PMとPLの違いは?プロジェクトチームの役割分担と管理体制・成功のポイント
プロジェクトにおいて重要な役割を占める「PM(プロジェクトマネージャー)」と「PL(プロジェクトリーダー)」ですが、この2つのポジションで違いはあるのでしょうか。
この記事では、一般的なプロジェクト管理体制やPLとPMの違いなどを解説します。役割分担やPJT成功のポイントも見ていきましょう。
目次
プロジェクトを管理する体制
プロジェクト管理とは、プロジェクトを成功させるために計画を立て、予定通りの進行や品質・予算などをコントロールし、実行メンバーをアシストすることを言います。
チームの構成員がそれぞれの裁量で仕事をしているなか、プロジェクトの進捗状況を把握していなければ、無駄も多く生じます。なにより、途中経過を確認しなければ納期までに必要なタスクが全く進んでいないという事態に陥ることもあり得ます。
そのような事態を避けるには、計画の目標と達成方法を設定し、各プロセスが予定通り進んでいるか確認し、問題があればその都度解決していく。そんなプロジェクトを管理する体制が必要になるのです。
プロジェクトチームの役割分担
プロジェクトチームを作るときは、役割分担を明確に定義することが重要です。役割が曖昧なままでは、やるべき仕事がはっきり分からず、プロジェクト全体が停滞してしまうことになります。メンバーの役割をはっきりさせるためには、予め体制図を作っておくことが必要です。
プロジェクト体制図は、PJTに参加するメンバーと、それぞれの役割、メンバー間の指揮命令系統を定義するために作られます。通常の仕事であれば、体制図がなくとも指揮命令系統は理解できますが、プロジェクトは臨時的な集まりのため、図にしてしっかり明示しておかないと、必要な指示や報告が伝わらなかったり、意思決定に時間がかかったりして、ミスの発生や効率低下の原因になってしまうのです。
プロジェクトチーム内の役割は、「プロジェクトオーナー」「プロジェクトマネージャー」「プロジェクトリーダー」「プロジェクトメンバー」の4つが基本となります。
「プロジェクトオーナー」はプロジェクトの発注者で有り、全体の構成や目的を設定するのが主な仕事です。外部からの受注の場合、「プロジェクトオーナー」は外部にいることになります。「プロジェクトメンバー」は、計画通りプロジェクトを進めるための作業担当者です。
では、「プロジェクトマネージャー(PM)」と「プロジェクトリーダー(PL)」は何が違うのでしょうか。PMは、プロジェクト全体を管理し、問題が発生したときの責任者となります。PLはプロジェクトを成功に導くのが仕事。積極的に行動を起こすのがリーダーの役割となるのです。
客観的に評価するPMOも必要
プロジェクトチームの役割として、基本の4つの他に「プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)」も必要になります。プロジェクトチームが大きくなると、PMだけで全体を管理するのが難しくなってしまいます。
一人では把握しきれない部分が出てきてしまうと、プロジェクトの進行に支障が出ることも考えられます。
そんなとき、PMをサポートするのがPMOです。PMの活動を見て支えることで、客観的にプロジェクト全体を管理することができるようになります。
プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーの違い
ここからは、プロジェクトマネージャー(PM)とプロジェクトリーダー(PL)の違いについて、役割や責任範囲などの項目別により詳しく確認していきましょう。
PMとPLの役割の違い
PMの役割
PMは、プロジェクト全体を管理するのが仕事です。プロジェクトが計画通り進んでいるか都度チェックし、問題が発生しているようなら調整を行います。また、人員の管理や、予算・納期・品質管理の他、リスクを把握しチームをまとめるのも大切な仕事です。
PLの役割
PMがプロジェクトの計画を立てるのに対し、PLはその計画通りにプロジェクトを実行するのが仕事になります。メンバーにとって、PLはいわば現場監督のような立場になります。PLは積極的に、直接メンバーと関わることになるため、管理能力だけではなく、対人能力も求められることになります。
PMとPLの管理対象の違い
PMの管理対象
PMが管理する対象は、プロジェクトチームだけではありません。ステークホルダー、つまり社内外を問わず、プロジェクトに関係する全員が管理のスコープに入ります。具体的には、経営層や協力会社、顧客などです。
