SE(システムエンジニア)案件の単価は?フリーランスで独立する前に
情報システムの要件定義や仕様策定を行う職業に「システムエンジニア(SE)」があります。SIerやITベンダー、システム開発などで安定した需要があり、正社員として働いた後、独立してフリーランスの道を選ぶSEも増加しています。
この記事では、システムエンジニアの単価相場や年収、フリーランスとして独立する方法などを解説します。仕事やスキル、将来性なども見ていきましょう。
目次
フリーランスのSE(システムエンジニア)という働き方
フリーランスのSE(システムエンジニア)とは特定の会社と雇用契約を結ぶ会社員と異なり、事業主として業務委託で依頼ごとに仕事を請け負う働き方です。
業務委託での稼働形態は常駐型と在宅型に分かれますが、どちらにしても裁量が自分にあるため仕事の内容やスタンスを自由に決められます。
フリーのSEには、興味のある分野の仕事を選べる、人間関係のストレスが減る、年収アップが期待出来るなど様々な魅力があります。
会社員と同じように出勤する「客先常駐」が主流
フリーランスと聞くと自宅で仕事をしているイメージが強いですが、フリーランスSEに関してはクライアント先のオフィスに出向いて働く常駐形式が主流となります。
そもそもSE(システムエンジニア)は、ソフトウェアやITシステムの設計や開発、テストといった一連の流れのなかでも上流工程を担う職種です。
クライアントや他のプロジェクトメンバーとも打ち合わせをしながら作業を進めていく事が多いので、会社に出向いた方が仕事もしやすいのです。
常駐型
常駐型はエージェント経由で紹介されることの多いタイプのフリーランス案件です。準委任契約のため納品義務のない契約でプロジェクトに参加する働き方で、顧客企業のオフィスに出勤し、その企業の社員に交じって仕事をしていきます。
エージェント経由ではクライアントが支払う金額からマージンが引かれた額が報酬となりますが、単価は相場よりも高い案件が多いです。自分で営業して案件を獲得するという工程の必要がなく、多くの案件から仕事を選べるというメリットがあります。
最近では、コロナウイルスの影響から、常駐型でもリモートワークが許可されるフリーランス案件も増えてきています。ただし、週のうち何日かは出社が必要であったり、緊急時に対面作業が必要なことも多いです。
在宅型
企業から請け負った仕事を在宅ワークやテレワークなどのリモート環境で行い、期日までに納品するという働き方です。仕事の大半がプログラミングや開発で、受け取った要求や仕様書通りに動作するようコーディングをおこない、テストまで完了させます。オフィスに出向く必要がなく、時間や場所についての融通が利く点がメリットです。
ただし、リモートワークとはいえ、オンライン会議やチャットでのコミュニケーションは必要です。任される仕事が限られている事や、納期に遅れた際は報酬が支払われないといったデメリットにも注意しましょう。
在宅・フルリモートで働くフリーランスSEは少数派
在宅作業のみのフリーランスSEはごく少数です。システム構築のプロジェクトにおいてSE(システムエンジニア)が担当するのは企画や要件定義などの上流工程であり、実際の業務を分析してのディスカッションも必要になります。
ヒアリングや状況確認などメンバーとコミュニケーションをとりながら作業をしない事には仕事が成り立たない点も多いのです。
加えて仕事を発注する企業は、SEがデータを持ち帰って情報が外部に漏れてしまうリスクを懸念しており、特に大企業ほど出向型・常駐型のSEに仕事を依頼する傾向にあります。
SE(システムエンジニア)案件の単価相場・収入目安
フリーランスのSE案件の単価相場は60~80万円です。希少価値の高いジャンルや技術に精通している、特定の業界において重視される製品導入に詳しいなど、人に差をつける付加価値があれば単価報酬も上がります。
収入の目安に関しては、例えば単価70万円で考えると単純計算で年間の売上は840万円となりますが、途中で契約が途切れる事を考慮し、稼働率80%で計算すると700万円あたりが額面の年収となります。
フリーランスSEの平均年収
フリーランスSEの場合、個人で仕事を受注しているケースもあるため、平均年収をハッキリとは断定できません。ただ案件紹介会社の月単価が50~80万円の案件が多数を占めているため、年収600~960万円あたりが平均的な年収相場の目安と言えるでしょう。
案件の単価相場は?100万円以上の案件も
一般的システムエンジニア案件の月単価は50~80万円ですが、中には100万円以上の案件も存在します。単価が100万円以上ともなるとプロジェクトで求められるスキルも高くなりますが、高単価の案件に巡り会えるのはフリーランスだからこその特権です。
フリーランスは、能力に見合った正当な評価が受けられるので、仕事に対しての不公平さを感じる事もありません。
正社員SEとの比較
フリーランスSEの平均年収が600~960万円であるのに対し、正社員SEの平均年収は500~600万円が相場です。フリーランスは社会保障が少なく、福利厚生もないため、どちらの年収が高いかは一概に言えませんが、額面だけ注目するとフリーランスの方が高くなります。
