コンサルタント案件の単価は?収入目安・スキル・フリーランスで独立する前に
コンサルティングファームやシンクタンク、SIer、広告会社、事業会社などを経験後に独立してフリーランスで働くことも多い職業が「コンサルタント」です。戦略、会計、人事、IT、製造、営業などの専門領域にそったアドバイスや事業の支援をおこないます。
この記事では、フリーランスコンサルタント案件の単価相場や平均年収、仕事獲得に必要なスキル・知識などを紹介します。未経験から目指す方法についてもみていきましょう。
目次
フリーランスのコンサルタントという働き方
フリーランスのコンサルタントとはどのような働き方なのでしょうか。コンサルタントという肩書で仕事をする職業の種類についても合わせて紹介します。
フリーコンサルタントとは
ここで紹介するフリーコンサルタントとは、企業などに雇用されず独立した個人の看板で働いているコンサルタントを指します。その多くは個人事業主として活躍しており、出身業界での経験や人脈、問題解決能力、専門技術などの知見を駆使してクライアントの課題を解決するアドバイスや提案をおこなうのが仕事です。顧客同士を引き合わせるビジネスマッチングを得意とするコンサルタントもあり、フィーや手数料の設定も自由度が高い職業です。
フリーランスのコンサルタントといっても得意分野はさまざまです。経歴や対応可能な案件によって同じコンサルタント業でも活躍する場所の棲み分けがあります。コンサル対象となるジャンルが業務改革などのビジネス分野なのかシステム導入やデジタル変革などのIT分野なのかなどコンサルタントに求められるスキルも一様ではありません。
大手コンサルティングファームなどでの就業経験を持っていると有利ですが、自分で仕事を獲得するフリーランスでやっていくには観察力や提案力、交渉力といった営業スキルも身につけておいたほうがよいでしょう。
コンサルタントの種類
ここでは、コンサルタントの種類を紹介します。フリーランスのコンサル求人として代表的な分野として「経営」「戦略」「IT」という3つのコンサルティング分野があります。
経営コンサルタント
経営層に対して、事業方針の策定、経営課題の明確化、資金調達など経営に関するコンサルティングをおこないます。多くの場合、クライアントから依頼を受けて経営上の問題点を調査・分析するところから仕事が始まります。問題点の原因がわかったら、次のステップは解決策を見つけてクライアントに提示することです。クライアントの事業に関してはもとより、人事や財務なども含めてトータルにアドバイスをします。
戦略コンサルタント
戦略コンサルティングは、経営コンサルティングのうち事業の経営戦略に的を絞ったコンサルティングです。国内にとどまらず、グローバルな事業計画を提案することもあります。ときにはM&Aなど買収や合併の支援をすることもあり、クライアントの命運を握っている仕事といってもよいほど責任の重い仕事です。
多くの企業の経営戦略にDX(デジタルトランスフォーメーション)が標榜されるようになり、デジタルやオンラインの知識が必須のプロジェクトもふえています。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、クライアントの課題解決に向けたIT導入やデジタル化による業務改革に取り組みます。円滑な業務の推進を進めるだけでなく、デジタルマーケティングや新規事業に関するシステム化の需要も高まっています。クラウドやAI/IoT、データ利活用など既存システムの改修や最適化によって、経営が改善されることもあります。
どのようなIT技術を用いればクライアントの課題が解決するかは、クライアントの状況に合わせて対応します。業務分析や市場調査などをおこないIT戦略の立案をおこなうこともあります。
独立・起業するコンサルタントは多い
外資系のコンサルティングファームや国内コンサル企業、会計事務所などで経験を積んだあとに独立・起業するコンサルタント経験者は多いです。自身で事業を行う経営者となるコンサル出身者もいますが、多くはフリーランスのコンサルタントとして自身の裁量でプロジェクトに参加する個人事業主となります。コンサルタントで独立するには、スキルを身につけるためにもクライアントを得るためにもまずはファームに就職して経験を積む流れがスムーズです。
フリーになると得意な専門分野に絞って活躍したり、マージンがない分だけ会社員よりも収入が増えたり、雇用主に縛られない仕事ができる点はフリーコンサルタントのメリットです。世界的に見ると会社員の割合が圧倒的に多い日本ですが、近年はフリーランスの数が増えてきています。12~13人に1人はフリーランスとして働いている中、IT系やクリエイティブ系に次いで多いのがコンサルタントです。
