フリーランスはやめとけと言われる理由・増えすぎ?末路は悲惨?
組織に所属せず個人の技能を頼りに仕事をするフリーランスという働き方が世の中に多くみられるようになりました。現在、会社員として働く方のなかにも、将来は独立・開業したいという方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、「フリーランスは甘くない」「フリーランスエンジニアの末路は悲惨」「増えすぎ」といった意見もあります。
この記事では、フリーランスはやめとけと反対される理由、普及する背景、不向きな人、失敗しないポイントなどを紹介します。
フリーランスはやめとけと言われる理由
安定した会社員からフリーランスへ転向したいという展望を伝えると、家族や友達から反対を受けるケースは少なくありません。独立を前向きに考えている人にとっては決心が鈍る要因にもなりますが、そのように周りからネガティブな反応がでてくるのにはどのような要因があるのでしょうか。
フリーランスには「自分次第で大きく稼げる」「人間関係のしがらみから解放される」「場所や時間を選ばず仕事ができる」などの利点がありますが、組織に所属せず個人で働くがゆえの心配事も多く存在するのです。
世間の情報を鵜呑みにして安易にフリーランスになることには危険な面もあります。ここからは、フリーランスはやめておいたほうが良いといわれる根拠について紹介します。
自分で仕事を獲得しないといけない
最初に、よく心配されるのが収入に直結する仕事の獲得についてです。フリーランスになりさえすれば、誰もが会社員時代よりも多く稼げるというわけではありません。会社員の頃は与えられた仕事を忠実にこなせば収入を得られましたが、フリーランスは自分で探さなければ仕事を貰えず、収入も得られません。
独立前の会社から仕事をまわしてもらうなど、最初から順調にいくケースばかりでなく、独立後に仕事を見つけるのに苦労することも多いのです。顧客からの引き合いが少なければ、地道に営業活動をして新しい仕事を取っていかなければなりません。
安定した収入を得るためには、コンスタントに継続案件を獲得していく必要がありますが、本業をこなしながら提案や見積もりなどの業務をしなければならず工数の負担も会社員より大きくなります。
不景気や業績悪化に弱い
次に、業務委託で働くフリーランスは景気による影響をうけやすい働き方です。好景気の際は仕事が豊富にあり、収入もうなぎ上りということになりやすいですが、その逆で、景気が悪くなると収入に陰りがみえてきます。外注先に発注する業務を減らしたり、契約更新を行わないよう指示する企業も出てきたりするためです。
もちろん、会社員も不景気になると収入が減ったり、解雇されるリスクがあります。ただ終身雇用や労働法が適用されている社員を、会社側も簡単にリストラ出来ません。一方で、フリーランスとの契約は事業者間での取引とみられます。その点で、会社や労働組合が守る存在では無く、業績が悪化した際には真っ先に切られる立場となるのです。
下請け業者としての立場で、1つの会社に依存して仕事を任されていた場合、もしその会社の業績が悪化して契約を打ち切られると、途端に収入がゼロとなってしまいます。取引先の数が少ないほど管理や営業の手間は減りますが、不景気や業績悪化の影響を受けやすく、収入が安定しない点をリスクと捉える人もいるでしょう。
スキルが伸びにくい
若くして独立する際に、よく反対される理由が「フリーランスになったあとは、スキルを伸ばしにくい」という点です。正社員として会社で働いている間は、自分が出来ない事や経験のないプロジェクト、不得意な分野についても挑戦を許されたり、たとえ失敗したり成果が出せなかったとしても周りからのフォローが受けられます。普段の仕事を通して上司や先輩、時には後輩から学ぶ事もあり、色々な人から知識を得られます。
一方で、フリーランスになった後は、即戦力であることが期待され、失敗は許されません。知識やスキルについても、教える側として自身の経験を切り売りしていくことになります。そのため、基本的に実績のある分野でしか、仕事を獲得できません。新しい分野の経験を積みたいと思っても、いざ仕事を受注するとなると自分の得意分野に偏りがちになります。
そもそもフリーになると、ある程度のスキルを身に付け「これなら一人でもやっていける」と自信がついた状態ですが、本業以外にやるべき作業がたくさんあり、未知の分野に踏み込む余裕が無いというのが現実です。仕事として請け負い、確実に納品するためには当然の行動ですが、結果的に会社員時代より仕事の幅が狭くなり、スキルも伸びにくいといった事態に陥る可能性があるのです。
マネジメントが経験できない
