経営コンサルタントとは?なるには?仕事・スキル・年収・キャリアパス・将来性
企業の経営に関するアドバイスや各種提案を行う職業が「経営コンサルタント」です。給与が高くハードな働き方を求められるイメージですが、実態はどうなっているのでしょうか。
この記事では、経営コンサルタントの仕事内容やスキル、やりがい、年収・給料などをわかりやすく解説します。キャリアパスや将来性についてもみてきましょう。
目次
経営コンサルタントの仕事内容
経営コンサルタントは、わかりやすく言うと企業の経営状態を把握し、事業運営のアドバイスを行う仕事です。中期経営計画の策定や事業戦略の立案など経営の方針を提示するとともに、市場の動向や規制、財務状況などをまとめたレポートの作成など情報の提供も行います。
また、対処すべき課題を明確にしたうえで、組織変革の実行や業務プロセスの最適化を図ります。経営を支援するにあたり、スタッフの訓練や改善プログラムの開発など、一歩踏み込んだ課題解決策を実行することもあります。
経営コンサルタントのやりがい
経営コンサルタントのやりがいとして一番にあげられるのは、企業の経営に関わり、大きな課題を解決するという仕事への達成感です。幅広い分野で企業の経営陣と議論し、論理的思考をもとに策を練り、実現への道筋をつけるまでの過程は、他では得難い経験です。1つ1つのプロジェクトで貴重な経験を積め、自分自身の成長も感じられます。
また、経営コンサルタントはプロジェクトごとにチームを編成し、それぞれ役割分担をして業務を進めていきます。スペシャリストが切磋琢磨する刺激的な環境です。難しい課題を解決するために団結し、達成した時の充足感や、ハイレベルな人たちと一緒に仕事をすることがやりがいにつながることも多いでしょう。
経営コンサルタントのスキル
優秀な経営コンサルタントになるためには適性があり、特に次の3つのスキルが求められます。
分析と論理的思考
経営コンサルタントは、企業の財務状況や業務内容を分析し、抽出した課題に対して解決策を導き出さなければなりません。無数に存在する選択肢のなかから、最適な解決策を見つける作業となるため、さまざまな状況を考慮し、ロジカルに思考するスキルが必要です。
コンサルティングを行うにあたっては、日々その提案がベストであるのか的確に分析しなければなりません。クライアントに対して説明や報告を行う際は、根拠を示し、論理立てて説明する必要もあります。そのため、論理的な思考能力と分析力は、経営コンサルタントに必要不可欠なスキルです。
コミュニケーション力
クライアントや内部スタッフ、外部パートナーなどと適切な意思疎通をはかり、円滑なコミュニケーションをおこなえる能力も必要です。進捗報告やプレゼンテーションなどに使用するドキュメントの作成や納期、予算などの交渉も経営コンサルタントの仕事のひとつです。
普段から提案内容に納得してもらえるよう、わかりやすく説明する話術はもちろん、誠実な対応で依頼主から信頼を得ることも重要です。
また、同じプロジェクトのメンバーと意見を交換したり、助け合ったりして仕事を進めていくため、仲間と良好な関係を築ける協調性や人間力も必要です。
英語力
外資系のコンサルティングファームでは、海外の企業がクライアントであることもあります。また、日本人だけでなく様々な国のコンサルタントが同僚として働いているファームもあります。社内の共通言語を英語に定めているところもあるので、経営コンサルタントは英語力も求められると理解しておくとよいでしょう。
経営コンサルタントになってから英語を習得しようと思っても、仕事が忙しくて勉強する時間を確保するのは難しいので、コンサルタントへの就職・転職の前にマスターしておくのが理想です。
経営コンサルタントの年収
