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Python案件の単価相場は?フリーランス求人の種類と将来性

人工知能・AI分野の開発やアナリティクスの需要が増加するなか、Pythonでのシステム実装やデータ分析を担当する「Pythonエンジニア」の案件に注目が集まっています。機械学習やディープラーニングなどAI案件の単価はどの程度が相場でしょうか。また、Pythonは高収入が期待できるとして、フリーランスエンジニアからも人気が続いています。今まさにPython案件を探しているという方も多いのではないでしょうか。

そんなPython案件のエンジニア・プログラマー求人を探す際に気になるポイントとして「案件の単価相場」や「参画に必要なスキル・知識」「副業や在宅での仕事は可能なのか」などがあげられます。AI・機械学習の分野でも、業務委託契約を結びプロジェクト毎に案件に参加するフリーエンジニアは多く活躍しています。

今回の記事では、Python求人の単価相場やフリーランス案件の種類、将来性などを解説します。独立やキャリアチェンジをお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

Python案件の単価相場

フリーランスとしてPython案件を獲得する際は、具体的な単価相場や求人動向を把握しておきましょう。フリーランスエンジニアが自分の実力に応じた報酬を受け取るためにも必要な知識です。

フリーランスの単価報酬は60~80万円

Python案件の単価相場は60~80万円程です。フリーエンジニアの単価報酬は、案件規模や求められるスキル・知識レベルによっても違いがあります。高単価案件のなかには月単価が150万円を超えるPythonエンジニアの求人もあります。

平均的なフリーランス報酬の相場では、例えばウェブシステムなどアプリケーションの開発であれば月額60~80万円、マネジメントスキルも求められる案件や分析スキルが必要な機械学習などの求人では80~100万円が報酬の相場となっています。

Pythonの案件は、PHPやPerl、Javaなど他のプログラミング言語の開発案件と比べても高い単価相場といえるでしょう。

フリーランスのPythonエンジニアを募集する求人数は、ここ数年で急激に増加しており、PHPやRubyなどの言語と同等の規模になっています。

現在は有名企業や研究機関などで幅広く採用されているPythonですが、全体のシェアでいえばJavaやCなどの言語に比べ低いため、相対的にPythonエンジニアの価値が上昇し、高収入となっています。

経験年数別の単価目安

経験年数に応じて、フリーランスのPythonエンジニアが受注する仕事の単価目安は異なります。Pythonを使った実務経験が1~2年の場合、単価目安は40万円、2~3年では50万円です。5年以上になると70万円以上が目安となっています。

もし、受注した案件がこれらの単価相場よりも大幅に下回る金額である場合、クライアントや仕事を仲介してくれたエージェントなどと交渉することが大切です。

言語別の平均年収、正社員の給料との比較

次に、正社員として働くPythonエンジニアの年収と、フリーランスの違いについてみていきましょう。求人検索サイト「スタンバイ」の『プログラミング言語別平均年収ランキング2018』によると、Pythonは年収ランキングの3位に位置する言語です。2016年の調査など1位の年もあったほどです。

順位 言語 年収中央値(万円) 最大提示年収(万円) 求人数(件)
1 Go 600 1,600 2,202
2 Scala 600 1,300 1,489
3 Python 575.1 1,499 9,344
4 Kotlin 575 1,200 961
5 TypeScript 575 1,200 667
6 R 574.8 1,000 220
7 Ruby 550 1,200 11,676
8 Swift 550 1,200 3,353
9 Perl 525 1,200 4,509
10 C 525 1,000 9,347

※求人検索エンジン「スタンバイ」調べ

フリーランスのPythonエンジニアの単価相場から年収を考えてみましょう。相場の下限となる単価60万円の案件を請け負った場合の売上は、一年間で720万円。上限である単価80万円の場合は、960万円に相当します。

このように、フリーランスは正社員と比べてもより高い収入が見込めます。ただし、売上から税金や社会保険を引いた金額が手取りの収入になる点には注意しましょう。

フリーランスとして活躍する場合、自分のスキル・知識の市場価値を知るためにも、言語ごとの平均年収について把握しておくことが重要です。

Python案件で探すフリーランス求人の種類

Python案件にはさまざまな種類があるため、受注する際にはそれぞれの特徴を理解して自分のスキル・知識に合っているかを判断しなければなりません。ここからは4種類の案件を紹介していきます。

AI案件(機械学習/DeepLearning)

ディープラーニング、機械学習などのAI案件は、Pythonのエンジニア求人のなかでも注目度の高い分野です。画像認識や音声認識、自然言語処理など非構造化データを扱う案件やシステム開発、データ処理など幅広いプロジェクトでフリーランスを募集する求人が出されています。

