門知識は必要不可欠です。SAP製品の操作方法や設定項目はもちろんのこと、機能の呼び出しに使われる「トランザクションコード」の把握や「マスタデータ」「伝票データ」などといったSAP製品の内部で取り扱われるデータの種類、システムランドスケープなどのアーキテクチャに関する知識を把握しておく必要があります。

自分が担当するモジュールについての知識はもちろん重要ですが、他のモジュールで何ができるかについてもある程度把握しておく必要があるでしょう。仮に自分のモジュールではできないと思われることでも、他のモジュールで可能となることがありますし、何より複数のモジュールが絡む機能を扱う場合には、関連するモジュールでその機能がどのように取り扱われているのか、どういったデータがモジュール間でやり取りされているのかといった事が重要となるからです。

プログラミング言語「ABAP」へのスキル

SAP製品で利用されているプログラミング言語が「ABAP」であることは先述したとおりです。アドオン開発の際にはABAPを使ってコーディングすることになりますから、ABAPに関する知識やコーディングスキルはしっかりとマスターしておく必要があるでしょう。また、標準機能を調査したり、SAPから配布される不具合修正の内容確認を行ったりする際にも、ABAPで書かれたソースコードを読む力が求められることがあります。

ABAPはCOBOLなどを元にして作られた構造化プログラミング言語ですが、オブジェクト指向を取り入れるなど時代に合わせた改良や拡張が続けられており、今もなお進化を続けています。構造化プログラミングに関する基本的な知識だけでなく、最新のプログラミング言語に要求される知識も必要となるため、「今のABAPではどんなことができるのか」という最新情報も確認し続けることが重要です。

業務内容を理解する力

各企業の業務内容を把握することは、SAP製品を取り扱う上では非常に重要です。クライアント企業がどのように業務を進めているのかをしっかりと理解することで、SAP製品を導入した際にどれだけの影響が出るのかを判断することが可能となります。導入済みの企業においても、「業務フローの中でどのようにSAP製品が利用されているのか」を把握することでスムーズな運用保守を行うことができますし、「顧客の要望はアドオン開発をしなければならない程のものなのか」の判断を下すためにも業務内容の把握は重要です。自分が担当するモジュールに関する業務知識は最低限備えておくようにしましょう。特に会計モジュール担当者の場合は、簿記3級程度の知識があると安心です。

SAPエンジニアの平均年収

SAPエンジニアの年収は人によってばらつきがあり、下は300万円、上は2000万円台と年収レンジがかなり広いため、一概に平均年収がいくらになると言い切ることは難しいです。年収は保有スキルや経験年数に応じて変わってくるため、自分が今何ができるか、どれくらいSAPエンジニアとして経験を積んできたかで判断すると良いでしょう。

例えば、SAPエンジニアとしてデビューしたてであれば平均年収は300万円~400万円となります。ここから経験を積み、主要モジュールの設定が一通りできる、もしくは簡単なABAPコーディングができるようになると平均年収が600万円前後、設定とコーディングが両方こなせるようになると平均年収が800万円前後と、段階ごとに年収もアップしていくでしょう。5年~10年の経験を積み、プロジェクトマネジメント能力も兼ね備えていれば、年収1000万円超えも夢ではありません。

SAPエンジニアの将来性

SAPエンジニアの将来性は安泰であると言えます。これまで説明したように、未経験者では取り扱いが難しいSAPの導入設定や運用作業において、専門家であるSAPエンジニアを求める企業は多くあります。しかしながら、SAPエンジニアそのものの人口はまだまだ少なく、SAPエンジニアの希少価値は高い状況が続いています。そのため、SAPエンジニアとしてのスキルと経験があるのであれば引く手あまただと言えるでしょう。

また、多くの企業で導入されているSAP ERP6.0のサポート期間が2027年で終了し、今後は後継バージョンとなるSAP S4/HANAへと移行することが必要となります。S4/HANAの導入企業は増えてきていますが、サポート期間終了までのS4/HANA移行のため、SAPエンジニアの需要は増加していくこととなるでしょう。S4/HANA移行後も、運用保守のために引き続きSAPエンジニアが求められることに変わりはなく、長い目で見てもニーズのある職種だと言えるでしょう。

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