経営コンサルタントは、世間的に年収が高いイメージがあります。求人情報で募集されている経営コンサルタントの年収は、500万円台から700万円台が多くを占めます。日本人の平均年収は男女合わせて420万円という調査結果があるので、経営コンサルタントの年収は平均よりも高いということになります。また、年収800万円以上の経営コンサルタントも多く、大手ファームやプリンシパル、パートナーにまで出世すると、年収数千万円から数億円になることもあります。特に外資系や大手のコンサルティングファームは、若くても高い年収を得るチャンスがあります。
経営コンサルタントのキャリアパス
経営コンサルタントのキャリアパスは、コンサルティングファームにおいてはアナリストやジュニアアソシエイトなどの役職(階級)から始め、経験を積んだり実力を備えたりすることで、コンサルタントへと昇格します。その後は、同じファーム内でマネージャーやパートナーのポジションを得たり、他のファームや事業会社に転職したり、経営コンサルタントとして独立するなど、さまざまなキャリアゴールがあります。
アナリスト
アナリストは、新卒でコンサルティングファームに入社した時に得る最初のポジションです。アソシエイトやリサーチャーと呼ばれることもあります。会議の議事録作成やクライアントへのインタビュー、情報収集や分析、資料作成など地道な作業がメインの仕事です。
しかし、コンサルタントが課題解決のために必要な情報のリサーチ業務であると同時に、生の情報に触れることで得られるひらめきが重んじられ、チームミーティングでは意見が求められます。コンサルタントとしての実力をつけるために必要な業務でもあります。
コンサルタント
コンサルタントは課題を解決するための仮説の構築や検証など、コンサルティング実務のほとんどを担います。新卒から3~4年で移行するポジションです。問題解決の手段やスケジュールなど自分で決定するため、自己管理能力が求められる仕事です。
それだけでなく、チームメンバーやマネージャーと連携して仮説の補正をする業務もあり、個人の作業と共同作業のどちらも上手くこなすポテンシャルも必要です。
マネージャー
アナリストやコンサルタントは自分に振り分けられたタスクをこなすポジションですが、マネージャーはプロジェクト全体を俯瞰的にとらえ、取りまとめるのが仕事です。プロジェクトの管理、クライアントとの交渉、予算管理の3つが主な業務で、仕事や人材、資金などを管理する能力が求められます。
プロジェクトに携わるメンバーに仕事を割り振ったり、作業の進行状況を話し合ったり、プロジェクトを黒字にするための予算修正をしたりなど、数多くの業務をこなさねばなりません。
パートナー
パートナーは経営コンサルタントのキャリアゴールとして目指す人が多いポジションですが、狭き門であるため実現できる人は一握りです。顧客開拓、プロジェクト発注、コンサルティングファームの経営が主な仕事となります。プリンシパル、ディレクターなどのタイトルでも呼ばれます。
ファームのために長期経営戦略を立てたり、人材を育成したり、他のファームとの兼ね合いを模索したりなど、幅広い業務を行わねばなりませんがやりがいのあるポジションです。
最終的にはフリーランスとしての独立もあり
組織に属した上でコンサルタントとして活躍するのではなく、フリーランスとして独立するというのも選択肢の一つです。もともと専門的な知識が必要とされるコンサルタントはフリーランスとしても独立しやすい職種だと言われています。ワークライフバランスの取りやすさや、年収アップが実現しやすいと言った理由からフリーランスの経営コンサルタントとして活動を始める人は決して少なくはありません。
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経営コンサルタントになるには?