大手企業やコンサルティングファームを中心とした大規模なプロジェクトとスタートアップやベンチャー企業など小・中規模の企業が受託した案件に対して求人を出していることが多いです。これらの企業では、社内でシステム開発を行っており、不足した人手を補うためにフリーランス向けの案件を出しています。

金融や広告、メーカー、小売などのほか、医療や教育、建設などさまざまな業界に導入されるAIシステム開発の案件です。

ビッグデータ分析の案件(統計解析/アナリティクス)

Pythonには膨大なデータを処理できるライブラリが豊富にあります。統計解析にR言語やSPSS、SASなどのツールが使われる現場もありますが、現在多くのプロジェクトでPythonがもちいられるようになっています。

効率的にデータを分析できるので、ビッグデータ分析の案件はPythonの得意分野です。さらに、IT/Webや金融、医療、製造などさまざまな業界でビッグデータは取り扱われているため、案件の数も多くあります。

アプリケーション開発(Web/IT/スマホ)

Webサービスに付随するシステムやAPIなどの開発、Web経由で顧客に提供するクラウドサービスなどのアプリケーションの案件でもPythonをつかった開発が増えてきました。

受託会社や顧客データを扱う案件では、客先に常駐するタイプのフリーランス案件が多いですが、ベンチャー企業やエンド企業直のような案件ではフルリモート可など在宅のフリーランスエンジニア案件が少ないながらも出てきてはいます。

スマートフォンなどモバイルアプリケーションの開発では事業会社が案件を発注しているケースも多いです。社内で開発が行われているため、業務のなかには、クライアント企業の担当者とディスカッションして自分でアイデアを出すようなクリエイティブな内容の案件もあります。

ゲーム開発

Pythonを使ったゲーム開発案件の多くはソーシャルゲームの開発です。スマホやタブレットなどの需要が高まったことにより、携帯端末で遊べるソーシャルゲームの人気も高まっており、開発、運用、インフラ、分析などこのジャンルの案件のなかでも様々なエンジニアを募集する求人需要が増加傾向にあります。

ゲーム開発案件はプロジェクトを全てそのまま任されるのではなく、制作会社の下請けとして案件に参画することが多いです。また、ソーシャルゲーム開発に多額の予算をかけている企業も増えてきているため、大手企業がクライアントとなる案件が増えています。

Pythonエンジニア案件の傾向

これからPythonエンジニアとして独立して案件を受注していきたいと考えている人は、案件の動向についても理解しておく必要があります。同じPythonでも用途に応じてジャンルは様々です。これからどのようなジャンルの案件に参画していくべきかを考えるためにも、Python求人の動向をチェックしてみましょう。

機械学習・AIで需要が高まっている

自動車や家電などに搭載する機能としてや、ビジネス上の効率化・最適化といったさまざまな分野でAIの導入が進んでいます。人工知能技術の一分野である機械学習(Machine Learning)も、がん検診や顔認識システム、文字情報の識別などに広く導入され、それらを扱う技術者の需要がますます高まっている状態です。

Pythonは数値処理が早い、ライブラリが豊富、簡単なコードで実装できるなどの特徴があります。AIや機械学習は、これらの特徴と相性が良いため、開発現場ではPythonが採用される傾向が強いです。

機械学習はトライアンドエラーで開発を進めていく分野なので、Pythonの簡単なコードですぐに試せるというのは生産性の向上に期待できます。

Pythonはエンジニアからの人気も高い

Pythonは言語のシンプルさや、需要の高さなどからエンジニアに人気があります。Pythonはプログラミング初心者でも理解しやすい文法が使われているため、スキルとして身につけやすくなっています。

今後需要が伸びるであろうPythonの実務経験を積みたいソフトウェアエンジニアやプログラマーは多いです。開発現場においても、書かれたコードがわかりやすければ修正や追加が行いやすいため、チーム開発で扱いやすい言語として人気です。

また、Pythonは需要が高まるAIや機械学習などデータサイエンスの分野でも活用されます。Pythonを扱えればフリーランスエンジニアとしての需要も高まるため、人気はより高まっています。

在宅や副業はできる?Python求人の探し方

フリーランスや副業でPythonエンジニアの案件を受注するためには、働き方やスキルレベル、フリーランス市場での案件数などについて理解することが大切です。これらを理解して、自分のレベルでも受注できる案件がどれだけあるのかを見極めていきましょう。

Pythonの在宅案件はある?副業できる?