会社組織に所属していれば、30代、40代でマネジメント経験を積む機会もでてきますが、フリーランスという働き方では、プレイヤーとして現場での作業が中心となります。自分の持っている技能だけで定年まで仕事がしたいと考えている人は、マネジメント力など不要、自分には関係ないと感じるかもしれません。
ただ現実問題として、技術一本で50代、60代となり現場の仕事を続けるのは容易ではなく、ある程度の年齢になった人材には、部下の育成や指導、マネジメントに関する能力も求められるようになります。
フリーランスでもプロジェクトを成功に導くための責任者やリーダーとなって取り仕切るケースはありますが、その場合でも、会社員時代に人を育成して組織を作り上げるという経験をしているから、そのような案件に携われるのです。
社会的な信用が低い
一般企業に勤める会社員に比べ、フリーランスの社会的信用は低いです。不景気のあおりをうけたり、自分自身が事故や病気で働けない時は全く収入が無いという事態に陥る可能性もあり、毎月の収入が安定しない立場と見られているからです。
金融機関や審査会社からの信用が低いとローンが組めない、クレジットカードが作れないなど生活面で様々な影響を受け、何かと不便に感じる事も多くなります。
フリーランスの実情をみていくと、良い面だけでなく、悪い面もみえてくるものです。しかしながら、ここまでお話したような、デメリットを踏まえたうえで、それでも会社員よりフリーランスが良いと感じる人も多いでしょう。
ここからは、フリーランスが増え続けている背景を紹介します。
増えすぎ?フリーランスが身近になった背景
ひと昔前までは、フリーランスとして活動する人は一部の業界や特殊な職業に限られました。しかしながら、現在ではホワイトカラーを中心に、パラレルワークや副業・兼業を含め、特定の組織や企業に属さない働き方も選択肢のひとつとなってきています。
結果として、フリーランス人口が増えすぎていることを懸念する声もあるほどです。これらの背景としてはどのようなものがあるのでしょうか。
労働者人口の減少による人手不足
未婚化や晩婚化が進み日本国内の少子高齢化に拍車をかけています。若者の数が減ったことで、労働者人口も減少し大きな問題となっています。企業が求めるスタッフの技能についても、専門職として働いた経験や業界知識や資格がないと、誰もが簡単にこなせる仕事ではありません。
加えてインターネットなどの新しい技術が世の中にどんどん進化している背景もあり、IT関連の新たな職業も生まれています。その結果、さまざまな業界で慢性的な人材不足となっているのです。
IT、医療、サービス、土木、配送など需給のバランスが崩れた売り手市場では職人の立場が強くなり、フリーランスでも十分に仕事があると確信が持てるのかもしれません。
フリーランスを支援する事業者の増加
スタッフを調達する手段として、派遣やアルバイトだけでなく、業務委託契約がもちいられるようになり、それらのフリーランスと企業とのマッチングを支援しようとする事業者も増えてきました。
人材を支援するビジネスモデルが拡大しつつあり、会社員から個人事業主への転向を積極的に推奨しています。より多くの人がフリーランスに興味が持てるよう広告にも予算をかけており、転向を迷っていた人、興味が無かった人の呼び込みにも成功しています。
ワークスタイルの変化
戦後から高度経済成長期にかけては「同じ会社で定年まで勤め上げる」という考え方が一般的でしたが、企業のグローバル化が加速し、ワークスタイルも多様化してきました。長く同じ企業に勤め続けるもよし、転職するもよし、経験を積めばフリーランスとして色々な会社と契約して自分の能力を存分に発揮していくスタイルも評価されます。
働き方の自由を求める人が多くなってきており、安定した正社員にこだわる人ばかりではなくなったのも、フリーランスが増えた一因と言えます。
フリーランスに向かない人
フリーランスに転向して成功出来る人がいる反面、失敗する人もいます。フリーランスに向かないのはどのような人なのでしょうか。
独立を甘く考えている
会社員より独立した方が楽に働けるからフリーランスを目指すという人は、失敗するリスクが高いです。独立すると楽というのは大きな間違いで、あまり苦労せずに働きたいのならフリーランスより会社員の方が向いています。フリーランスは会社員のように会社に守られている訳ではありません。
仕事は全て自分で取ってこなければならず、経理など事務作業も本業と並行してこなす必要があります。特に駆け出しの頃は働きづめの状態になる可能性も高く、甘い考えでフリーランスになった場合は、「こんなはずでは無かった」と激しく後悔する事になります。
自己管理が苦手な人