経営コンサルタントになるための国家資格はないため、理論上は自己申告で経営コンサルタントになることができます。しかし、知名度の高い企業をクライアントとして抱える大きなコンサルティングファームで働きたい場合、入社試験を通過する必要があります。
新卒であるなら経営コンサルタントとして大成できそうなポテンシャルがある、転職組なら業務経験やスキル、知識があるなどアピールポイントが必要です。また、経営コンサルタントの国家資格はないものの、持っていると就職・転職に役立つ資格はあります。
経営コンサルタントに向いている人
経営コンサルタントに向いている人の特徴は、大きく3つあげられます。
仕事が早い
経営コンサルタントがプロジェクトを任される期間は、3ヶ月から6ヶ月が一般的です。そのような短い期間でクライアントの経営課題を割り出し、解決策を導き出さねばならないため、経営コンサルタントは仕事の早い人が向いています。時間を有効活用し、スピーディに質の高い仕事をこなせることが必須です。単純作業は外部に発注するなど、段取り良く効率的に業務を処理することも求められます。
成長への意欲
さまざまな分野のクライアントから発注を受けるため、幅広い知識が求められます。得意ではない分野や未知の分野でも、知識や情報を吸収しようとする意欲的な人材が求められます。そのため、経営コンサルタントは成長への意欲が高く、休み返上で勉強に当てるぐらいの気骨がある人に向いています。そのようなポテンシャルがあると、プロジェクトごとに成長し、優秀な経営コンサルタントとしてのキャリアが築けます。
責任感が強い
クライアントに期待以上の成果をもたらすための努力が、経営コンサルタントには必要です。言われたことをやるのではなく、強い責任感を持ってプロジェクトを遂行しなければなりません。なので、プロフェッショナルとしての責任感が強い人に向いています。
経営コンサルタントに役立つ資格
経営コンサルタントは幅広い知識や経験が必要な職業であるため、深い目線でコンサルティングするために持っておいた方が良い資格があります。その中でも、経営コンサルタントに役立つ資格は、次の4つになります。
MBA
MBAは資格ではなく学位ですが、幅広い経営の知識があることを証明できるため経営コンサルタントとして就職・転職する時に有利です。ただし、MBAを取得した学校のレベルによって評価が異なるため、一流校で取得することが大事です。二流や三流の学校でMBAを取得しても、就職・転職で優遇されないこともあります。また、コンサルティングの経験がないMBA取得者より、コンサルティングの実務経験がある人のほうが優遇される傾向があります。
公認会計士
公認会計士の資格は、合格率10%という難関の国家資格です。そのため、公認会計士の資格があると、ファイナンス分野専門の経営コンサルタントとして活躍できます。ただし、ファイナンス分野といっても会計系やM&Aなど色々なタイプがあるので、どれを専門にするか決めなければなりません。
中小企業診断士
中小企業診断士は中小企業の課題解決や、組織再生をサポートする能力があることが証明できる国家資格です。1次試験の合格率が17%から40%、2次試験の合格率が18%から19%で、1次と2次を掛け合わせた合格率は3%から8%と超難関試験です。経営コンサルティングスキルを証明できる資格なので、経営コンサルタントの仕事に活用することができます。
TOEIC
コンサルティングファームは国際的な業務を行うことが多いため、TOEICで英語力を証明することは就職や転職にプラスの作用があります。ただし、経営コンサルタントは英語の資料から情報を収集したり、問題解決の議論やプレゼンテーションを行ったりすることもあるため、就職・転職で加点するためにはTOEIC800点以上が求められます。
経営コンサルタントの将来性
情報システムやインターネットの利用が当たり前になった現代では、経営コンサルティングといえどもデジタル化の推進やIT技術の提案は欠かせません。IT関連のコンサルティング市場は拡大を続けており、この傾向は今後も続くとおもわれています。DXの他に、経営統合やグローバル化、新規事業などの分野でコンサルタントを必要とするテーマは増えており、将来的に需要は拡大するとみられています。
ただし、景気が行き詰ると経営不振などの悩みを抱える企業が増え、経営コンサルタントの需要が減少するフェーズも出てくるかもしれません。日本はもちろん世界的に景気の先行きがわからない時代となっており、経営コンサルタントの需要が続くかは未知数です。
コンサル企業との競争が厳しくなっている側面もあり、他のコンサルティングファームやコンサルタントとの違いを明確にするため、専門分野に絞ったコンサルティングを打ち出しているファームもあります。コンサルタント個人についてもプロジェクトでの業務経験とともに、専門的な知識やスキルを習得することで、この先も活躍できる場を増やせるでしょう。
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