コンサルタントの仕事には免許や資格が必要なく、看板を掲げれば誰でもコンサルタントを名乗ることができます。そのため、副業としてコンサルタント業を営む会社員も多いのです。
コンサルタントの単価相場・収入目安
フリーランスのコンサルタント案件について、業務委託で働く場合の単価相場や報酬として得られる収入の目安を見ていきましょう。会社員コンサルタントの平均年収も紹介します。
コンサルタント案件の単価相場(フリーランス)
フリーランスのコンサルタントにとって収入面で重要なのは、平均的に得られる月額の報酬単価の相場でしょう。案件の内容と単価が見合っていれば、雇用されているコンサルタントと同等以上に安心して仕事を進めることができます。多くの場合は準委任契約で企業から業務を受託します。経営コンサルや戦略コンサルなど業務系のコンサルタント案件は平均して150~200万円程度が相場です。
一方でIT系のプロジェクトでは案件内容やクライアント企業により前後します。Webやデジタルマーケティングなどの規模の小さい案件では予算も少なくなる傾向にあります。IT・SI系の案件については月単価で100万円程度を目安とするとよいでしょう。
コンサルティングファームに発注するよりフリーランスのコンサルタントに発注したほうがコストを低減できるという考えはクライアントも共通です。また、フリーランスからしても間に入る商流を減らすことでより得られる金額を増やせる点がメリットです。
コンサルタントの平均年収(正社員)
コンサルタントの種類によっても異なる収入ですが、企業の正社員の場合はITコンサルタントで600万円ほどと見られています。月収に換算すれば約50万円ですから、会社員の平均給与よりも高い水準です。
大手コンサルティングファームに所属するコンサルタントでは、給与水準も異なります。入社1、2年のアナリストで年収500~800万円、入社4、5年のコンサルタントで年収900~1300万円が相場です。マネージャーやパートナーレベルになると2000万円以上の年収となるでしょう。
このように会社員コンサルタントの場合は役職手当や年齢別の収入の違いがある点や所属する企業によっても給料に差があることを意識しておきましょう。
コンサルタントが独立して年収を上げるために
フリーランスのコンサルタントとして独立するからには、会社員時代より収入アップを狙いたいという人もいるでしょう。独立して年収を上げるためにはどのような工夫をすればよいかを紹介します。
得意分野や強みをもつ
フリーランスのコンサルタントとしてクライアントから一目置かれるには、得意分野や強みを持っておくことが大切です。会社員時代に独立後も需要がある分野で実績を立てておくことが重要です。クライアント先の企業名やネームバリューも仕事獲得には有利に働くため、ナショナルクライアントや大手企業の案件には積極的に参加できるようにしておきましょう。
書籍の出版や講演などの実績も独立後の評価につながります。他のコンサルタントに負けない実績や自分にしかできないスキルを持っておくと、仕事を依頼したいというクライアントが増えるのです。需要と供給の市場原理が働くため、需要が多く供給が少ないレアスキルや希少な経験はコンサルタント報酬のアップにも期待できます。
特定のクライアントに依存しない
定期的にコンサル案件を発注してくれるクライアントがいると、案件の獲得が安定しそうに思えます。しかしながら、ひとつの取引先に依存はしないでおきましょう。市場環境の変化や外部要因、資金繰りなどの要因によって継続案件の先行きは常に不透明です。
意図して長期契約をしておくなど対策をしておけば別ですが、そうでない場合に、いつ案件を発注してくれなくなるか先は読めません。そのため、特定の発注元に依存するより複数の企業とつきあっておくほうが、より安定的に事業を運営できるといえます。
また、クライアントを固定しなければ、複数の依頼から案件単価を比較して、より条件のよい案件を選ぶことも可能です。
高単価の仕事を開拓する
フリーのコンサルタントとして自分ひとりで稼働する以上、受けられる仕事の数やコンサルタントとして提供できる時間には自ずと限界がでてきます。そのように、フリーランスの収益を最大化するためには稼働時間あたりの単価をあげていく必要があるのです。獲得した案件を遂行するのに必要な時間が同じでも報酬が高ければ、稼働時間あたりの単価や時給は高くなります。
フリーランスにとっては単価を上げるための交渉力も必要です。また、そもそも仕事を取ってくる時点でできるだけ高単価の案件を開拓することで、年収アップにつながると同時に無駄に時間を費やすこともなくなってくるでしょう。
フリーコンサルタントの仕事内容
フリーランスのコンサルタントは実際どのような仕事をしているのか、具体的に紹介します。
業務分析や調査・提案