エージェント経由で紹介されるフリーランス向けのPython案件には、在宅/リモートで受託できるものはほとんどありません。週3から5日企業に常駐するタイプの案件が多いです。

Python案件に多いデータ分析では、情報漏洩リスクやセキュリティの観点から開発はクライアント社内に常駐しておこなわれ、PCやデータの外部持ち出しは許可されない現場がほとんどです。

ただし、ハイスキルのデータサイエンティストや機械学習エンジニアであれば、週1度のMTGや遠隔でのアドバイザリー業務などの案件もあるため、スキルレベルによっては、フリーランスになるまえに副業で働くことも十分可能です。

また、アプリケーション開発においてもPMを中心に複数のエンジニア職種の人が協力して開発を進める手法が中心となっています。そのため、初めてのクライアントで在宅の案件を受注できるケースは少ないです。一定期間は社内に常駐して開発を行い、問題ないと判断された場合、在宅で仕事ができる可能性はあります。

また、副業でも受注できる案件はいくつかありますが、クライアント次第です。案件を受注する際に、在宅でも仕事ができるかどうか、副業でも問題ないかを確認しておきましょう。

未経験で参画出来るPython案件はある?

未経験のエンジニアがフリーランスとして参画できるPython案件は少ない傾向にあります。多くの案件では、Pythonを使った開発経験のあることが受注の条件となっています。ただし、過去に他の言語での開発経験や分析経験が実務としてそれなりにあれば、Python案件を受注できる可能性があります。

Python案件の数は?

PythonではAIやビッグデータ、ソーシャルゲームなどさまざまな開発が行えます。そのため、Python案件の数は他の言語と比べても、増加している傾向にあります。例えば、フリーランスエンジニア向けの案件情報サイトで言語別の案件数を見ると、Pythonが144件、PHPは218件、Swiftでは73件、C言語が40件といった様子です。

Python案件への参画に必要なスキル

Pythonエンジニアとしてフリーランス案件に参画する際は、前提としていくつかのスキルが求められます。この段落では、具体的にどのようなスキルが求められるのか紹介します。

ソフトウェアの開発経験

Webサービスやゲーム、ITシステムといったソフトウェア開発での実務経験を有していると案件に参画しやすくなります。Webはもちろん他のアプリケーション開発の経験があることも重要です。

基礎的なスキルとしては、サーバーサイドの開発(バックエンド)で必要なRuby、Perl、Java、Cなどの言語が挙げられます。

案件によっては、PHPやLAMPを使った開発経験が必要なケースもあります。

環境構築やインフラ運用などの管理能力

フリーランスエンジニアとして働く場合も、データベースやクラウドサービスなどの管理能力があれば受注できる案件の幅が広がります。

これはPythonエンジニアだけに求められるスキルではありませんが、高額案件を受注する場合には必要なスキルです。

データエンジニアとして、インフラやデータ基盤周りのフリーランス案件を受注したい人は、アーキテクチャの設計能力があれば、より有利に案件を受注できます。

データの分析能力

データ分析は統計処理や数値計算なども得意なPythonを使うことが多いです。中でも、ビッグデータのように規模が大きい場合は、Pythonを使った開発が欠かせません。

そのため、フリーランスでPythonを使ったエンジニアとして活躍する人は、データ分析に関するスキルも磨いておく必要があります。

統計解析や自然言語処理などの知識・スキルを持っていれば、より高額な案件を受注することもできます。

高単価のPython案件を獲得するポイント

高単価で案件を受注するには、いくつかのポイントがあります。この段落では、そのポイントを3つ紹介します。

上流工程やマネジメントの経験を積む

これからPythonエンジニアとして案件を受注する場合、コーディング実務から始めるというケースが多くあります。コードを書くプログラマー案件の中にも高単価の案件はたくさんありますが、より高い単価で安定的に仕事をするには、上流工程やマネジメントの経験が必要になってきます。

要件定義や設計、プロジェクトリーダーの経験などをクライアント企業にアピールすることで、実務以外の高単価案件にも参画できる可能性があります。

ビッグデータや人工知能などの領域で経験を積む

より高単価なフリーランス案件に参画する方法として、Python以外のスキル習得も有効です。例えば、ビッグデータ解析や人工知能などの領域です。これらの案件ではPythonなどのライブラリやSQLでのデータ集計をメインに使われることが多いですが、数理統計の知識も必要です。

また、Pythonよりも高い処理性能を誇るC言語やJava、分散処理ライブラリであるHadoopなどを活用した開発やデータ処理に関するエンジニアリング経験を積んでもよいでしょう。

これらの実務経験を積むことで、より高い領域の案件を受注して単価を上げることができます。

Pythonライブラリやフレームワークを習得する

Pythonでは、開発の実務で利用できるライブラリ・フレームワークが豊富にあります。AIやビッグデータなどを扱う際に必要なライブラリもあり、用途に応じて活用できます。

実際に案件を受注した際には、これらのライブラリやフレームワークを適切に使いこなさなければなりません。どのような手段を活用することで業務を効率的にこなせるのかを理解して、案件を受注しましょう。