PMは良好な関係を築けるようにステークホルダーに働きかける必要があり、各々のステークホルダーに「自分はプロジェクトの一員である」と認知させながら、協力関係を作っていかなければなりません。
PLの管理対象
PMの管理対象はステークホルダー全員にまで及びますが、PLの管理するスコープについてはプロジェクトメンバー全員に限定されます。逆に言えば、プロジェクトメンバーが最大限の力を発揮できるよう導くのが、PLの重要な仕事になるのです。
メンバーの進捗状況はもちろんのこと、体調にまで気を配り、必要があればスケジュール調整や人材の再配置を行います。必要であれば指導や支援を行うのも、PLの大切な役割です。
PMとPLの責任の違い
PMの責任
PMが担うのは、プロジェクトの達成責任です。実行メンバーに働きかけてスケジュールの遅延を解消したり、必要に応じて顧客やプロジェクトオーナーに対して追加予算や納期延長などの交渉もおこないます。
PMは最終的にプロジェクトの目的が達成されるかどうかに責任を持ちます。
PLの責任
PMがプロジェクト達成に責任を持つのに対し、PLはプロジェクト実行に責任を持ちます。各メンバーが計画通りタスクをこなせているか、全体の進捗は予定通り進んでいるかを確認し、都度調整を行うのがPLの仕事です。その結果プロジェクトが成功するかどうかの責任はPMの範疇となります。
とはいえ、PLがプロジェクト成功に無関心という訳にはいきません。必要に応じてPMと連携をとることで、プロジェクトを達成に導くことも当然求められます。
プロジェクトを成功に導くために
プロジェクト成功のために、PMやPLはどのように行動していけばいいのでしょうか。
体制図を作り責任を明確にする
プロジェクトが立ち上がり、目的とゴールが決まったら、PMはまず体制図を作ることになります。体制図とは、メンバーの所属や指揮系統を明らかにするための図のことです。形としては会社の組織図に似ていますが、プロジェクトは臨時のものであるため、体制図の役割はより重要になります。
グループや人材を箇条書きにするよりも、体制図にしておくほうが構造を理解しやすくなりますし、プロジェクトに対する理解も深まります。また、体制図があることで役割が明確になり、自然と負うべき責任もはっきりするのです。
管理・運営と推進の役割分担に注意する
チームメンバーは、PMとPLのそれぞれの役割を理解し、どのような違いがあるのかしっかり確認しておかなければなりません。PMはプロジェクト全体を管理・運営するのが仕事ですが、PLはプロジェクトの推進が仕事です。
一見すると同じような仕事をしているように見えても、担当領域にはかなりの違いがあります。また、PMとPLは「役割」であって「役職」ではない点にも注意が必要です。
体制図を見ると、指揮系統の関係からPMの方が上の立場のように見えてしまいますが、両者はどちらも対等な立場で仕事をすることが多いです。むしろ下手な上下関係を設定してしまうと、余計な遠慮が生まれてプロセスに無駄が生じる可能性があります。
全てのプロジェクトでPMとPLの両方が設定される訳ではない点にも注意が必要です。どちらか片方だけが設定されることもあり、その場合は本来分担するはずの仕事を一人が担当することになります。
プロジェクトが小規模の場合はまだ何とかなるかもしれませんが、大規模、長期のプロジェクトだと、特定の個人の責任が大きくなりすぎてしまう可能性があります。負担の押しつけを避けるためにも、必要に応じて全体を見直し、PMとPLの両方を設定して役割分担をする必要があります。
PLとPMがそれぞれの責任を果たす
プロジェクトリーダー(PL)とプロジェクトマネージャー(PM)のそれぞれが自分の仕事を自覚し、責任を果たすことがプロジェクトを成功に導きます。PMは企画から参加して、完遂するまでの戦略やスケジューリングなど、プロジェクト全体を管理するのが仕事です。
対してPLはスケジュール通りにプロジェクトを動かすのが仕事。ステークホルダー全員を管理する立場にあるPMと異なり、PLはプロジェクトメンバー管理に特化しており、現場の作業内容や人員管理を行います。
両者が連携を取りながらそれぞれの責任を果たすことで、プロジェクトを成功に導いていくのです。
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