コンサルタントがクライアントの課題を解決するためには、ファーストステップとしてクライアントが抱える問題点を把握する必要があります。クライアントの事業内容や法制度、経済環境の調査、ビジネスに関わる経営者から社員、顧客などのステークホルダーにまで、業務観察やヒアリング・インタビューをおこなうのも仕事の1つです。
ヒアリングで聞き出したクライアント課題をさらに掘り下げたり、周辺分野や事業環境など広い視点で、業界研究や競合他社の分析をおこなうことも役立ちます。経験に基づいた提案で、ビジネスの課題解決に向かいます。
戦略立案や実行支援などのコンサルティング
クライアントの置かれた状況やビジネス上の課題を把握したら、課題や問題点の解決に向けて戦略を立てていきます。戦略を立案するところまでが対応範囲となるプロジェクトもあれば、実行計画の立案や実際の業務改善、オペレーション構築、組織変革などの実行部分も含めてコンサルティングや支援を実施することがあります。
計画を実行に移す際には、クライアント社内スタッフとの調整や密な打ち合わせも必要です。また、戦略案を実施した結果を客観的に検証し振り返ることも欠かせません。経営や事業に関する戦略を提案・検証するのと共に、実行に必要なIT戦略やデジタル化の支援をおこなうコンサルニーズも増えています。
第三者の立場でのアドバイス
コンサルタントは、クライアントの経営者にとって右腕ともいえる存在です。クライアントのために戦略を提案するとはいえ、最終的なGoサインを出すのは経営者。しかし、重大な決断を迫られた経営者が決断しかねているときには、コンサルタントが助言することで事態が動いていくのも事実です。
経営者にとって、社員には打ち明けにくいこともあるもの。そんなときでも、第三者の立場から客観的にアドバイスできるのがコンサルタントなのです。
身内といえる社員では提案自体が困難なタスクの肩代わりを求められることもあります。リストラや人員削減など社内の人間では実行を躊躇する提言を実施するためにあえて外部のコンサルタントを起用する会社もあるほどです。
フリーランスのコンサルタントになるには
ここからは、フリーランスのコンサルタントになる方法について紹介します。
正社員で働いてから独立するのが基本
将来的にフリーランスのコンサルタントとして独立を目指しているなら、まずは正社員としていずれかのコンサルティングファームで働いて経験を積むのが基本と考えておいたほうがよいでしょう。コンサルタントを名乗ることは誰にでもできますが、案件をこなすためのスキルや知識、クライアントとのつながりは会社員時代に築く人が圧倒的多数です。
新卒で大手ファームなどに就職する
正社員としてコンサルタントになるには、新卒で大手ファームに就職する道があります。新卒の場合、コンサルタントといえどもポテンシャルを評価して採用される傾向です。インターン採用を実施するファームもあるため興味があれば参加してみるとよいでしょう。
学生時代に経営について専門的に学んでおくのも有利ですが、経営とは無関係の学部卒でコンサルタント採用されるケースもあります。ともかく、コンサルタントとして配属が決まれば業務経験を積めるのは確実です。
中途採用でコンサルタントに転職する
大学卒業後に、一旦は別の業界や職種に就職してから中途採用でコンサルティングファームに入社する方法もあります。第二新卒や20代であればコンサルタントの転職時にもポテンシャル採用されるケースが多いです。コンサルタントとして支援する先の業界経験や業務経験があれば有利なため、新卒時に大手企業に就職しておくとよいでしょう。
また、IT分野やデジタル分野は人手不足のためコンサル業界でも人員拡充をおこなう傾向にあります。そのためIT開発やデジタルマーケティングなどの業界で活躍していた人にも、転職でコンサルタントになるきっかけをつかむチャンスがあります。
コンサルタントに必要なスキル
コンサルタントに必要なスキルといえば、経営の知識に加えてITコンサルならIT技術といった業界知識や専門分野での経験が挙げられます。ここでは、コンサルタントに必要なスキルを紹介します。
論理的思考能力(ロジカルシンキング)
就職や転職ではポテンシャル採用されることの多いコンサルタントですが、どのようなポテンシャルが求められるかといえば論理的思考能力が挙がります。英語でいうロジカルシンキングは、物事を体系立てて整理する思考能力です。
クライアントの課題自体や課題の解決に向けて、筋道を立てて矛盾なく考える力が必要となってきます。各方面から収集した事実やデータをまとめて分析し、解決策を検討できるのも論理的思考能力があるからこそです。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力も、コンサルタントに必須のスキルです。コンサルタントの仕事は、クライアント先の社内やコンサルスタッフなどのチームと一丸になって進めるもの。経営者や社員の信頼を得なければ、提案を信じてもらうこともできません。クライアントの立場に立って状況の分析や提案をおこなうためにも、コミュニケーション能力がモノをいうのです。