フリーランスになると自己管理が必要になります。スケジュール管理はもちろん、体調面の管理やお金の管理も自分で行っていかなければなりません。例えば、スケジュール調整がうまくできないと、納期に間に合わせるために無茶な働き方をせざるをえなかったり、入金の確認や請求なども漏れなくおこなわなければなりません。
些細なミスでも信用を失う事になり、その後の仕事にも支障をきたしてしまいます。誰からも管理されない立場となると怠惰になりやすいですが、きちんと自己管理出来る人でなければフリーランスとして働き続けるのは難しいと言えます。
営業活動をしたくない
フリーランスとして稼いでいくなら営業活動は欠かせません。そのため、提案や交渉などに苦手意識を持っている人はストレスが溜まりやすく、途中でしんどくなる可能性が高いです。ちなみにフリーランスの営業活動とは、ただ契約にこぎつけるだけではありません。
無茶な要求をそのまま受け取っていては利益にならないため、クライアントに上手く交渉して、自分が納得出来る条件で契約を勝ち取ってこそ意味があります。かなりの労力を伴う業務で、もし慣れない営業活動をしたくないなら会社員として働き続けた方が賢明です。
事務作業をやりたくない
フリーランスは事務作業も必須です。せっかく納期までに仕上げて納品しても、請求書を発行しなければお金は入ってきません。技術者として会社に勤務している時は、当然事務作業は事務職がしてくれるのでお金の知識も不要でしたが、フリーランスであれば税金などの最新の情報を常に把握しておく必要があります。
また細かい事務作業のみならず、確定申告も行わなければいけません。本業と関係のない知識を勉強したくない、作業したくないという人は、フリーランスとしての働き方は不向きと言えます。
安定を求める人
フリーランスとして収入を得る場合、良い時もあれば悪い時もあります。会社員時代の安い給料が不満だったという理由でフリーランスに転向しても、会社員時代の方が総額として収入が多いという可能性も出てきます。収入面を含めて安定を求めている人にはフリーランスはリスクが高く、断然会社勤務の方が安心出来ます。
フリーランスの末路は悲惨?反対されないために
ここまでフリーランスの向き不向きについて解説してきました。末路は悲惨といわれるフリーランスですが、60歳や65歳などの定年といわれる年齢に際してはどのような事に意識を持って働いていけば良いのでしょうか。
周囲の反対を押し切ってでも独立したいのならば、熱意のほどは十分でしょう。あとは、会社を辞めるまでに、しっかりと準備をして失敗は避けたいところです。
実績を積んでから独立する
フリーランスとして安定して仕事を得るために大切なのは、何よりも実績です。有名企業や大手企業に所属した経歴があれば、心強いでしょう。経歴がいまいちで、実績も積んでいない段階でフリーランスとなっても、それが通用するほど甘い世界ではありません。
クライアント側も、魅力を感じないフリーランスに仕事を発注しようとは思わないのです。会社に勤務して経験を積んでおく事はとても重要で、失敗した出来事ですら知識やスキルとして身に付けられます。
類似案件などで実績があればクライアントからの信頼も厚くなり、自分も自信を持って対応出来るようになるため、独立する時には焦らず、しっかり地盤を固めておく必要があります。
独立前に仕事を確保しておく
あらかじめ仕事を確保しておくことで、独立直後に仕事が全くない状態を避けることができます。ホームページやブログ、SNSなどに個人のポートフォリオや活動を掲載して、独立前から見込み顧客を集めておきましょう。人脈を頼ってみるのも一つの方法ですし、クラウドソーシングやエージェントを利用してみるのも良いかもしれません。
最初はスポットの案件であっても、とにかくコツコツと実績を積んでいく事で、クライアントからの信頼得て継続的な受注に繋げることもできます。
50代以降の仕事の取り方を考えておく
フリーランスには定年はありませんが、50代以降になると受けられる仕事は確実に減っていきます。高齢になると疎んじられる点が、フリーランスの末路は悲惨といわれるゆえんです。
仕事を発注する側が年齢を理由に足切りすることがあり、若い世代に限定しているプロジェクトなら、どれだけスキルを持ち合わせていても参加出来ないのです。
体力や気力、最新技術に対しての知識などは20~30代の若いフリーランスに劣りますが、自分にしかない付加価値を持っていれば太刀打ちできるため、出口戦略は重要です。
また新しい人材を育成するべく、講師やアドバイザーになって知識やスキルを伝えていくという活躍の仕方もあります。
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