フリーランスSEの仕事の探し方
独立してフリーランスのSE(システムエンジニア)を目指す場合、どのように仕事を探せば良いのか迷う人も多いかもしれません。フリーランスSEの仕事の探し方はエージェントを活用する、クラウドソーシングで探す、または自分自身で営業をして仕事を獲得していくかの3択になります。
エージェントを利用する
エージェントの活用方法は、サイトにアカウント登録した後、エージェントから案件を紹介してもらうか、自分でサイトの中の案件を調べて参画したい企業に契約の希望を出すという方法で仕事を探していきます。フリーランス専門の案件紹介サイトは多数あり、個人では取りにくい大手企業の案件や高単価の案件も見つけられます。
一方、初めてフリーランスSEとして仕事を受注する人、フリーランスになってまだ日が浅い人に関しても、エージェントを活用すると仕事を見つけやすくなります。
エージェントのキャリアコンサルタントの存在は大きく、技術力を客観的に判断して案件を紹介される、契約を明確化できる、さらに案件終了前には次の案件の希望を聞いてくれるなど、様々な面でのサポート体制が整っています。
クラウドソーシングで探す
在宅型の案件を探すにはクラウドソーシングサービスが便利です。クライアントとなる企業からインターネットで仕事を受けて報酬を得るという働き方で、クライアントに直接会う必要はなく、クラウドソーシングサービスの運営企業が間に入って金銭の受け渡しなどを行ってくれます。1回完結で継続性のない案件や低単価の案件が中心ですが、真面目に仕事をこなして特定のクライアントから信頼を得られると、単価の値上げ交渉や仕事の継続にも繋がります。
自身の営業で獲得する
自分で売り込みをかけて企業と交渉し、仕事を獲得していく方法もあります。企業と直接契約する事になるため、仕事が完結した際は高い報酬が得られます。ただし企業側も高いスキルを持つSEを求める傾向にあり、それなりに実績が無ければ契約も結んでもらえません。長くSEとして活躍している場合は、これまで築き上げた人脈と信頼により、企業側から声がかかり仕事を任されるケースもあります。
フリーランスのSE(システムエンジニア)になる前に
フリーランスSEになる前に、まずは勤めている会社を退職しておかなければいけません。ただし自分が独立の意思を固めているからといって、すぐに会社を辞めてしまうのは社会人としての常識が伴っていません。そもそも同じ業界で働く事になるため、身勝手な印象を残してしまうと、業界全体に悪い噂が流れる可能性あります。
退職届を出すのは辞める1ヵ月前、そして上司に伝えるのは辞める3ヶ月前が理想です。時間に余裕があれば、しっかり仕事を引き継ぐ事ができ、自分自身もゆとりを持って独立への準備が出来ます。
フリーランスSEになるには
フリーランスSEとして成功するには適切なタイミングを見極めなければいけません。まだ何も実績を残していないSE(システムエンジニア)が独立を目指しても、どこからも契約されず、厳しい現実を思い知らされます。まずは客観的な目線で自分の持っている知識や技術がフリーランスとして認められるレベルなのかを考え、レベルが達していないと思うならある程度の期間、会社勤めをして経験を積んでおく必要があります。
会社勤めを5年以上経て独立が多い
フリーランスSEになるために、どれぐらいの年数働かなければいけないかといった具体的な期間は決まっていません。ただし、一人前のSE(システムエンジニア)として認められるには、システム開発に必要なIT知識の習得が必要です。
要件定義やシステム分析、基本設計に詳細設計、プログラミング、そして結合テストや総合テスト、メンテナンスまでSEが行うべき業務が全てこなせるようになっておくとよいでしょう。
一般的には会社員SEとして5年以上の経験があれば、ひと通りのスキルが身に付くと考えられていますが、個人差があり2~3年でフリーになれるレベルまで到達する人もいます。
未経験なら、まずは就職・転職を
企業側がフリーランスSEと契約するのは、即戦力として期待しているからです。過去に経験した事が無い仕事に就くのは難しく、企業側も未経験者より実績のある経験者を優遇します。実績を積み上げるには様々な仕事にチャレンジしていくしか方法はないため、未経験であればまずは就職、転職を考えるのが賢明です。
フリーランスSEが陥りやすい失敗
意気揚々とフリーランスSEとして活動し始めたものの、いくつか陥りやすい失敗があります。どのような点に注意しなければいけないのかを頭に入れておかなければいけません。
スキル不足
自分は出来ると過信していても、実際にフリーランスSEとして働くとスキル不足を痛感する可能性もあります。ある程度の知識や技術を持っていても、偏りがあれば広い世界では通用しません。周りから能力不足や知識不足を糾弾され、肩身の狭い思いをする事もあります。
キャパオーバー
フリーランスとなると、責任が全て自分に降りかかります。つまり重大なミスをしてしまった時は、誰からもフォローされません。納期までに全て完璧に仕上げなければならず、キャパオーバーとなって心身ともに疲労困憊になる可能性もあります。
税金などの申告漏れ
