Webコンサルタントとは?なるには?仕事内容・スキル・年収・将来性
Web戦略の立案や集客、サイト改善、リピート向上など施策実行の支援をおこなう職業が「Webコンサルタント」です。業界のなかでも上位に位置する職種のため、デザイナーやエンジニア、セールスなどの立場で働く方でコンサルタントへのキャリアアップを志す方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Webコンサルタントの仕事内容やスキルセット、年収・給料などをわかりやすく解説します。需要や将来性についてもみてきましょう。
目次
Webコンサルタントとは
クライアントの事業に貢献するためWebにまつわるコンサルティングや施策実行のサポートを行うプロが「Webコンサルタント」です。市場調査をして経営状況や事業環境を整理することから始まり、Web戦略やマーケティング施策の立案、サイトの課題や問題箇所の指摘、制作・開発に関するアドバイス、業務フローの改善や社員教育など業務範囲は多岐にわたります。
情報収集やコミュニケーション、買い物、娯楽など日常生活のありとあらゆる場面でインターネットが利用されるようになり、Webサイトはもちろんソーシャルメディア、スマホアプリ、メールといった顧客接点はビジネスを展開するうえでもはや無視できない存在といえるでしょう。ネット広告やYouTube動画を駆使することで商品・サービスの認知を向上できますし、リアルの店舗を持たずオンラインのみで営業をおこなうような企業も増えています。
一方で、体系的なノウハウを持ったWeb担当者が社内に存在せず、まだまだ効果的な活用が出来ていないという企業も多いのです。そのような会社にとって、Webコンサルタントは頼れる外部のアドバイザーともいえる存在です。
Webコンサルティングとは
Webコンサルティングとは、ノウハウや知識の提供を通じてクライアントのWeb活用を推進する業務を指します。依頼内容や予算、サイト規模などによって内容に幅があり、全体の戦略や特定領域に関しての助言を中心とした依頼を受けることもあれば、制作や開発、運用など実行部分をサポートすることもあります。
適切なコンサルティングを実施するには、クライアントのビジネスを深く理解する必要があります。ユーザーの特性、保有するコンテンツ、競合他社の動向、過去に実施した施策、原価や利益率、強みや弱みなどを把握した上で、現状の事業や運営方法にどのような問題があるのかを確認します。
アクセス解析や顧客情報など定量的なデータの分析も重要です。原因と結果の因果関係を考察したうえで、仮説を立て解決策を提案します。事業のフェーズや予算によっても取るべき手段は異なりますし、メディアやコンテンツで想定されるユーザーによっても訴求内容を変えなければなりません。そのように、俯瞰的な視点からさまざまな施策を取捨選択して効果的に活用することで、売上アップや成果向上に貢献するのです。
Webコンサルタントの仕事内容
ここでは、Webコンサルタントの仕事内容について紹介します。コンサルタントの主な役割は、クライアントが抱える課題を解決し、ビジネスを成功に導くことです。それを実現するために、Webコンサルティングにおいても事前の調査や準備は欠かせません。第三者的な立場から客観的な視点でクライアントの商材や業種・業界の構造を見極め、Web戦略や施策へと落とし込んでいきます。新規にサイトを構築したり、システムを開発したりする際のアドバイスだけでなく、既存サイトのリニューアルやテコ入れなどの運用改善を担当することもあります。
また、Webに関する施策は多様化しており、対象となるジャンルを具体的に挙げれば多岐にわたります。「SEO(検索エンジン最適化)」「コンテンツマーケティング」「アプリマーケティング」「インフルエンサーマーケティング」「SMM(ソーシャルメディアマーケティング)」などが代表的ですが、そのような1分野に特化したコンサルティングをおこなう会社も増えています。
そして、昨今ではデジタルマーケティングの概念が普及し「CRM(顧客関係管理)」「SFA(営業支援システム)」「MA(マーケティングオートメーション)」といったツール導入のニーズも増えており、Webコンサルタントの所属する会社がシステムや開発寄りの制作会社なのか、クリエイティブやマーケティング寄りのエージェンシーなのか、コンサルティングファームなのか、によっても仕事内容が異なる傾向があります。
とはいえ、Webコンサルタントが関わる領域を挙げるとすれば、「戦略立案」、「サイト改善」、「集客」の3つがあります。以下で詳しい内容をみていきましょう。
戦略立案
Webコンサルティングと聞いて最もイメージしやすい仕事が、戦略立案かもしれません。まず、クライアントや業界関係者へのヒアリングやユーザーインタビュー、アンケートなど各種調査を行い、あるべき姿と比べて現状では何が足りず、どのような事業成長のイメージを描けばよいかを把握します。そして、事業成長を実現するためにはどんな手段が最適かを導き出し、具体的なWeb戦略のプランを作成します。社外の第三者目線で市場全体を俯瞰的に見ることができるのは、外部人材であるコンサルタントだからこその利点です。