仕事の早さや正確さ、知識の深さなどはクライアントから高い評価を得られます。評価が上がると案件の単価も上がるため、Pythonフレームワークの習得は重要です。

Pythonのフレームワーク

ここからは、Pythonで利用できるフレームワークを3種紹介します。

Django

DjangoはWeb開発用のフレームワークで、規模の大きいWebアプリケーションの開発に向いています。このフレームワークは、サイトマップやRSSフィードなどWeb用の機能がいくつも搭載されていることが特徴です。Pythonを使った案件では、Djangoの経験を求められるケースが多くあります。

Flask

Flaskは小~中規模の簡単なWebアプリケーションの開発にマッチしたフレームワークです。WebサーバとWebアプリケーションを接続するためのインターフェースを定義したWSGIで開発を行います。また、Webフレームワークとしては最小限の機能しか搭載されていないため、動作が軽量です。

Bottle

Bottleは数あるフレームワークの中でも動作がシンプルで初心者向きです。仕組みを理解すれば扱えるため、Pythonのフレームワーク初心者の人がスキルや知識を習得するには適しています。小~中規模のWebアプリケーションであれば、bottleを使って開発できます。

機械学習のフレームワーク

この段落では、機械学習のフレームワークを2種類紹介します。

TensorFlow

Tensorflowは、計算処理やニューラルネットワークなどの関数がいくつも用意されていることが特徴です。AIや機械学習の分野に対応しており、顔認識や音声認識などのシステム開発に利用されます。他にも、画像検索や翻訳、Web検索の最適化といった技術にも利用される可能性があります。

PyTorch

PyTorchはPython向けのディープラーニングフレームワークで、初心者でも扱いやすいため人気が高いです。さらに、柔軟なニューラルネットワークを書けるほか、GPUによる高速化など、ディープラーニングで必要な機能が備わっています。また、Pytorchの利用者は増加しており、ほかのエンジニアや研究者が実装したコードを探しやすいことも特徴です。

Python案件の将来性と今後の動向

Python案件の将来性は、フリーランスのエンジニアとして把握しておくべきポイントです。具体的にどうなっていくのか、この段落で見ていきましょう。

人材供給が不足するPythonエンジニアの将来は有望

AIや機械学習、ビッグデータ分析など開発案件の需要が高まることで、実装フェーズのアプリケーション開発やデータ処理、DevOpsやSREなど運用インフラをふくめてPythonを扱えるエンジニアの需要も高まっていきます。

しかし、日本国内において、Pythonでの開発は最近から普及してきた言語なので、扱えるエンジニアの人材供給が追いついていません。そのため、会社員だけでなくフリーランスのPythonエンジニアの求人需要もうなぎ登りに高まっているといえます。

いまのうちにPythonでの開発経験やフレームワークを覚えておくと今後も将来的にさまざまな案件の開発で活躍できる可能性があります。

AI分野の発展によって分析案件での需要がさらに高まる

以前からあるBA(ビジネスアナリティクス)やBI(ビジネスインテリジェンス)といったビジネスの意思決定に活用するようなデータ分析案件が拡大しており、ビッグデータ分析や統計解析の案件は今後もふえていくでしょう。

それに加え、AIの発展により、今現在も需要がましているのが、機械学習エンジニアやAIエンジニアといったPythonでの分析に加え、システム実装やコードを書くことをメイン業務にする案件です。

自動車や医療、セキュリティなどさまざまな分野でAI活用が期待されています。AIは膨大なデータをもとに、これから起こりうることを予測したり、コンピュータ自身が考えて物事を判断したりします。

用いるデータは整理して分析しなければなりません。Pythonには、分析や計算に適したライブラリやフレームワークが豊富にあります。そのように、Pythonを使った分析案件の需要は、今後もさらに高まっていくでしょう。

開発案件は今後の需要次第

アプリケーション開発はPython案件の中でも一定の割合を占めるジャンルです。この案件が今後も受注できるかどうかは、Web、アプリ、ゲームを事業として開発するユーザー企業からの需要次第で変化します。

Webアプリケーションは携帯端末の普及により、YouTubeやskypeなど外出先やモバイルで閲覧する需要の高いものが多いです。また、最近ではIoTのように従来家電やハードウェアと組み合わせて利用するアプリケーションも登場しています。

そのように、さまざまな領域のサービスやコンテンツと組み合わせて提供する需要が高まった場合、このようなアプリケーション開発の案件についても需要が増加する可能性があります。

開発言語として需要の高い案件に、PHPやJavaはありますが、さまざまな知識・スキルを習得して、より幅広い案件に参画できるようにしておきましょう。

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