フリーランスコンサルタントのメリット
独立してフリーランスコンサルタントになるメリットがどこにあるか、見ていきましょう。
実力次第で収入が大幅に増える
同じコンサルタントの仕事をしていても、フリーランスと会社員では収入に差が出てきます。フリーランスの場合、メリットとなるのが収益を自分1人で獲得できることです。実力次第で収入を大幅に増やすこともでき、給与が支払われる雇用スタイルのように収入の天井を見ないで済みます。
働く場所や時間など柔軟な働き方ができる
フリーランスという働き方をしていると、働く場所も時間も自分で自由に決めやすくなります。ある程度はクライアントに合わせる必要も出てきますが、自宅勤務をしたりカフェやシェアオフィスを転々としながら仕事することも可能です。ライフスタイルに合わせた働き方ができるのは、フリーランスコンサルタントのメリットです。
色々な案件が選べる
雇用されているコンサルタントの場合、案件を自分で自由に選ぶことは難しくなります。その点、フリーランスコンサルタントは案件を自由に選べるのがメリットです。様々な案件に取り組むことで、実力を広げることもできます。
フリーランスコンサルタントのデメリット
メリットが多い一方で、フリーランスコンサルタントにもデメリットがあります。人によって何をデメリットと感じるかは違ってきますが、一般的にデメリットとされていることについて紹介しましょう。
スキルや景気次第で収入は不安定
得意な分野や高度なスキルを持っていると、高単価の案件を獲得しやすいフリーランスコンサルタント。ところが、景気次第ではどんなに高度なスキルを持っていても案件を獲得しにくくなってきます。すると収入が不安定になりやすいのですが、社員の場合でもリストラなどのリスクがあることを思えばフリーランスコンサルタントばかりが景気に左右されるとは言い切れません。ただし、スキルについては確実にレベルアップしていかないと収入は安定しないままです。
税金などの事務手続き
税金関係をはじめとした諸々の事務手続きを自分でこなさなければならないのも、フリーランスの大変なところです。収入が安定すれば専門家に依頼すると楽になりますが、経費低減のために自力で事務を片付けるとなると頭も時間も使うことになります。
フリーランスのコンサルタントになる前に
フリーランスのコンサルタントとして独立するからには、早い段階でしっかり自立したいものです。そのために意識しておきたいことについて、紹介します。
コンサルファームの時とフリーで業務内容は異なる?
コンサルティングファームで働くのとフリーランスで働くのとで、業務内容に大きな違いはありません。ただし、案件によって立ち位置やプロジェクトへの関与の仕方が変わる点には注意しましょう。
会社から社員として雇用されているときは、会社や上司が役割する業務を割り振ってくれます。若手のアナリストやアシスタントなどコンサルティングの一部の業務をチームの一員として担当することもあり、1人で全てを切り盛りするフリーランスより責任は分散されるでしょう。
ところがフリーランスになると、案件に関する全ての課題が自分1人の肩にのしかかってきます。当然、受けた仕事に対して1人でとらなければならない責任もより重大です。
フリーランスはセルフマネジメントが必要
フリーのコンサルタントに必要なこととして、セルフマネジメントがあります。会社員とことなり独立した事業者として案件の開拓から契約、納品、税務処理などすべて自身でおこなえるように気をつけましょう。契約書の内容や契約先の与信調査など、コンサルティングを実施さえすればよい会社員とは働き方も変わってきます。
スキルアップや業界情報の収集、業務のスケジュール管理も自分1人でしなければなりません。コンサルタントは会社員時代からプロジェクト単位での稼働がほとんどですが、さらに独立した一人親方として働くのがフリーランスなのです。
横のつながりや人脈を大切にする
コンサルティングの仕事は、一定の期間が定められて進められることがほとんどです。1つのプロジェクトが終了すれば、チームやクライアントとの関係も一旦はクローズします。しかし、一度関係した人との横のつながりや人脈を大切にしておくと、困ったことに対して相談を受けられます。
より良い条件の案件を獲得したり、景気が低迷したり、一時的に稼働が空いてしまった際の仕事などでも、人とのつながりがあれば効果的に営業をおこなえます。人間関係を大切にすることで信頼が生まれ、フリーランスのコンサルタントとして生き抜くことができるのです。
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