戦略を立てた後は、サイトの制作や改善、広告やSEOでの集客、顧客管理やメルマガでのリピート向上など、具体的な施策を組み合わせて、実行計画を策定します。
ユーザーニーズや社会情勢、競合の強みまで分析した上で、クライアントの強みや価値を改めて整理することにより、社内では気付かなかった新たな差別化のポイントや、勝ちにいける市場が見つかる可能性があります。経営視点での経験や知識が必要で、難易度も高く、ビジネスに与える影響が大きいため、経営者や事業責任者レベルとの交渉が多くなる仕事です。
サイト改善
Webサイトの改善では、クライアントのサイトを診断して、問題点を把握したうえで、目的をより効率的に達成するためのアドバイスをおこないます。まず必要なのは目標値や指標を設定することです。KGIやKPIが定められておらず、データが取得できていない場合は、Google Analyticsなどのアクセス解析ツールを導入し、指標を定点観測するところからスタートします。
サイトの目的がブランディングや認知向上であればPV(ページビュー)数、会員登録や資料請求、お問い合わせなどが目的であればコンバージョン数、販売や予約などのECサイトではROAS、といった指標を用いることが一般的です。
それらの数値を確認して、目標値や標準的な値と比較することで、サイト上で改善すべきポイントを把握することができます。定量的なデータの他、ヒートマップやユーザーテストのような定性的なデータを活用する場合もあります。ユーザーが最初に到達するページをLP(ランディングページ)とよび、このランディングページからのCVR(コンバージョン率)を向上する取り組みが「LPO(ランディングページ最適化)」や「EFO(エントリーフォーム最適化)」と呼ばれる施策です。
集客
Webを活用して売れる仕組みを作ることを「Webマーケティング」と呼びますが、広告代理店のような業務内容でサイトへの「集客」を中心としたコンサルティングをおこなうこともあります。リスティング広告(検索連動型広告)やディスプレイ広告、アフィリエイトなどのネット広告を駆使してサイトの流入数を増やしたり、SEOやコンテンツマーケティング、SNS運用などからファンを獲得したりといった取り組みです。多くの人にクライアントのWebサイトを閲覧してもらうことで、商品やサービスの情報を届けることが目的です。
Web集客では、適切なメディアに広告を配信するためのプランニングが重要です。その点で広告の知識や経験がいきるでしょう。可能性のある媒体を洗い出して、目標を達成するために必要な施策を立案します。
SNSで公式アカウントを運営する場合は、単にフォロワーやいいね数を指標にするのではなく、利用者になりえる顧客層やファン層にリーチできているかも確認しましょう。投稿後に振り返りをおこない、効果的な内容や投稿時間を計算し、費用対効果の分析をするなどPDCAを回すことも必要です。
Webコンサルタントに必要なスキル
Webコンサルタントには、課題を発見し、解決策を提案するためのリサーチ力や論理的思考能力、経営や財務指標を読み解くための基礎的なビジネス知識を始め、コミュニケーション、プレゼンテーション、マーケティングなど幅広い知識が必要です。また、仕事でカバーする内容も多岐にわたり、エンジニアやデザイナーと協力する機会も多く、テクノロジーの進歩やトレンドの変化も速い業界のため、新しい物が好き・流行に敏感という人が向いています。
そんなWebコンサルティングの現場で必要なスキルセットについて、以下で詳しくみていきましょう。
課題発見と解決
クライアントの課題を解決して、売上アップに繋げるためには、まず問題となっている弱点や今よりも強化することで成果を得られるポイントを発見し、解決策を考案するスキルが必要です。例えば、サイト上で成果を阻害している箇所を探す際には、アクセス解析や広告管理画面などからデータを取得して自身で分析できる必要があります。流入経路毎のコンバージョン率やヒートマップでWeb上のユーザーの動きを丹念に確認することで、仮説を立てることができますし、客単価やサイトの流入数について時系列で比較するなども有効です。
そのように改善対象となる箇所を見つけることができたら、次は解決方法の提案です。原因が会社内部に起因する場合もあれば、外部の市場環境の影響を受けていることもあるため、様々な可能性を考えに入れながら、施策を検討します。成果を出すためには、実行も担保しなければいけないため、クライアントの商材や予算に合わせた提案をおこなうスキルも必要です。
コミュニケーション能力