フリーランスSEは本来の業務だけではなく、事務作業も多くなります。収入のやり繰りはもちろん、支出の計算も行わなければいけません。経費に計上出来るものと出来ないものを分け、高額な備品は減価償却の計算も行う必要があります。収入や支出の計算を総まとめにしたものが確定申告で、所定の書類に正しく記載して所得の計算をしなければいけないのです。税務調査で申告漏れを指摘されるような事があれば元も子もなく、周りからの信頼も失ってしまいます。
独立した際の法的手続き
独立を決めた際は、法的な手続きを済ませていかなければいけません。最初に退職に関係する手続きを行い、次はフリーランス開始時に必要な手続きへと進んでいきます。
退職後に必要な手続き
会社員時代は会社で健康保険と厚生年金保険に加入していましたが、フリーランスになる際は国民健康保険と国民年金の加入手続きが必要となります。いずれも退職後14日以内に市区町村役場で手続きを済ませておかなければいけません。
フリーランス開始時に必要な手続き
フリーランス開始時は、地方自治体に「個人事業開始等申告書」を提出、税務署に「個人事業の開業届出・廃業届」と「所得税の青色申告承認申請手続」を提出します。提出は持参と郵送のどちらでも可ですが、書き方に不安がある場合は持参した方が賢明です。郵送しても、万が一不備があれば出向かなければならず手間もかかります。
フリーランスSEで活躍するために
フリーランスSEとして活躍していくには、他の人に差をつけられる特徴や能力が大きな武器になり得ます。
独自の強みを持つ
有名企業に属してSE(システムエンジニア)として働いていると、企業の肩書だけで顧客から多大な信頼を得られる事もあります。また独立後も出身企業などの経歴は役立つでしょう。ただ普通レベルのSEであれば、会社の看板が外れた途端に誰からも相手にされなくなる可能性もあります。
例え大手企業の会社員で無くなっても、「この人の力を借りたい」「この人に任せれば安心」と思われるような人材であれば、フリーランスになっても仕事に困ることはありません。そのためにも独自の技術やハイレベルな技術を持ち合わせておく必要があるのです。
プロジェクトマネジメント経験
プロジェクトマネージャーとは計画や進捗、作業系統化、コスト、リソース、時間、リスクなど制約条件を管理しつつ、プロジェクトが完了までチームまとめていく存在です。プロジェクトマネジメントの経験がある人は市場価値が高いので、単に仕事の契約をするだけではなく大幅な報酬アップも期待出来ます。
条件交渉を行う
フリーランスのSEがプロフェクトへの参画を希望する場合は、クライアントと直接話をして契約を締結させます。その際に条件交渉も行いますが、例えば値段交渉などは最初に安い単価で引き受けると、次回以降の依頼も安く引き受けざるを得なくなり、自分の生活にも影響を及ぼします。ただ利益ばかりを優先して交渉しても、クライアントが納得できなければ成立しません。交渉の力量もフリーランスとして働いていくには必要で、いかにクライアントを満足させつつ、自分自身もしっかり利益を得られるかは、交渉次第で大きく変わってきます。
SE案件の今後の動向、システムエンジニアの将来性
SE案件の今後の動向が気になるところですが、フリーランスで働くシステムエンジニアは増加傾向にあります。そのライバル達に勝つには求められる要求に応えられるスキルを身に付け、自分の得意分野を極めていく努力が必要となります。
フリーランスで働くSEは増加傾向にある
フリーランスの良さは、会社との雇用関係に縛られず、自由にクライアントと契約を結べる点です。仕事を与えられるのではなく、自分で選べるのもフリーランスの強みで、「いい仕事をしたい」「正当な評価を得たい」人は、ある程度の経験を積めば独立への道を探るようになります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)やデータ利活用、分析プロジェクトなどに関するSEは売り手市場でもあり、フリーランスはますます増加していくと予想されます。
DX推進やAI、クラウドなど求められる技術は変化する
SNSやスマートフォンが普及し、デジタル化やオンライン化はまったなしの状況が続いています。新しい営業手法やコミュニケーション手法に対応して、よりデータに基づく意思決定をおこなうなど、多くの企業がビジネス環境の激しい変化に対応するべく、デジタル技術を活用して競争優位に立ちたいと願っています。
DX推進の取り組み、AI、IoT、クラウドの活用など様々なITシステムが普及しつつありますが、いつまでも同じ技術が通用する訳ではありません。時代が進むにつれて求められる技術も変化してくるため、SEも日々勉強していく必要があります。
生き残るためには得意分野を見極める
万遍なく仕事をこなせるのもゼネラリストの魅力ですが、個人事業主として人と差をつけるという意味では、技術的な得意分野やドメイン知識の豊富なジャンルを見極めて磨きをかけていくのも方法の一つです。
クライアントが希望するスキルにマッチすれば、継続してシステムエンジニアリングの案件を依頼されるようになり、長いお付き合いが出来るようになるかもしれません。
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