ほとんどのWebコンサルティングはクライアントワークとなり、発注者や依頼者が存在する仕事です。また、サイトの制作やシステム開発は外部の業者に発注することも多いでしょう。1人で完結する仕事ではありませんから、コミュニケーション能力は重要です。クライアントの要望や意図を適切にくみ取り、報酬金額の交渉や納期に関する要求などこちらからの意思表示も角が立たないようにおこなわなければなりません。この場合のコミュニケーション能力とは、単純に人と仲良くできるスキルのことではありません。プロジェクトを成功させるために、クライアント・自社のチーム・協力会社などと良好な関係を築くことが求められます。
Webコンサルタントとして活躍するには、ヒアリング能力と提案力が必須となります。クライアントがおこなうビジネスの情報や業務フロー、現在のサイト状況などについて深く把握できるほど、より適切な提案ができるでしょう。そのため、事業成長を実現するうえでの問題点や、「どのようなユーザーの課題を解決できるか」「他社と比較して優れている点はなにか」など戦略を組み立てるうえで、重要な情報を正確に引き出すヒアリング力が必要です。
さらに、相手の意見を正しく理解した上で、自分の考えを分かりやすく伝える力も大切です。クライアントとお互いの認識を理解し合って方向性を合わせたあとは、提案した施策を正確に実行してもらうため、ページの制作を行ってくれるライターやデザイナーに内容を正しく伝える必要があるからです。
リサーチ力
適切なコンサルティングを実施するためには、調査やリサーチのスキルも大事です。提案を行う上で、業界やターゲットについて詳しく知る必要がありますし、施策の効果や期待できる成果を見積もるためにもマーケット規模や市場規模に関する調査は欠かせません。また、Webを活用する以前に、その商材を必要とするユーザーが存在しない、ニーズや市場性がない、法律などの規制があり事業展開できない、など根本的な事情が存在するとそもそも売上を拡大することができないからです。
成果を生むWebサイトを作るためには、何よりもターゲットを知ることが重要です。クライアントの商品やサービスのターゲットとなる顧客のニーズや悩みを徹底的に調査して、解像度の高い提案をおこなうスキルが必要となります。また、リサーチを進めていくうえでは、業界や顧客の特性、商慣習などにも注意が必要です。
前提となる知識を仕入れていないと、問題点に気づけない、ニーズに合わない訴求をしてしまうなど、施策の立案がうまく行きません。素早く・正確に・幅広くリサーチできるスキルが大切です。
Webの幅広い知識
SEOやリスティング広告などのWebマーケティングに関する知識はもちろん、Web制作やUI/UXデザイン、システム、スマホアプリ、ページ改善や広告の分析を行うために有効なツールと使い方、InstagramやTwitterなどのSNSなど、Webやインターネットの動向に注意をして、幅広い知識を持つことが重要です。
ターゲットとなるユーザーに適した広告媒体やメディアを把握しておくと、クライアントへ効果的な広告作成やキャンペーン施策の立案に役立てるため、広告プラットフォームのアップデート情報は、定期的に確認する必要があります。
また、クライアント側からすると、自社の業界に関する知識量も依頼する際の重要な判断基準となりますから、過去の実績がない分野や業界でも、意欲的に情報を収集することが大切です。Web業界はトレンドの移り変わりが早いため、話題のニュースや流行っているアプリ、SNSのトレンドキーワード、多くシェアされている記事など、最新の情報に対しても、日ごろからアンテナを張っておきましょう。
Webコンサルタントの年収
Webコンサルタントの平均年収は500万円~800万円が相場と言われています。入社1年目で年収400万円以上稼ぐ人も多く、役職につくと年収600万円を超える人も珍しくありません。30代後半になると年収1,000万円を超える人も出始め、独立して1,500~2,000万以上稼ぐ人もいます。
国税庁が発表している「民間給与実態統計調査結果」によると、令和2年の給与所得者のボーナスを含めた平均給与は433万円であり、男性で最も多い年収は300万円超400万円以下(17.5%)、女性では100万円超200万円以下(同23.4%)です。
Webコンサルタントは平均給与に比べて高年収のため、たくさん稼ぎたい、年収UPしたいという人にもオススメの職業といえるでしょう。
Webコンサルタントのやりがい
Webコンサルタントという仕事の大きな魅力は、企業にとって最も大切な「売上」や「利益」、会社の根幹ともいえる成長戦略など経営に関わることができる点です。適切なWeb戦略を立案して、効果的なマーケティングを実施することで、従来の方法よりも費用を掛けず、素早く成果をあげることができます。
Webサイトやネット広告などに関わると、自分の仕事に対する結果が、売上高や会員登録数など数値で明確にわかるため、成果が出せたときはクライアントにも喜んでもらえますし、自身の実績にもなります。
なによりWebコンサルタントとして大きなやりがいは、自身のアイデアひとつでクライアントの事業を何倍にも成長できたときの達成感といえるでしょう。
Webコンサルタントになるには
Webコンサルタントになるためには、特別な資格は必要ありません。ただし、Webサイト制作や開発、運用に関する実務経験やビジネスの知識がないとプロジェクトを進行していくことは難しいでしょう。未経験からでも始められる仕事ですが、成果が出せなければ続けていくことが苦しくなります。
職歴がないままフリーランスのWebコンサルタントとして独立する場合もありますが、決して一般的ではありません。多くの人が、新卒採用や中途採用で制作会社や広告代理店、コンサル会社などに入社し、一定のキャリアを積んでから、社内異動や転職でWebコンサルタントになっています。以下でそれぞれのキャリアパスについて紹介します。
制作会社
制作会社やシステム開発の受託企業に入社してコンサルタントになるケースとしては、デザイナーやディレクターなどの職種で採用され実務で頭角を現したのちに、社内異動でコンサルタントへとキャリアチェンジするルートがあげられます。また、マーケティングや経営企画・事業企画といった職種から転職してWebコンサルタントとして入社することもあります。コンサルティング能力が自然と身につきやすい人材や金融などの無形商材を扱う営業職からの転向も少なくありません。
そもそもがWebに関わる仕事のため、普段の業務での経験がノウハウとして蓄積しやすく、ECサイトの運営を受託しているうちに、成約率を上げる方法論を見出した場合や、自身が開発者として立ち上げたWebサービスが成功を収め、PV(アクセス数)と収益を上げる方法を身につけた場合など、実例に基づくコンサルティングが特徴です。
広告代理店
広告代理店に在籍するWebコンサルタントも同様です。新卒入社後に、Webプロモーションのノウハウを身につけてから同じ会社内でキャリアチェンジすることもあれば、転職で最初からコンサルタントとして中途入社する場合もあります。
広告代理店では、Webに関する案件を総合的に担当することができ、営業やヒアリングなどのコミュニケーション能力を磨くことも可能です。提案書作成やプレゼンのスキルも高められ、人脈を広げることもできるでしょう。そのため、フリーランスのWebコンサルタントになる人は、広告代理店で活躍していた経験があるという場合も多いのです。
コンサル会社
経営や戦略、ITなどのコンサルティングを行う会社に入社して、Webを専門に担当するコンサルタントになるキャリアパスもあります。ビジネスにおけるデジタルの重要性が高まる中、クライアントの発展をサポートするために、アプリ開発やWeb制作の分野まで業務を広げるコンサル会社も増えているからです。ただし、プロジェクト内の核となる部分を下請けに任せている会社の場合は、社内でWebコンサルタント業務の経験を積むのは難しいかもしれません。
そのほか、コンサルティングファームでコンサル経験を積んでから、個人でWeb分野に転身する方法もあります。コンサルタントとして多くのプロジェクトを動かした経験、経営層や執行役員相手のやりとりにも慣れている強みが活かせるでしょう。
コンサル会社に所属して財務分析などの能力を磨いておくとWeb業界の常識にとらわれず、経営全体を見たアドバイスを行いやすいという利点もあります。さらに強みを活かすためには、デザインやディレクション、システム開発など、どんな実務でも構いませんので、Web業界の現場経験をしておくと良いでしょう。
Webコンサルタントの将来性
Web技術はすでに人々の生活になくてはならないものになっており、消費者へサービスを提供する法人企業にとってもオンラインを活用する意欲はどんどん高まっています。インターネット広告媒体費総額は年々増えていることからも、Webプロモーションの需要が成長していることがうかがえます。同時に、多くの企業がオンライン上の商売へと参入して競争が激しくなり、情報発信の方法も増えたため、Web施策の難易度が以前に比べ上がっているのも事実です。
売上アップやブランディングなどの成果を出すために、専門家が求められる場面が増えました。必ずしも社内にWebに詳しい人材がいる企業ばかりではありませんから、自社のWeb活用に関する助言や実行の支援をコンサルタントに依頼したいという企業はこれからも増え続けることが予想されます。
また、Webコンサルティングのノウハウは、国を越えて活用できるため、言語能力さえあれば、グローバルに活躍できる可能性があるでしょう。Webコンサルティングを通して鍛えた課題発見・解決力、コミュニケーション能力、リサーチ力、法令・制度などの知識や論理的な思考力などは、どんなビジネスや職種でも活かせる能力です。そのため、職業としても個人としても、Webコンサルタントの将来性はかなり高いといえるでしょう。
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